表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
民俗学オタク井戸つむぎの事件簿  作者: 御園しれどし


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/13

6. 禁忌破りの誘惑

 捜査が進むにつれ、九条家の「裏事情」が次々と露呈し始める。


 つむぎが「粉の跡」を追ってキッチン(竃のある土間)へ向かうと、そこには長女の珠江が、隠すように何かを背負っていた。


「珠江さん、背中のそれは何ですか?」


「あら、これはただの防寒用の布団よ。三が日は火が使えないから、寒くて……」


  「布団にしては、形が不自然に『丸い』ですね。失礼します!」


 つむぎが布団を剥ぎ取ると、そこから出てきたのは鏡餅……ではなく、大量の「カップ麺」の容器だった。


「姉さん! 三が日は火を使わないはずじゃ……!」道成が絶叫する。


「しっ! お父さんには内緒よ。おせちだけじゃお腹が空くんですもの。電気ケトルは文明の利器だから、神様も許してくれるわよ」


「……民俗学的には、禁忌の形骸化が進んでいる証拠ですね」


 つむぎは冷静にメモを取る。


 結局、正成の部屋からも、珠江の隠し場所からも、本物の巨大鏡餅は見つからなかった。


  餅は、物理的に「そこにあるはず」なのに、見つからない。


  包丁が使えない以上、食べて隠すこともできない。 火が使えない以上、溶かすこともできない。 掃除ができない以上、粉を隠すこともできない。


「(……待って。もし、餅を隠す場所が『目に見える場所』だとしたら?)」


 つむぎの脳裏に、ある民俗学的な仮説が浮かび上がった。


 それは、九条家の伝統そのものを逆手に取った、あまりにも大胆でまぬけなトリックだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ