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第48話 なんだこれ。なんだこれ…!!

お待たせ。待っててくれてありがとうお嬢様!

「あ。そうだ!いちごミルク君!バイト辞めるなら今だよ!」


「えっ…あ。っ。。俺、もうあれから洗浄液の希釈は間違えてないし…階段昇降時手すりを捕まるようになったし、視差確認とかはまだたまに忘れちゃうけど…それでも俺、色々できるようになったし、その。頑張ってるんです…」


「うん?」


「……っ。戦力外通告ですか?俺、そんなにめいわ……」


「あっ!違う。違うよごめんね!迷惑じゃない!!えっと…そんなこと言いたい訳じゃなくて…あぁっ、うっ、どうしよう……そんな顔しないで…!!!



……っ。おっぱい揉む?」


「揉む」


「ッッ///あっ。いや、違う…その、これは違くて……揉みませんよ!何て事聞いてるんですか!!」


「ふふっ。じゃぁ問われちゃったし、何て事を言いたかったかって話に戻すね。しっかり聞いて考えるんだよ?」


「……ッス」


「えっとね。簡潔に言うと…多分だけどこのバイトヤバい」


「警察直募集のバイトなのに…???」


「うん。そう、多分だけど君も安全な所でお金稼ぎたくて入ってきたよね?」


「……………違いますけど?」


「…????」


「?」


「んん?。まっ…いっか。ほら、サンディエゴの治安が悪くてなんかピリピリしてる人多いし、やばそうな怪しいバイトも多くて安心してお金稼ぎにくいから、時給も良く出所もしっかりしたこの警察署内清掃バイトに入ってきたんじゃないならいいや」


「待って……俺、バカだから話が見えない。リリさんの言ってることよくわかんない……」


「うわーん!ごめんね!!そんな捨てられた仔犬みたいな悲しそうな顔しないで…!!!バカじゃない。バカじゃないよ!説明しなくて悪かったね…前ここに入った清掃業者、魔弾の射手の一件があってから安全が保証できないからって理由で撤退してるらしいの。魔弾の射手がここ狙うかもしれないらしくて、今、治安維持が上手くできてないから警察へのヘイトも貯まってるみたいで…ほら、自警団の件もあるし」


「???」


「実際に清掃業者が撤退してるし、ヤバい噂もこんなに立ってるから他のバイトと同じくここも安全とは言いきれないよ!って事を言いたかっただけなの…ゴメンね!」


「あっ、いえ。大丈夫す……

その……リリさんは辞めるのですか?」


「辞めない。」


「じゃぁ良いじゃないですか。魔弾の射手はわかりませんが、自警団入ってる友人から聞いた話だけど、トップの方は言うて噂ほど警察とピリピリしてないらしいし、俺も辞める気はありませんよ」


「そうなんだ………あっ、でも噂と業者撤退の事実以外にもこのバイトいくつか気になるところがあるの!」


「ん?」


__________


非常通路の1角にある椅子、机、ロッカー、冷蔵庫がある簡易スペース。

多分元々物置きとかだったんじゃないでしょうか。

そこが今や清掃バイトの拠点となっています。


……はぁ。。。

もうそろそろ若手2人が出勤してくる時間なんです……

本当は作業手順確認は任せて、この時間は報告書作りとか情報精査とかしていたいのですけれどね……


ハロルド署長の言う通り、メイ君はともかくカーター君を放っておくのは恐ろしい。

最悪、書くべき報告書が2倍となって返ってくる未来が見えてしまう。


どちらかと言えばメイ君もカーター君もわかりやすいタイプの人間だと思うのですが、、、たまに……何を考えているのか全くわからないんですよね。。。


あーーー。行きたくない。


そんな思いとは裏腹に足はスタスタと前に進む。

本当にこの仕事、思考と感情が噛み合わなくて嫌になる。。。


__________


「なるほど???つまり、モリスのじぃさんや、クインおばさんがあやしい…のか???」


「年齢偽ってタコス屋でバイトしてた君もあやしいけどねw」


「……ッ!? なぜ知って…???……あ、いや違う。年齢は偽ってない!!!

店にも客にも迷惑掛けてないし、法も犯してない!!!全然健全!!!俺、至極ホワイト!!!」


「えぇー? 本当???w でも高校生が22時過ぎて働くのはアウトなんじゃないの?」


「インターンなのでセーフです!(そう言えって言われてるだけで嘘だけどさ…)

ていうか店に迷惑掛けたくないし今の様に疑われるのも嫌だ……もう話さないで」


「そっか。。。そうだよね。わかったよ。ごめんね…」


「俺だけじゃなく、他の人にも言わないで欲しい…」


「うん。そうだよね。。。この件については全て忘れとく!」


「ありがと…」





「……えっと。あのさ、やっぱ俺思うんだけど……モリスのじいさんも、クインおばさんも将来が不安だからバイトしているだけで普通だと思う」


「ん?」


「いやだから、多分俺が『年齢詐称してまでタコス屋で働いてた奴=金欲しいやべえ奴』だと思ってたから『モリスのじいさん=86歳で働く金欲しいやべぇ奴』、『クインおばさん=小さいお子さん居るのにこんな時間まで働く金欲しいやべぇ奴』ってリリさんが推測しちゃっただけで、実際そんなやべぇ奴じゃないと思うんすよ」


「んー・・・。言われてみればそうかも???働いているからって金欲しいやべえ奴認定するのは些か偏見がすぎると言うことだね?」


「…っす」


「もう!!ちょっとは否定してよぉ! いちごミルク君〜!!! 良い推理だと思ったの!!良い推理だと思ってたのにぃ!!!正論が痛いよぉ!」


「wwwwまぁ、でも俺。推理はともかく、情報収集力はすげぇ!!って思いましたよ。モリスのじいさんなんでそんな職歴で老後働いてるんだよって突っ込みたいところとか疑問に思う事はあるっちゃあるけど、純粋に俺じゃできないことだからすげぇ!!!リリさんすげぇ!!って俺はなりました」


「えへへっ。ありがとう!!」


「リリさんの働く理由はなんですか?」


「えへへっ。それはね……」


__________


うわっ。もう来てるんですか若手2人!!!

メイ君が簡易チェアに座っているカーター君にスマホを見せつけていた。

聞き耳立て…っ。。。。若い子2人の会話をこんなおじさんが聞き耳立てて良いのでしょうか?……否。ダメでしょう!

ダメでしょうけれど、思考の動向は探っておかなければなりません…仕事的に。


この扉の影から様子を伺うのが一番合理的…ですか?

はぁ…ですね。普通に考えても部屋に入らずにこのまま聞き耳立てる方が得られる情報の質が強い。まぁ会話内容に寄りますけれど……あぁもう嫌だ。取り敢えず様子を見ますけど!!!…最悪ですね。


自分はなんて最低なんだと思いつつも、壁に耳を添わせてそっと様子を伺った。


__________


「リリさん…っ!!それっ…!!?」


「ふふっ。そうなのよ。私、株始めました!オルティスの株にしか投資してないんだけど、ほら見てやばくない?今日だけで50ドル下がってる。」


「俺、このグラフ読める気がしないから、良くわかんないけど…リリさんすげぇ!!」


(ッ…メイ君!それは自分が投資した株が50ドル(8,000円弱)下がったって事ではありませんか!なに笑顔で報告してるんですか!?カーター君もそんな愚行に感心するんじゃありません!!)


「でしょ?魔弾の事件からオルティスの株大暴落しててもう学生のお小遣いで買えるぐらいになってるの。だから推しへのお布施も兼ねて買い漁ってる」


(…はい?)


(……は? え?……はいぃ?)


(それは下がり続ける株と承知で買ってるというのですかッ!!?メイ君あなたオルティス未来大学経営学部2年生でしょう!?何を学んできたんですか!!それとも履歴書詐偽ですか!?)


わからない…なんですかこの会話。

理解不能だ…


「へぇすげぇや!リリさん!!」


(やばいことぐらい高校生の君でもわかるだろ!カーター君!!!価値の下がってるものを彼女は買い漁ってるということに気付いてください!)


目ぇキラキラさせて聞くことじゃない…誇らしげに語ることでもないですって。それ。


うわぁ。なんですかこれ…なんなんですか!?


「そんなに買ってどうするんすか?」


「へへへ。推しの価値が下がらないように買い占めてね、株主になってね、推しとの愛の結晶を作るの(製品開発に携わってオルティスのシェア率拡大させたい)」


おいリリ・メイ!個人の消費が経済に与える影響はたかがしれている。大学生のお前の財布ではオルティスの暴落は止められませんよ!!

本当に君は…経営学部2年生なのかっ…?


あと多分だけど、株主総会製品開発に携わってませんよ!

製品開発に着きたいならそんなことせずに就活頑張ってください大学生!


…はぁ、疲れた。なんだこの会話……

これ以上聞いてても良いことありませんね。メイ君の破滅の未来しか私には見えないので部屋入ってとっとと止めますか。


「じゃぁ、俺リリさんに良いこと教えますね」


扉をそのまま押し開けようとしたが、カーター君の言葉に身体が止まる。


「もしかしたらリリさんならもう知ってるかも知れないすけど、この警察署3Fにイチゴミルクソーダ売ってる。さっき買いに行けたから…はい」


「えっ!あっ。わっ!オルティスだ!?良いの!?」


「はい!」


「やったー!!!でも3Fってセキュリティエリアだよね?」


「はい!」


(はい!じゃないだろエイデン・カーター!!私の監視下でセキュリティ事故起こしそうな行動しないでくれっ)


「でもなんで?どうして通れたの?」


「パブリックエリア2Fの給湯室の奧に扉があって、そこ外階段へ繋がってた。多分非常出口を兼ねた喫煙所なんだと思う。タバコ捨てるあの箱のやつあったし。そこから普通に入れた。廊下はカードキー必要ないしね」


「うわマジ神ありがとう!」

(うわクソガキ…大概にしろ!)


「じゃぁ仕事関係で私も良いこと教えるね」


「まだ情報もってるんすかw」


「なんか良くわからないけど若い子沢山入ってくるって!」


「清掃バイトに?」


「ううん。警察官?イケメン居たら良いなぁ」


部下が応援に来る話だろうか……まさか清掃バイトにまで話が漏れてるとは


「あれ?そこまで良い情報じゃなかった感じ?反応うっすいなぁ…」


「え?あっ、いや……あー。。。。そんなことないっすよ!!!全然有益!」


「嘘くさーい。反応薄いしさっきまでとは比べ物にならないタイムラグがあるじゃんw はぁ…じゃぁ奥の手出すかぁ」


「お、奥の手って…?」


「ここの署長ボインらしいよ」


「なっ…!?」

(…!?)


「ふふふ。可愛い反応見れてリリは満足。やっぱりいちごミルク君巨乳好きでしょ?」


「いやっ…別に?違いますけど???そんな……違いますけど??」


「目が泳いでるよ。いちごミルク君」


「ッッッッていうかなんでそんな色々知ってるんですか!!?」


「へへへ。…………い・ろ・じ・か・け♡」


「うわっ…待って?そんなボタン…はだけて……揺れがっ!?もげちゃう。もげちゃいますって!!?」


「もげねーよ」


大学生が全力で高校生をからかってるこの状況を一旦置いときましても、この子達2人…情報を拾う精度が高い…


カーター君は私も知らないセキュリティエリアへの抜け道を知っていたし、

メイ君は会ったこともないはずの署長の特徴を把握していた。それに応援要員の件に関しても、先ほど私がハロルド室長から直々に確認を得たばかりなので…末端の清掃バイトに情報が届くには速すぎる。


若いから?若者皆こうなのですか?

会話内容がアホである故、コイツらが魔弾の射手だとは思えませんが……何にせよ。ハロルド署長の言う通り見ておくべきは若手2人なのかもしれません……


ドアノブを掴んだままの左手が汗ばんで気持ちが悪い。


ああ、何てことでしょう…

今すぐ訂正しなければ……





次回更新: 2025年12月12日~15日ぐらいかなぁ。(目標)


書こうと思ってるほど書けないですよね……

私の優雅な日曜日は、5時頃目覚めてちょっと読み直して書いて二度寝して11時に起きて、うわぁお外眩しいってなって、2、3時間グダって散歩して、書こうと思ったらお腹空いて(梅ブラウニーじゃ胃袋が満足できねぇってなって)パスタ茹でて終わりました。


「…………………(ちくしょう)」

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