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第44話 揺れるはーと♡

「入れ替えは…しない……!! 良い提案だけど入れ替えはしない。だってそんなことしたらリリさん困るだろ?俺の安心を買うためだけに彼女に不安を押し付けたくない。」


ああ。そうだ。誰かの都合で勝手に未来を奪われる姿もその末路も見たくなくて俺は行動したんじゃないか。たとえその誰かが俺でも。不合意のまま奪ったり犠牲にしたくはない。


「……誰かに押し付けるぐらいなら、俺が疑われてた方がマシだ!」



ザミエルにそう言い切ってICカードを拾ったけど勇敢さなんかより正直怖さの方が勝っていた。だって、悔いが残らないかって聞かれたらきっと回答に困るから。

後悔が拭いきれない。じわじわと湧き出てくる。まだ何も起きてないのに…おかしいよな。


不安を振り払うように彼女に駆け寄った。

「リリさん!!」と俺の声が彼女まで届く様、しっかり腹から声を出した。


「どしたん?」とリリさんが振り向き声を掛けてくる。

もう後戻りはできない。


「えっと…あの、これ……」

たじろぎながらも俺は、両手でICカードを持つ。俺とリリさんが見える様にカードを上向に持ってしまったから、無意識のうちに『TMP-01-1277』という事務的な番号をガン見してしまう。


TMP……temporaryテンポラリーは「仮の」って意味だから臨時的に発行されたカードなのだろうか。俺のカード番号何番だったっけ?


もういやだ。超後悔してるじゃん…俺。

そうこうしているうちにカードがリリさんの手に渡った。最後までカード番号から目線を外せなかった事実が悔しい。


リリさんは「ありがと」って無邪気な笑みを見せてくれた。


彼女は暫し考え込む素振りを見せた後、胸ポケットのボタンを外しボタンの穴にカードケースのクリップを挟んだ。


「よし」という声と共にカードも球体もバウンドする。


「………ッ!?///」


今見た光景が脳まで届いた気がしない。

気づいた時には、俺。真っ白だった。今まで悩んでいたことは全て忘れた。

見てはいけないものを見てしまったんじゃないかという申し訳なさと見てしまった優越感が同時に押し寄せてくる。


「え??あ?首から紐に下げないのですか???」


もうよくわからないことを口ずさんでる気がする。

リリさんは笑いながら答える。


「無くさない安心感はあるかもしれないけど屈んだ時とかに邪魔なんだよね」


やれやれ〜と肩を(すく)ませながら、そっけない回答が帰ってきた。


「でも見てよほら!!このポロシャツ胸元にポケットがあるじゃん??蓋の部分はポケットの中に入れちゃって、外に出たボタンの穴にクリップ通す形で止めたら、ほら!落ちない」


そう言って跳ねる。ぽいんぽいんと何度も揺れる。

全然そっけなくなんかない。むしろいい。俺、この作業服のメーカー覚えとこ。

リリさんのグッドサインやドヤ顔なんかよりきらめくカードの方に視線がどうしても行ってしまう。釘付けになる。


「なるほど…素晴らしいですね。」


蛍光灯の光を反射し、透明なカードケースは何度も揺れるため視認性は悪くなっている気がしたが俺は言わない事にした。

だってカード番号見ようとしたらおpp・・・っ……すぅーーー。ふぅ。その、本人は納得しているし、これはとても夢のある事だと思うから。


企業努力の賜物というべきものだろうか。おれ。すごい社会人そんけいする。クリアケースと作業服の合わせ技で起こったこの奇跡に感謝するしかない。すばらしい。さいこうだ。


「えへへ。拾ってくれてありがとね。じゃ、今度こそバイバイ!」


ひらひらと手を振られ、くるっと背を向きスタスタと歩き出す。

その光景をただ眺め、俺は彼女を見送る。


出しっぱなしの水がジャーと音を鳴らし続けた。


脳内で「臨時がTMPなら管理者はADMか?」や「AK、AK…うるさい。そこまでして覚えたい企業なのか?」「小僧の番号は1256……か。77まで随分と空きがあるな……おい、バイトの人数はどのくらいだ?」と言った声が聞こえる。


どうでも良かった俺は「別に良くね?」と適当に返してしまった気がする。

その後も脳内は煩かったが、俺はリリさんが見えなくなるまで見送り続けた。


後悔はない。




次回更新:2025年10月10日(金) 21頃目標!


揺れるのはお前の心理描写(内心)だけでいいだろ!!!

なんでリリさんも揺れてるんだよ!!!(物理)



…とどうでもいいツッコミはさておき本題。


削除予定であげてた「教えて!エイデン君!!」は消しました。

こういうのでも結構PVついてて、更新滞ってごめんなさいって思いながらも書いて良かったです!

おかげさまで報われました。


またツラくなった時利用しますので……といいますか、一緒に作品を盛り上げていきたいので、お嬢様もネタとか質問とか思いついたら是非0話のコメント欄を使ってくださいね!

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