第42話 地雷系悪魔と俺の心境
「お前、その銃マスケット銃じゃないだろ!」
俺は自室に戻るや否やくそどうでもいいことだけれど、スルーは流石にできなかった事実を口にする。
先程、俺の額から銃口が離れていった時に中の構造が見えたんだ。筒は真っ直ぐではなく、切れ込みが入っており渦巻いているように見えた。
この事実が本当なら、マスケット銃だと思い込んでいたそれは、ライフル銃って事になる。
「っ…………重要なことか?」
「いや別に、重要なことではないけどさ!!!俺、ずっと拾ったときからマスケット銃だと思ってたんだよ!!!なんで訂正してくれなかったんだ!!!」
「気持ち的には俺もマスケット銃だから………大丈夫だ」
「大丈夫じゃねぇよ!!!意味わかんねぇよ!!!」
意味わからない慰めの言葉を貰って俺の勢いは増した。
嘘。増してない。
一旦待ってくれ。
……え???慰めの言葉を頂いた??慰めてる???俺を??
ていうか今、”気持ち的には”とか良くわからないこと言ってました???ザミエルが???
俺は一旦フリーズした。
数十秒前の出来事を思い返してみる。
マスケット銃じゃないだろ!って俺が言った後、タイムラグなかったか??
……飲み込んだ言葉があるのか???
さっきあんなことがあったからって理由もあるのかも知れない。
ザミエルの様子がいつもとは違う様な気がした。
だから、探りを入れてみることにした。
「…………さっきの言葉訂正して、マスケット銃か否かが俺にとってはとっても重要なことなんだ…って言ったらどうする?」
「俺は変わらず、お前の最初の価値観を大事にする」
素直に返事が帰ってきた事実だけでも衝撃的なのに、その答えが想像以上に素直そうな回答で俺は心底驚いた。
何かを尊ぶような回答がこいつから出てくるとは思わなかった。
「どうして?」
聞き間違いを疑いつつもその回答の理由を問う。
喉がコクリとなる。回答が返ってくるまでの時間が重苦しい。
「少なくとも俺は、この銃をマスケット銃と判断されて悪い気はしなかった。だから小僧は間違ってない。」
「…………え。あっ……ねぇ。俺の事言いくるめようとしてる?」
「していない」
呆れながらザミエルは続ける
「この銃がマスケット銃だとお前に思い込ませる事で、俺に利があると思うのか?」
「お、もわ…ないけど………本当に?契約者がマスケット銃だと思い込むことで射程距離が上がるとかない?」
「ない」
俺は意味がわからなかった。
俺は、マスケット銃だと思っていたモノに目を向ける。古びたその銃は端からみたらどうみてもマスケット銃だった。
まさか。そんなだまし絵に引っ掛かってくれて嬉しいみたいなお子ちゃま的理論なのか?
「なぁ。この銃作ったのお前?」
「ちがう」
銃がそっと宙に浮く。俺は少しビビる。ザミエルは銃に触れて何を思っているのだろうか。言葉は続いた。
「製作者が誰かはわからない。この銃はペンシルベニア近辺で拾ったものだ」
「お前も拾ったのかよ……w」
勢い余ってノリツッコミしてしまう。
そんな場面でもなかったのに…
俺は空気を戻した。
「でもさっき、埋められたとか言ってなかったか?」
「ああ。埋められた。…………ッわからない」
(俺の方がわかんねぇよ...)
そう心の中で悪態はついたが、責める気にはなれなかった。だから、もう銃口がこちらに向く事がないように言葉を濁しながら俺は会話を続けた。
「埋めたのは、えっと……さっきのAさん?」
「ああ。…………さっきはすまなかった」
そういって銃が渡された。
渡されたっていうか、俺は姿が見えないから銃がひとりでに手元まで来たんだけど。
「普通に話してくれて構わない。」
そう脳内で言葉が響いた。
ッッッ!?その為に、こいつわざわざ俺に銃を持たせたのか……!?
銃口を突きつけられた事実より銃を渡された今の方が俺は衝撃的だった。
意味はわかるけど…わからない。
「……えっと。その前に聞きたいことが1点。お前銃持てたの?他の物も持てたりする????」
そう質問しながら、ペン立てからボールペンを1本取り出し、何もない空間に向かって差し出した。
「2点ではないか…」
ツッコミを頂いた(返答があった)ので手を離した。ボールペンは重力に争うことなくそのまま地に落ちて行った。
「銃なら触れる。お前にも干渉はできる。それ以外のものは触れない。2人目を殺害した後もメンテナンスのために俺はその銃に触れていたではないか」
「お、俺が寝てた時???」
「お前が起きてからも少しばかり」
「……んん???俺、再テストの勉強してなかった?」
「ああ。俺が持ってる状態だったがお前は気にせずベットの上に銃を置いたぞ」
「!?!?」
俺は、机の上で浮いている銃を何気なくベットの上に移動し再テストの勉強をしていたと言うのか……!?
んなバカな。でも気づかなかった事自体あり得る。
ちょっと俺は混乱してきた。
ザミエルは話を戻した。
「前の契約者にも言ったが、俺は…その。その人には会いたくない」
「Aさん?」
ザミエルが一瞬驚く。
「……そうだ」
「埋められたから?」
「そうかも…な」
「俺はこの人のこと凄く気になるんだけれど。ていうか人なの???」
「人間。あまり気になって欲しくはない。」
「そう…か。そう……だよな。。。ねぇなんで撃とうとしたのかも聞いても良い?」
「……敵に見えたから……本当にすまない。気づいたら構えてた。」
「別に良いよ。ねぇ、Aさんは敵なの?」
「味方」
「……ッ」
間髪入れずに”味方”という言葉が出てきて俺はたじろぐ。
……凄い複雑な過去を持ってそうだぞ!!!!
味方に埋められたって!!!
……あれ。でも埋められたのは銃か。じゃぁやっぱり普通に良いヤツなのか?
俺はアーヴィングという人がすごく気になったが、前契約者は会おうとして血塗れになってる訳だし、あまり気になって欲しくはないって言われたし、もう黙ることにした。
うん。今は一旦黙ってあの名刺は一応とっておくだけにしよう。
そう思いながら俺は、これからのことを話し始めた。
「あのさ、ザミエル。お前相当地雷持ってると思うんだ……俺は、もう。あんな目にあいたくはないし、とりあえず全部教えてくれない?
……情報共有だと思ってさ」
恐る恐る言葉を発した。ザミエルは黙った。脳が静かになる。ザミエルは考えている様だった。少しの静寂の後、言葉が発された。
「俺に地雷の力はないし、持ってもいない」
「……は???」
「???」
「ッwwwwwww」
ザミエルは困惑する。
俺は笑い出す。
俺の緊張感をぶち壊すほどの間の抜けた回答だったからだろうか。
「wwwちげぇよ!そっちじゃないw その意味の地雷じゃない!!www でも俺からしたらお前地雷多いんだよ!!水嫌いとか土に埋めるなとか!!」
「……苦手なものを全て教えろと小僧は言ってる???」
困惑しながらも真面目に聞き返すザミエルがかわいく思えてきた。
やばいな。俺w
一通り笑い疲れて落ち着いたから俺も真面目に返した。
「そうだ。お前の苦手なものを踏み抜いたら地雷の様に俺が木っ端微塵になるから、俺のためにお前の苦手を教えてくれって言ってる」
「なるほど……???」
ザミエルは理解してない様だった。
でも教えてくれた。
ぽつりぽつりと話し始める。
「水が苦手だ」
「飲むのも?」
「ああ。」
「銃を埋めて欲しくない……大切に扱ってくれ」
「これから移動するし……ゴミ袋だけど包んどくよ。銃が濡れるのも嫌なんだろ?」
「ああ。」
「……会いたくない人が1人居る」
「ああ。Aさんな。会いに行く予定はないから安心しろ」
ザミエルは少し躊躇った。指先が少し冷たくなる。
「……許せないヤツが1人居る」
「……そいつは始めての情報だな。どんなヤツなんだ?」
俺は気にせず会話を促した。人差し指は徐々に冷たくなっていった。
「報酬をくれなかった人」
「……そう、か。……そいつも人なのか。ねぇ、その人の名前を聞いても良い?」
「オットー」
聞いたことのある名前な気がして、俺は指先の冷たさより心臓がゆっくりと冷えてくる感覚の方が気になった。
次回更新: 2025年9月26日(金) 8時頃目標!
1話書くのに私6時間程かかるみたいです。もう少し速くしたいですね……
それより聞いてくださいよお嬢様!!!
メダカちゃんが2匹家に来ます!!!
しかも若い子!!!
えっどうしよう部屋のレイアウトどんなのが良いかな?やっぱり観葉植物ってか水草あった方が良いよね?カーペットこれを機に買い換えた方がいいかな?私麦飯石しか持ってないんですよね……って今からもうワクワクです。
「ふへへへへ。そんないきなり…オジサン困っちゃうなぁ…ハァ。ハァ。」に近い心境です!!!
別にそんな急な話ではないんですけれどw
ああん。もう楽しみです!!
メダカ飼ったことないので、ドキドキが止まりません!
なんて名前にしましょうか!?




