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第34話 ねぇ!良い日にしていい?って!!良い日にしていい?って!!!

夕闇の時が止まったかのような時間帯に、ふわりとスカートをなびかせながらソフィアさんは答えたんだ。


「ねぇ…カーター君。今日を良い日にしていい?」


華奢な白い手で照れたような、高揚したかのような、頬を抑えながらそう答えたんだよ。

ノアの家の玄関先…別れ際に言われたこの言葉がどうしても頭から離れなくて家についてからもずっと。ずっとループしていた。


(良い日って何!?)


(…ねぇ、良い日って何!?)


思い出しては「良い日」に躓き、これを肯定的に捉えて良いのかわからず……ずっと永遠に、頭から離れなかった。考えても仕方のないことなのに。


俺は、この神秘的な余韻に浸り続けて居たかったのかもしれない。

アイボリーの触れたくなる様な柔らかそうなレース編みのブラウスも、揺れる髪もピアスもスカートもコロコロと変わる表情も全部…全部。別れてから何時間も経つのに、頭から離r……


「……おい小僧、そろそろ現実に戻ってきたらどうだ?さっきから良い日良い日ってうるさ__」


「うるさくはないだろ!!! なぁ、うるさくはないだろ!!!口には出てないはずだろ!なんでわかるんだよ!!!」


咄嗟に俺はキレる。ザミエルは呆れた声で返す。俺の脳内がうるさいんだと!!!あーあー。筒抜けで悪うございましたね!!!


吹っ切れた俺は銃と向き合い会話する。


「なぁ、良い日って__」


「知らん」


「じゃぁ、ソフィアさんって俺に……」


「わからん」


「人生で一度は”本当に綺麗なもの”に浸ってみたかった…って願いは?」


「……お前は何が聞きたいんだ???」


クソ野郎…


「聞きたいことがわかるなら、、、言葉にできるなら…苦労しねぇよ。。。」


絞り出した俺の本音を静寂が包んだ。ザミエルは何も言わなかった。

静けさが居心地悪くて、申し訳ない気がして空気を変えようと言葉を作った。


「ソフィアさんいつもと雰囲気違って可愛くてさ…そんな可愛い彼女がケーキ屋から美術館に移動した後、少ししてから……いや、俺が展示品に圧巻された時に、「綺麗だよね。」って

「さっきのケーキもそうだけれど、日常を忘れるぐらい強烈な体験を与えて来てくれる様で凄いよね。」って

「人生で一度は”本当に綺麗なもの”に浸って過ごしてみたい憧れみたいなのがあったんだけど…これも叶っちゃったみたい」みたいなことをソフィアさん言ったんだけれど良い日ってなんだと思う?ねぇそんな大切な日の同行者俺で良かったのかな?これ、俺が叶えさせられたと思って良いんだよね?ねぇ。あの笑顔は俺が頑張ったから出て来たものだと持って良いんだよね??ねぇどう思う?ねぇ俺頑張ったよね???」


簡単な質問で返すはずだったのに、思いのほか長くなっちゃったし、疑問が溢れる様に止まらなかった。ザミエルは舌打ちした。ため息もついた。

でも律儀だからか返事は返してくれた。嬉しくはなかった。


「ソフィアとやらはジャーナリストだから魔弾の射手などの話や犯人であるお前の情報が知れたから今日を良い日としたんじゃないか?」


「な!ん!!で!!!そうなるんだよ!!!!確かに公園の木陰で涼んで休んでた時に近くのカップル?が自警団や魔弾の射手の話をしだしてちょっと嫌だったけど、俺あんま覚えてないし、ソフィアさんの可愛さでいっぱいいっぱいだったからたぶんボロも情報も出してない。それにすぐ会話変わった気がするし、大丈夫だもん!俺、ヘマ踏んでないもん!!」


「そうか…お前が聞きたかったはずのFBI捜査打ち切り理由は聞けなかったんだな」


「聞けるかよ!!!……聞けるわけないだろ!!!他人が俺の犯行話してるだけで嫌だったんだぞ!デート中に、そんな夢の様な空間に、現実持ってくるなんてことできるはずないだろ!!!ってかさっきの答えなんなんだよ!!!なんで良い日=情報取得日なんだよ!!!」


「……誰かの美しさをみているつもりでも、自分の願望に浸ってるだけかも知れないだろ」


「は? それってどういう……」


「お前は……その拗らせた自己肯定感や、誰かにとっての特別でありたい欲を肯定して欲しいだけなのか?」


「な”っ!?」


「頑張ったな小僧。本当によく頑張ったな。小僧が頑張ったからソフィアは今日を良い日にでき__」


「待って!やめろ!!!やめてくださいザミエルさん!!……欲しい言葉なはずなのに、全然嬉しくない。」


「そうか…!」


あれ?何この悪魔…なんでここで今日イチいい反応をするの???

声でわかったぞお前、今。ニッコニコじゃねぇか……


「はぁ……」


つい深くため息をついた。鼻から吸った空気が塞き止められず崩壊したダムの様に口から出て来た。


「…もう休んだらどうだ?」


さっきとは裏腹にめちゃくちゃ優しいこと言ってくるじゃん…腹立つわぁ。

声も、若干俺を労わってくれる様な優しい声出しやがって…腹立つわぁ。。。


ザミエルに促されるまま俺はベットに潜った。

今日食べたケーキも見た目が美しいから良かったんじゃなく、あの絵も力強い筆の勢いが良かったんじゃなく、今のザミエルみたいに普段ない経験をしたから良い日、なの…だろうか……。


そう考えたら俺とのデートが特別なんじゃなくて、展示品や体験そのものが特別だった…のか?


ベットに潜ってからも俺は…俺の思考や心は、ずっとソフィアさんに引きづられたままだった。ああ、でも俺すげぇ幸せだ……ソフィアさん可愛い……


エイデン・カーターは自己の不安を掻き消すかの様に何度もソフィアさんを思い出していた。


ザミエルはまたひどく息を吐き出した後、放っておくかの様にそんな少年の様子を横目で眺めていた。


人間であれば…少年から発せられる深く安らかな呼吸音に、諦めに近い複雑な感情を得たであろうと言うことは想像に難くないだろう。

次回更新:2025年8月15か19か…お盆明けぐらいかなぁ。。。


お嬢様の良い日ってどんな日ですか?

この34話を読んで良い日ってどんな日だと思いましたか?

俺にとっての良い日は…そうですね。お嬢様から反応いただいた日ですかね?コメントや評価とかよろしくお願いします!……なんてねw気が向いたらで良いですよ。


暑いですけれど素敵な夏をお過ごしください。それではまたお会いしましょう!

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