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第24話 ザミエル登校4

1コマ90分という地獄のようなlogと向き合う授業が終わり、今はやっと6限のスペイン語。

どの授業もそうなんだけれど、1授業90分は長い。無理。長い。マジで苦手科目なら軽い拷問みたいな気持ちになってくる……先生らに習って俺も教科書を読み上げようとしたところ、先程まで無言だったザミエルがぽつぽつと話し始めた。


「……何故、フランスならまだしも…スペイン語なのだ…」


「え?…そりゃぁバイト中とかでもたまにスペイン語が飛び交うし、結構使ってる人多いからだよ」


「……そうか。そう言えば、そうだったな…」


???

…質問の意図がわからないまま会話が終わってしまった。

俺、前に「ザミエル」ってスマホで検索してみたことあるんだけれど……


《「ザミエル(Zamiel)」はドイツ語圏の悪魔・死の精霊の伝承にある名前》

もしくは、

《戯曲「魔弾の射手」に登場する悪魔の名前。 カール・マリア・フォン・ウェーバーが作曲した全3幕の戯曲(オペラ)に登場する創作された悪魔の名前》


ぐらいの情報しかヒットしなくて、どっちもドイツ由来だから俺、お前のこと勝手にドイツ製品?だと思ってたんだ……だってなんかたまに英語おかしいし…


だから、フランス語って言葉も、スペイン語って言葉もなんか引っかかった。

これ、俺…普通に、「いやそこはドイツ語だろ!!」って突っ込んで良かったのか?…いや突っ込むべきだったか??


俺1人だけ割とくだらない思いを巡らせているうちに、教科書の読み上げが終わっていた。

次のフェーズへ移行しそうだ。先生が黒板にスペイン語で今日のフリートークテーマを書く。一部生徒がさっきから騒がしい。我慢の限界も来たのか先生は生徒に向かって流暢なスペイン語を言い放った。


「¡Silencio, por favor!|(静かにしなさい!)」


その言葉を聞いた途端、俺の脳が揺らいだ。「……なんで、また……終わったはずじゃ…」と声がする。どうした?や大丈夫か?との問い掛けにも答えず、いきなりザミエルは消えた。


本当に、ふっと消えたんだ。

声が聞こえないんじゃない。存在を感じないんだ。


こんなことは初めてで…不安が込み上げてくる。俺の右手の指先…契約時に付けられた傷が痛む……いや、痛むっていうか冷たい??ジーンと感覚が無くなってくるような、指先だけ俺から切り離されて制御を失っていくかのような感覚が襲いかかってくる。


ついに、人差し指だけが痙攣しているかのように勝手に前後に動き出した……

俺は怖くなって咄嗟に反対側の手で指先を握った。


「あっっつ!」


熱い…いや冷たい!?もう感覚がよくわからない。

咄嗟に声が出てしまったため、数人が振り返り俺を見る。なんでもないって笑って誤魔化したけど、誤魔化しきれたかわからない。それどころじゃないほど俺は軽くパニックだった。


「ザミエル…居るんだろ!? 聞こえるなら返事しろよ……ザミエル!」と俺は必死に声に出したい気持ちを抑えてなるべく小声で問いかけ続ける。本当に居ないのか!?どこに行ったんだよザミエル……!!


こんな不安な状況の中数分放置され、ただノートに黒板の文字を書き殴ってるので精一杯だった。文法もトピックも新しい単語も何もかもが右から左に通り過ぎる。授業開始から60分後。やっとザミエルが戻って来た。ただ一言俺に確認するためだけに……


「大丈夫か?小僧」ってお前の方が大丈夫かよザミエル……


俺のこの確認は無視され、再びザミエルは消えた。だが、このやりとりから人差し指の感覚は徐々に戻っていき、授業後半の……昨日何した?って質問に俺が戸惑ってた時には、「パンを液体につけ…何やらベタ付く香りのするモノ作って…食べていただろう?」と助太刀してくれるぐらいには戻って来てくれていた。良かった…。


昨日とか…俺、本当にギャツビーしか記憶になかったからさ。

正直助かったし……安心した。


……っていうか、お前の中でフレンチトーストそんな位置付けなのかよ!!??

「何やらベタ付く香りのするモノ」って全然美味しそうに感じないんだけど!?!?

美味いじゃん。フレンチトースト。美味いじゃん!!!


そうして俺は今日もカフェテリアには行かず、昼は中庭に向かった。

周りから見たら1人で食ってる寂しい奴状態なんだろうな。


ま。別にいいか。気にせず何も考えず、昨日食った中庭の場所まで無心で歩いていく。

途中でいきなり声を掛けられた。


「…その草。キャットニップを…5、6枚摘んで左ポケットに入れといてくれないか…」


周りに人はいない。脳内で聞こえた気がする。でも、ザミエルがそんなこと言うなんて?え??俺に頼み事してくるなんてちょっと意味も意図も何もかもがわからず…脳が処理しきれなかった。


止まった俺に今一度声が掛けられる。


「前方3m先にある、紫色の小さな花が沢山付いている草だ…花の部分は要らん。葉と茎の部分だ…」


気のせいじゃなかった。ザミエルだった!!!

え???嘘だろ!?なんで!??え??は?……ザミエルだった!!!!


とりあえず、3m歩きしゃがむ。まじまじとその花?草??を見る

花壇の中にこそ生えているが雑草のように生い茂っていた。小さな薄い水彩絵の具のような淡い紫色の花と、力強い緑色の葉っぱのコントラストが特徴的な植物だった。


この植物は、こんな姿からは想像つかない様な…ちょっとレモンのような苦味のあるみずみずしい香りとミントのような爽やかな香りをほのかに発していた。


一応確認取る。


「……この草だよな?」


「…ああ。茎の部分の方が好きだから、もう少し根本から欲しい」


「…このくらいからか?」


枝分かれした茎の部分ギリギリを親指と人差し指で摘んで捻る。プチッという小さい音と共に、先程感じた香りが強くなった。

全くもってよくわからない行動だったが、悪い気はしなかった。

ザミエルの指示通り5、6枚詰む。


「……こんなもんでいいか?」


「…ああ。左のポケットに入れといてくれ…できれば胸ポケットがいい」


「丁度左には内ポケットがあるからそこに入れておくよ。これ、何に使うんだ?」


「……別に、ただ。お守りみたいなモノだ…」


「ふーん」


軽く返しながらスマホを触る。画像検索機能でこの草にカメラを向けながら調べる。

え?猫が好む草???


俺はふと、先程「茎の部分が好き」って言ってた気がする発言を思い出す……恐る恐る聞いた。


「……ザミエルお前、その…好きな食べ物とかある?」


「…ああ。それ(キャットニップ)だ。 花の部分も葉の部分も悪くはないが茎の部分が1番好きだ」


おっとぉ!!??

マジか!?ザミエル…お前、、、実は猫なのか!?猫さんなのか!?!?

姿が見えないからこそ、存在がわからない。だが、しかし…今確実に「ザミエル=猫」説が立ち上がったことは確かだ!!!


ちょっと楽しくなって来た俺は若干ワクワクしながら質問を重ねる。


「…嫌いなものも聞いていいか!?」


「水」


即答された!水って即答された!!!

え?やっぱ猫!?猫は水が苦手だって聞くし、もうこれは猫さん確定なのでは!?


「…ねぇ、じゃぁミルクとかって……」


「水よりは好きだが……さっきから、お前は何が聞きたいんだ?」


「え!? あ。いや!? 別に!??? 何でもない!!」


え?聞きました!? 水よりミルクが好きだって!!!

……もう猫さん確定でいいのでは!?!?


この新事実に俺は戸惑いが隠せない。え?嘘だろ??待って!?

拾った銃には悪魔がついていて…それは猫さん(ほぼ確定)!?


なるほど。わかった。「マスケット銃には猫さんが憑いてる…!!???」って事だな!!?


思い切り息を吸って吐き出す。

キャットニップの爽やかな香りが胸いっぱいに広がる。

30分経ってないのに「大丈夫か?小僧」と確認された気がしたが、、、まぁ。多分、気のせいだろう。


ただ具が挟まってるだけのサンドイッチ…何一つ味がしなかった。

次回更新:2025年6月30日(月) 20時頃予定!


お久しぶりですお嬢様。前回更新告知し忘れてましたね…w

ザミエルの正体についてのお嬢様の推理とか聞きたくなります。教えてくれても良いのですよ?

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