performative male
「ちょっと!? エイデン君!? あなたなんて格好してるの!??」
「え?」
「いいからこっち来なさい!!!」
ミラに袖を思いっきり掴まれて俺は連行された。
階段下の人目の少ないところでようやく止まった。
「有線イヤホン選んだ理由は?」
「え?」
「有線イヤホン選んだ理由。いいから答えなさい!」
「「”俺、アルゴリズムに魂売ってません”」アピールの「ほらやっぱり!!!」
ためです。」
ハモった上、混線しやがった。何この女……
「じゃぁ、その手に持ってるカップの中身、まさか抹茶ラテじゃないでしょうね?」
俺は、右手のカップをじっと見つめた。そして答えた。
「……抹茶ラテです。」
「理由。」
「女の子が好きそうなカフェに自然にいます感を出すためです」
「美容・健康的な俺アピールです。コーヒーで男らしくカフェイン決めてません」
「ああん!!!悔しい!はずした!!!」
「次、そのトートバッグは?」
「「俺、筋肉と革財布だけの男じゃないです」」
「よし!」
よし!ってなんだよ。。。てかなんでハモってくんだよ…
これなんのクイズだよ。。。ひでぇ……
「バックの中身。どうせエイデン君のことだから短絡的にフェミニズム本でしょ?」
「短絡的にってなんだよ!!!ひでぇな!!!」
「フェミニズム本でしょ?」
「………正解」
「せーのっ!」
「「俺は女性の痛みを理解しようとする男です」」
「ちくしょう…」
「……はぁ、呆れた。なんであなたそこまで完璧なのよ!!!」
「うるせぇ。黙れよ!!!」
「まさかその古着っぽいジーンズ、わざわざ買ったんじゃないでしょうね???」
「買ったに決まってるだろ!!!俺、金かからない男です!無頓着でもお洒落です!!だろ???」
「ばか!お金使って金かからない男アピールはバカよ!
……はぁ、イヤホン。片耳貸しなさい!」
「え?」
「いいから。ここまで来たら曲まで聞かせなさいって言ってんの!!!」
俺は渋々、片耳を渡した。ミラはイヤホンを耳元で抑えながら近づいてきた。
肩が触れる距離だった。
「……この曲……ずるい。」
「ん?」
「はぁ、ほんとあなた完璧ね。なんなの??? なんでそんな気持ち悪いぐらい女受け狙ってますミームで固めた男してるの???」
「え?」
「小物1つ1つが「俺は安全で文化的で女の話を聞く男です」アピールしててキモいわって言ってんの!」
「………だって、その。。。ほら。プロム、あんじゃん。」
「はぁ??? そんなんしなくても誘うわよ!!!ばか!!!」
「…え?」
「いいから。あと流石に見てられないからそのフェミニズムの本しか入ってないスカスカのトートバッグと抹茶ラテ寄越しなさい!」
「これ、飲みかけ…」
「わざわざ口にしないでよ!ばか!!!エイデン君の抹茶ラテ、ミラ飲むもん!!!」
「あっ……っす。」
ミラは俺のトートバッグと抹茶ラテを奪ってどっか行った。
俺は朝から強奪にあった。
プロムの件は聞き間違いだと思う。……うん。そう信じて日々を過ごすことにした。
エイデンは、立ち去る際にミラが
「私に誘われたくてそこまで頑張ったの?……バッカじゃない!……っ//かわいい」という言葉を聞き逃したため、また春を逃したのであった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
他ミラ回置いときますね。→ https://katakatacarter.com/cursed-bullet-paper/




