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記憶図書館_第1話 店長のやりがい

ここは記憶図書館。

山奥にある古びた大規模図書館である。

ここは他の公共図書館とは違った特徴がある。

それは一般人の記憶が収められている。

辛かった記憶。楽しかった記憶。嬉しかった記憶。悲しかった記憶。怒りの記憶。

たくさん納められている。

そんなの興味があるのかと思うが、意外にも人は訪れる。自分の記憶を本にするため、記憶を思い出すため、誰かの記憶を読むため。

今日もほら、何かの目的で人が訪れてきたようだ。


司書:槻


・記憶図書館_第1話


I. 店長の青い記憶


ここは山奥に静かに佇む記憶図書館。

司書の**(ツキ)**は、今日もまた訪れた客を迎えるため、黒い制服の胸元を整えた。

ここでは一般人の記憶が保管されている。

そんな記憶図書館にはいろんな目的を持った人が来る。

今日もまた来たようだね。

それでは仕事を始めようか。


午後8時。一人の男性が重厚な木製の扉を開け、静かに挨拶をした。


「こんにちは」


男性は受付に来た。


「こんにちは、今日はどういったご用件でしょうか?」槻はいつもの穏やかな声で尋ねた。


「え~と、初めてなんですけど」


「あら、そうなんですね」


「ここは主に一般の方の記憶を保管する図書館となります。ここでできることは、作者として記憶の保管をすることと他の人の記憶を見ること。もちろんご自身の保管された本も見ることはできます。人の記憶は意外にも曖昧だったり、短いものや長いものもあります。それは他の図書館と同様にとても薄い本もあれば辞書のように分厚いものもあります。そしてもう一つの特徴は貸し出しはできるものとできないものがあります。シールが貼ってあるものは作者が持ち出し許可を出しているものです。ここの図書館は4階建て、地下3階の大規模図書館です。おもに1階から4階は学生や一般の方の記憶です。地下1階から地下3階は性的な内容、犯罪、不可解なものなどの大人向けな記憶が保存されています。

何かご質問はありますか?」


「なんか、とても面白そうですね。今日は記憶を保管しに来ました。どうすればいいでしょうか?」


「そうでしたか! それではすぐにでも手続きを行いましょう。身分証明書はお持ちでしょうか?」


「持ってきてます!」


「それではこちらの用紙にご記入をお願いします」


こうしてある一般男性の記憶を保管することとなった。お話をしながら、手続きを進めているとその人のことがたくさん分かってくることも、この仕事をしていて楽しいことの一つだ。

この男性の年齢は54歳。職業はスーパーの店長。外見は白髪で、身長は低め、とてもやつれたように見える。着ている服はスーパーの制服のようだ。上着を着て隠しているようだが、胸元のエンブレムが少し見えている。今日は久しぶりに早く帰れる日だったため、寄ってみたようだ。


「こちらにはタイトル名を書いてください」

「こちらは作者名、あなた様のお名前を本に入れたい場合はここへ記入してください」


「作者名はちょっと恥ずかしいからいいかな」




「それではこちらへ」


男性は受付の横にある部屋に移動した。


「それではこの機械であなたの記憶をブック化します」


「ブック化とはなんでしょうか?」


「そのままですね。この機械を頭に装着してあなたの保存したい記憶を取り出し、それを本に変えることです」


「そんな機械があるなんてすごいですね!」


「かなりすごい発明なんですよ」

「それではいいですか、できるだけ鮮明に記憶を思い起こしてください。

あなたの素晴らしい記憶を」


作者の名前は藤林 裕也(ゆうや)。(ここで、現在の54歳から、記憶の始点である22歳に時間が飛びます)


------------------------------------------------------------------------------------


記憶:藤林 裕也(ゆうや)(22歳)


22歳男性。就活を終えた大学生だ。特にやることもなく、資格も持ってない。日常に無気力だった。 人生がつまらない。でもどこでもいいから就職しないと生きていけない。だるい。 とりあえず家に帰り、父親に報告した。おれは兄と二人兄弟で、なんやかんやあって父子家庭だ。


「おれ、スーパーに就職することにした」


おれは無表情でそう言った。父親は、その言葉を聞いて顔色を変え、テーブルを叩いた。


「おまえな、何のために大学入れたと思ってんだ!?」


その声は、かつてないほどの怒りと失望を含んでいた。


「おれはな、おまえをスーパーなんかに就職させるために、夜も昼も働いて、体を壊してまで大学に入れ

たんじゃないぞ!大企業に就職しろなんて言わねぇ。だが公務員にはなっとけ。おまえに安定を与えて、おれと同じ苦労をさせない。それがおれの夢だったんだ!」


「もううんざりなんだよ!」 「親の引いたレールをただ走るなんてことだけはしたくねぇんだよ!!父さんの夢なんて、おれには関係ない!」


裕也の言葉は、ナイフのように父の胸に突き刺さった。父は一瞬で血の気が引いた顔になり、震える手で茶碗の湯呑みを握りしめた。


「おまえなぁ、スーパーなんてめちゃくちゃ大変なんだぞ。おれが過去にどれだけ大変な思いをしたか知っているだろ!おまえは、おれの過去を否定するのか?」


「仕事なんてだいたい大変だろ。それに、父さんの過去の苦労なんて、おれには関係ない!」


「...そうか。そこまで言うか。んじゃあやってみろ。もうしらねぇ。好きなように生きろ」

「でもな、人を感動させられるような、誰かの人生を照らすそういう生き方をしろ。おまえみたいに消去法でスーパーに就職してるようなやつは、**一生誰からも必要とされない。**いい人生なんて送れやしない」


「うるさいな!!二度と口をきくな!」


裕也はそう叫び、部屋を飛び出した。その日から、裕也と父は完全に絶縁状態になった。

こうしてその1ヶ月後、父は過労による体調不良で運転中に意識を失い、交通事故で死んだ。父が倒れるまで働き続けたのは、おれを大学に入れるため、そして安定した職につかせるためだった。 けんかをしてから父の死までの1ヶ月間、父親とはほとんど会話をしていなかった。最後にしっかり会話したのが、あのおれの心ない一言を発した時の激しい喧嘩だ。父の死後、兄から父の残した借金と、病気の診断書を見せられたとき、おれは膝から崩れ落ちた。 ごめんなさい、父さん。あの時、あなたが体を壊してまで稼いだ金を、「関係ない」と言い放ったおれを許してください。

________________________________________


スーパー就職初日。大学を卒業し、父親はもういない。 行きたいわけでもない場所へ行き、やりたいわけでもないことをやる。


「藤林君さ、初日によく開店時間に大遅刻できるね。うちは人手がないんだ。次はクビだと思ってやってもらわないと困るよ」


「はい、すみません」


「なんで遅れたの? 君のせいで、朝の品出しが壊滅的なんだ」


「寝坊です」


「言い訳にもならない。君みたいな無責任な人間は、うちでは通用しないよ」


「はい...」

________________________________________


記憶:藤林 裕也(ゆうや)(23歳~40歳)


人生がつまらない。やりがいもなにもない。ただ大変だ。 (数年後、事態はさらに悪化した)応援でなんであんな遠いところまで行かないといけないんだ。 片道2時間半ありえない。しかもそれは、倒産寸前の、問題が山積みの店舗だった。


「やっと着いた...」


藤林 裕也は店内に入っていった。店内はゴミが散乱し、異臭がしていた。 最初に見つけた店員に話しかけた。


「お疲れさまです。○○店から応援で来ました。藤林です。責任者は?」


「今日店長、体調不良で無断欠勤っすよ」

「てきとうにはじめちゃって大丈夫だと思います。誰も責任なんて取りませんから」


これがスーパーの悲惨な現状だった。社員はおれ一人。責任者はおらず、アルバイトとパートさんだけで回している。商品の発注も、シフト管理も、全てが崩壊していた。

おれは品出しを始めた。するとさきほど話しかけたパートさんがこちらにやってきた。


「あんた、なんでそんなに効率悪いの? 新しい箱ごと交換した方が早いって言ったでしょ!あんたのせいで、売上が落ちるじゃないの!」


「いえ、カッターで商品が傷つくと大変なので」


「何様よ、あんた! 経験もないくせに口答えなんかして。社員ってだけで偉そうに!あんたみたいな無気力な新入社員が来るから、店がダメになるのよ!」


パートさんは、公然とおれを罵倒した。他の従業員も、冷ややかな視線を向けるだけだった。 **『無気力』という言葉が、父に言われた『消去法でスーパーに就職してるようなやつ』**という言葉と重なって、胸に突き刺さる。

おれは退勤して、片道2時間半かけて家に帰った。帰った頃には21時近かった。


「つかれた...」 「明日は朝の8時からか……もうやめたい」


おれは、毎日のように人格否定され、責任を押し付けられ、それでも父の言葉と借金という見えない鎖で、この店に縛られ続けた。

そしてまた、数年後のおれ、誰も引き受け手のいない、この崩壊寸前の店の店長になったのは30代後半。 この店長の始まりが、文字通り生き地獄の始まりでもあった。


何年か続けていが、店長になって数日で気づいたことがあった。おれの睡眠時間は平均3時間だった。出勤は8時から翌朝の2時までが普通であり、バイトやパートを雇ってもすぐにバックレていき、常に欠員状態。おれがレジ打ち、品出し、発注、シフト作成、トラブル対応、全て一人で回すしかなかった。

電話が鳴り、学生が応募してきた。面接の日程が決まったと思ったら、当日面接に来ることはなかった。かなしいぜ。誰も、こんな店に来たくない。

ある日、過労で意識が朦朧とする中、発注ミスにより大量の在庫を抱え、数千万円の損失を出した。上司からは**「おまえが責任を取れ」**と激しく罵倒され、**その場で土下座させられた。その頃、おれはもう40代だ。40代でも、人前で土下座させられ、泣いて家に帰ることはある。 家に帰っても、電話は鳴り止まない。真夜中の2時。「店内に泥棒が入ったようだ」。おれは疲れ切った体に鞭打って店に戻り、明け方まで警察の対応をした。 おれはもう一人の人間ではなかった。店という巨大な機械の、壊れた歯車だった。バイトやパートさんのミスをかばうのも仕事だ。しかし、あまりにもトラブルが多すぎた。 ある日、おれは疲れ果てて、店の裏の段ボールの上で一晩中寝てしまった。朝、パートさんに起こされたとき、「店長がこんなところで寝るなんて、この店はもう終わりだね」**と、嘲笑された。


そんな地獄のような日々の中、ごく稀に、父の言葉を思い出す瞬間があった。「人を感動させられるようなそういう生き方をしろ」

ある日の出来事。あるお客さんをバイトの子が対応していた。


「おい、この商品穴開いてたぞ!どう落とし前つけるんだ!」


その客は、商品が車の座席にこぼれたと主張し、慰謝料を要求してきた。バイトの子は泣き崩れた。

おれはすぐに走り、


「お客様大変申し訳ございません!私が責任者です!」


駐車場へ向かう途中、バイトの子が、**「店長、ごめんなさい……ごめんなさい!」**と、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら、おれの背中に向かって必死に叫んでいた。

おれは、振り返らずに手を上げて合図をした。「大丈夫だ、任せろ!」と。 クレーマーの対応、警察沙汰、人手不足。店長は地獄だが、その地獄の中で、たまに「誰かの人生を照らした」**感覚があった。


「あのすみません」


店内に入ってきた子供がおれに話しかけてきた。


「はい、どうしたのかな」


「カギなくしちゃって...」


子供は、スーパーに来るのが初めてで、鍵を失くしたら家に帰れないと、今にも泣き出しそうだった。

おれは、その子の絶望の顔を見て、父を亡くしたあの日の自分を重ねた。

落とし物を探すため、おれは汚い店内のサッカー台をずらし、ゴミの山をかき分け、這いつくばって探した。その時、子供が言った。


「あった!!!」


「あ、これかい?」


「うん!!これ!!おじちゃん、ヒーローだ!!」


「いえいえ!」 「また買い物しにきてね!」


『ヒーロー』。その一言が、おれの胸の奥に、父の言葉が灯した炎のように燃え上がった。

辛いことと嬉しいことが9対1くらい。いや、99対1くらいでも、嬉しいことが1あるだけで全く違った。おれは、父が言った『誰かの人生を照らす人間』になれているのだろうか。

おれは50代になった。墓前で手を合わせた。

「父さん、おれは人を感動させられる人間になったのだろうか」 「あのときはごめんなさい。**毎日地獄だったよ、スーパーは。**本当に死ぬかと思った。でも、父さん、おれは今は誇りを持ってやってるぜ。おれが店を辞めたら、誰がこの店を、この地域の食卓を、守るんだ」

おれは墓をきれいに掃除してから、もう一度手を合わせた。 綺麗に掃除したはずのお墓に水滴が滴り落ちていたことは、過労と後悔の涙だと、誰にも言わなかった。



----------------------------------------------------------------------------------


記憶図書館にて(現在)


「お疲れさまです」


おれは目を覚ました。ずいぶんと長い夢を見ていたような感覚だ。目の前には司書さんがいた。


「涙を拭きますか?」


司書さんはポケットからハンカチを出してそう言った。


「あれ、なんで...」


おれはびっくりした。なぜ涙を流しているのだろう。


「大丈夫ですよ。記憶をブック化する方で終わった後に泣いている方はたくさんいます」

「この機械は作者様の記憶を鮮明に呼び起こして、記憶をプログラムにコピーさせ、紙に写します」

「そのため当時のことをフラッシュバック、走馬灯のように流れるため、思い出して感情があらわになる方はたくさんいます」


「そうなんですか...」

「なんか...ほんとうに辛かったんです...」


自然に大粒の涙が出てきた。


「父さん...父さん...」


司書さんのハンカチでたくさん泣いてしまった。吐き出せるものがなくて、吐き出せる時間が無くて、吐き出せる人がいなくて...


「ありがとうございました」

「とてもスッキリしました」


「いえいえ」

「よく気持ちを書き出すと客観的に見られて、気持ちを整理することができると言いますが、この機械にも同じ効果があるみたいですよ」


「そうみたいですね、とても落ち着きました」


「それでは本格的に本にしていきます。さきほどの受付の席でゆっくりしていてください。本当にお疲れ様でした」


おれは席に着いた。(ツキ)さんがお水を出してくれた。

数分待って奥の部屋から(ツキ)さんが出てきた。


「それではこちらがあなたの記憶が入った本になります」


出てきた本はすべてが青色の表紙でタイトルだけが大きく書かれていた。


「こちらは最初の手続きの際に記入してもらったタイトル名がそのまま使用されています」


「この色って...」


「ブック化したときに本の色はジャンル別で決まります」

「あなたの色は青」

「この色は苦悩や、強い後悔、そして乗り越えた努力の記憶の色です」

「この図書館は基本的に記憶のジャンル別で分けられています」

「楽しい面白い記憶は赤などの明るい色、希望を得られた記憶などは黄色、犯罪などの記憶は黒などの暗い色、甘酸っぱい青春などはピンクや水色、そして辛い記憶はほとんど青色です」


「そうなんですね」

「なんかいろんな人の記憶を見てみたいですね」


「そう言っていただける人はたくさんいますよ」


「ははは、ですよね」


「それではこちらの本は作者名を記載しなくて大丈夫ですかね」


「あ、やっぱり記載してもらうことはできますか?」


「大丈夫ですよ」


(ツキ)さんはまるで記載してほしいことが分かっていたかのように、笑みを浮かべて言った。


「ブック化したあとにやっぱり作者名を記載してほしいと言う方もたくさんいるんです」


「ははは、そうなんですね」


おれはなんだが(ツキ)さんがとても不思議な人だなと思った。


「それでは記載しますね」

「こちらは貸し出しありにしますか?」


「あ~」

「じゃあ一応ありでお願いします」


「分かりました。それでは貸し出し許可のシールを貼りますね」


「はい!お願いします!」


数分経って(ツキ)さんが口を開いた。


「それでは完成しました」

「こちらの本は記憶図書館でしっかりと保管させて頂きます。本日はありがとうございました」

「あなた様の貴重な人生の一部を提供して頂きありがとうございます」

「本は読んだ方の感想やコメントなども書いて頂いているので、もし良ければまたお越し頂いてどのような方が見て頂いたのか確認に訪れるのも楽しいと思いますよ」


「はい!」

「ありがとうございました」

「忙しい人生ですけど、また来たいと思います!」


「いえいえ、またのお越しをおまちしております」


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ここは山奥にある記憶図書館。

司書の名前は(ツキ)

ここでは一般人の記憶が保管されている。

そんな記憶図書館にはいろんな目的を持った人が来る。

今日もまた誰かが訪れてきたようだね。


「こんにちは」


一人の男性が訪れてきた。


「こんにちは、今日はどういったご用件でしょうか」


「今日は本を見に来ました」


「そうですか、それではこちらにお名前をどうぞ」


「いや~ちょっと仕事に疲れちゃいましてね、気分転換に来ました」


「そうなんですね、ぜひぜひ見ていってください」


槻はその男性にこの図書館の詳細をざっと説明した。

訪れた男性は名前を記入し、館内へ入っていった。


その男性は何か面白い本はないかと本をあさっていた。

2階へ行き、青色の本棚がずらりと並んでいるエリアで一つの本を手にした。


「へぇ~、面白そうだな」

「タイトルは<店長のやりがい>、作者は<藤林 裕也>か」

「へぇ~これ貸し出し許可なんだ。珍し」


ある男性は物珍しそうに言った後、いぶかしげな顔でぽつりと呟いた。


「…ん?この名字、どこかで見たような…まあいいか」


男性は青色の本を手に取り、受付へ向かった。


(ツキ)さん、これ借りたいんですけど」


「分かりました、それでは手続きを行います」



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数日後:本の返却と読者の感想


数日後またその男性は訪れた。

男性はカウンターにいる槻に話しかけた。


(ツキ)さん、これ返しに来ました」

「面白かったです!」


満足そうな顔をして、男性は少し忙しそうにトコトコと図書館を後にしようとした。


「今日はお忙しそうですね」(ツキ)は不思議そうに言った。


「はい!今日は近所の人と会食があるんですよ!」男性はわくわくしたような表情を浮かべている。


「そうでしたか!それでは楽しんできてください。またのお越しをおまちしております」


槻は笑顔で男性を見送った。男性は「店長のやりがい」を読み終え、清々しい表情で図書館を後にした。

槻は、いつものルーティン通り、返却された本を丁寧に確認した。表紙の青は、藤林裕也の人生の重さと、それを乗り越えた証を物語っている。

槻は汚れなどがないか確認をするために最後のページを開くと、読み終えた男性が書き残した「感想・コメント欄」があった。この欄は、貸し出し許可が出ている本にのみ設けられる、読者と作者(あるいは未来の読者)を繋ぐ空間だ。

そこには、短く、しかし熱のこもった文字でこう記されていた。


(ある男性が書いた感想)


「人を感動させられるような、誰かの人生を照らすそういう生き方をしろ。」

藤林さんの父親の言葉、胸に響きました。私は今、仕事で壁にぶつかっていますが、この本を読んで、辛さ(青)の先に、確かに「やりがい」という名の光**があることを知りました。

あの時、鍵を見つけてあげたときの子供の「ヒーロー」が、藤林さんの人生を救ったように、きっと私の仕事にも、誰かのための小さな「ありがとう」があるはずだと信じます。

自分もまた、誰かの人生に感動を与えられるような生き方をしたい。

ありがとうございました。


槻は、そのコメントを指でなぞりながら、静かに微笑んだ。


「そうか……彼もまた、藤林さんの『青』から、自分の『やりがい』の色を見つけたようですね」


藤林裕也は、自分の辛かった記憶を「誰かの役に立てば」という思いで「貸し出しあり」にした。彼の「青」い記憶は、他人の「青」い悩みを照らす小さな灯台となったのだ。


槻は、本を抱えて2階へと続く螺旋(らせん)階段を再び上り始めた。この図書館の記憶の本は、持ち主の人生が終わっても、誰かの心の中で生き続ける。それが、槻の誇りとする仕事だった。

2階の、青い背表紙が並ぶエリア。藤林裕也の本が収まるべきスペースは、静かに彼を待っていた。

槻は本を棚に戻す前に、もう一度そっと表紙を撫でた。

「藤林さん。あなたの記憶は、しっかりと誰かを支えていますよ」

本は、元の場所に戻された。その隣には、彼よりももっと濃い青色の、誰かの『憤怒』の記憶や、『絶望』の記憶が並んでいる。しかし、藤林さんの『店長のやりがい』は、その青い棚の中で、一際強く、乗り越えた者の静かな輝きを放っているようだった。


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その日の夜遅く、槻が戸締まりのために館内を巡回していると、カウンターの上に置かれたメモに気が付いた。 それは、藤林裕也が記憶のブック化を終えて帰った前日の日付で書かれていた。


槻さんへ 作者名:藤林 裕也 貸出:あり 追記タイトル:『おれは人を感動させられるような生き方をしただろうか』 ※父に言われた言葉です。これも、本の中の一部として、誰かに読んでもらえれば嬉しいです。


藤林は、**帰る直前、本に残された「父の言葉」を、自らの問いかけとして本の正式なタイトルにではなく、**記録として残してほしいと願ったのだ。しかし、システムの都合上、一度決めたタイトルを容易に変更することはできない。 槻は、静かに笑った。 「そうですね、藤林さん。もうあなたの記憶は、タイトルなんて関係なく、人を感動させ始めていますよ」 彼はそのメモを丁寧に折りたたみ、藤林裕也のメモを本の**奥付(最後のページ)に、感想欄の下にそっと挟み込んだ。さらにその控えを胸ポケットにしまう。


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<新たな訪問者の黄色い記憶>


ある男性が訪れたその翌日の昼下がり。

記憶図書館の重い扉が再び開かれた。


「こんにちは」


今度の訪問者は、40代くらいの女性だった。手には、藤林裕也がブック化した日に着ていた古いスーパーの制服のエンブレムを模したキーホルダーが握られている。


「こんにちは、今日はどういったご用件でしょうか?」


槻はいつものように穏やかに尋ねた。

女性は、少し緊張しながらも真っ直ぐに(ツキ)を見た。


「あの……ここへ来るのは初めてなんですけど......私は、藤林裕也さんの記憶を読みに来ました」


「藤林様の本ですね。よろしければ、**『店長のやりがい』**というタイトルでお探ししてもよろしいでしょうか?」


「はい。その本……昨日、私の知人が読んだと聞いて。おそらく夫の話(記憶)だと思ったんです。知人からこの図書館のことを聞きました。それに、数日前から少し夫の目の色が変わった気がして。

私も、あの人にとっての**『青い記憶』**がどんなものだったか知りたいんです」


女性は、藤林裕也が数日前、記憶のブック化を終えて図書館を去った後、その数日後に、彼をよく知る誰かが図書館を訪れていたことを示唆していた。

その女性は彼をよく知る人物から夫であろう人の記憶がこの図書館に青い本として記憶されてあることを告げられ、急いでこの図書館へ来たのだろう。

藤林裕也の「青い記憶」は、彼自身の人生だけでなく、彼の周りの人々の心にも影響を与え始めているようだ。


________________________________________


槻は即座に立ち上がった。妻、あるいは身近な人が、夫の記憶を追体験しに来る。この記憶図書館にとって、これほど尊い訪問はない。


「『店長のやりがい』は、貸し出し許可が出ておりますので、すぐにお出しできます。恐れ入りますが、少しお待ちください」


槻は迷わず、数日前に藤林裕也が自身の心と涙を整理した場所、そして昨日ある男性から返却されたばかりの場所である2階の青い本棚へと急いだ。


________________________________________



2階の静寂の中、槻は迷うことなく、棚に収まったばかりの青い本を見つけ出した。

「店長のやりがい」

青色の表紙は、数日前に藤林氏が涙を流してブック化した記憶の重さを今も伝えている。槻は本を手に取ると、再び静かに階段を降りた。

カウンターで待つ女性は、不安と期待が入り混じった表情で立っている。


「お待たせいたしました。こちらが、藤林裕也様の記憶です」


槻が差し出した本を、女性は両手で大切に受け取った。彼女は本の背表紙をじっと見つめ、小さく息を吐いた。


「夫が、数日前の夜、おそらくこの記憶を本にしてからでしょう**『自分は人を感動させられているだろうか』って、ぽつりと言ったんです。きっと、この本の中に、夫の言う『感動』**の理由があるんですね」


「ええ、その本は、彼が辛い経験(青)をどう乗り越え、いかに『やりがい』を見出したかが綴られた、貴重な人生の記録です。ご主人様の過去の苦悩、そして彼が選んだ誇りを、ぜひ心で感じてみてくださ

い」


女性は深く頭を下げ、「ありがとうございます」と(ささや)くと、受付を済ませて館内の2階の読書スペースへと向かった。 女性は読書スペースを見つけ、椅子にそっと腰を下ろし、本の1ページをめくった。 彼女がふと隣を見渡すと、青色の本棚の横には、黄色の本棚が並んでいた。


「いろいろな本があるのね」と小さな声で独り言を言った。


________________________________________


藤林裕也が家族にも見せなかった苦悩、そして店長という仕事への誇りが、彼の記憶図書館への訪問をきっかけに、ようやく妻へと共有されようとしている。

槻は、カウンターに戻りながら、藤林裕也が追記を願ったメモをそっと胸ポケットから取り出した。

追記タイトル:『おれは人を感動させられるような生き方をしただろうか』


「藤林さん。あなたの記憶は、今、あなたの一番身近な人を動かしました。きっと、それも**『感動』**ですよ」


槻は静かに目を閉じ、図書館を満たす無数の記憶の静かな足音に耳を傾けた。


________________________________________


奥さんは、藤林裕也の**「壮絶な青い記憶」**が綴られた本を読み終え、カウンターに戻ってきた。その表情は、先ほどまでの穏やかな表情ではなく、激しい動揺と、夫への底知れない愛惜に満ちていた。


(ツキ)さん……」


奥さんの声は震えていた。


「あの人は……あの人は、こんな地獄を、たった一人で……」


彼女は、カウンターに置かれた青い本を、まるで爆弾でも扱うかのように、そっと見つめた。


「夫は、家に帰ってきても、**『疲れた』としか言いませんでした。夜中の電話も、急な出勤も、ただの『仕事のトラブル』**だと思っていました。でも、実際は……毎日が、命を削るような戦場だったんですね」


奥様の目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。


「あの人が、職場で罵倒され、土下座させられ……それでも、『父の言葉』と『家族』のために、歯を食いしばっていたなんて。私は、ただ**『お疲れ様』**と言って、温かいご飯を出すことしかできなかった。もっと、何かできたはずなのに……」


彼女は、胸元を強く握りしめた。


「あの『店長のやりがい』の裏に、父への後悔と、死ぬかもしれないほどの過労があったなんて、知らなかった。知らなすぎました」


槻は静かに耳を傾けていた。彼の経験上、他人の記憶を深く読んだ人間は、もはやただの第三者ではない。その記憶の一部を背負い、自らの行動を変えるほどの感情の負荷を得る。


奥様は、しばらく嗚咽を漏らした後、藤林裕也の記憶の最後のページを開いた。


「あの...この本の感想・コメント欄に、私も何か書いてもよろしいでしょうか」奥さんは尋ねた。


「もちろんです。作者様が許可した**『貸し出しあり』の本は、読んだ方が自由に『未来の読者と作者へ向けたメッセージ』**を残せますよ」


奥さんはペンを手に取り、藤林裕也が「おれは人を感動させられるような生き方をしただろうか」という問いを込めた青い本に、自身の言葉を書き加えた。


________________________________________



(奥さんが書き加えた感想)


裕也さん。あなたの**「青」**は、私が思っていたよりずっと深く、冷たく、痛々しかった。

『自分は人を感動させられているだろうか』――

ええ、あなたは、私を心底感動させました。そして同時に、激しく後悔させました。

私は、あなたの妻なのに、あなたが土下座させられて泣いて帰った日、あなたの苦しみに気づいてあげられなかった。

誰かのカギを見つける「やりがい」も、バイトの子のミスをかばう「責任」も、あなたの生き方そのものです。

私の分の**「ありがとう」**も、この本にそっと挟んでおきます。


________________________________________


感想を書き終えた奥さんは顔を上げた。その顔には何かを決心したような希望をにじませていた。

あなたの『青』**の苦しみを、少しでも和らげるような、そんな記憶を、私は残したい。


奥さんは濡れた目で槻を見た。


「槻さん。私の記憶を**『夫の背中を照らすための黄色』**というタイトルで、ブック化してください。藤林裕也の青い記憶を、読んだ後に残った、私の決意を」


「奥様...かしこまりました。その記憶は、藤林様にとって、そしてこの図書館を訪れる全ての方にとっ

て、非常に**意味のある『黄色』**になるでしょう」


槻は静かに奥さんの手続き用の用紙を取り出した。


「それでは、作者名と、タイトル名を記入しますね。奥様のお名前は...?」


奥さんは、涙を拭い、まっすぐに答えた。


「藤林 美咲(みさき)です。そして、貸し出しは...**『あり』**でお願いします。夫の『青』の隣に、私の『黄』が本棚に並ぶことで、誰かの家族の支えになれれば、それが私の『やりがい』です」


美咲は先程読書スペースの横にあった青色の本棚の横が黄色の本棚であることを思いだしていた。


これで藤林美咲さんの、壮絶な**「青」の記憶を知った上での「黄色」**の記憶のブック化が決定しました。


________________________________________



司書:(ツキ)は、藤林美咲の決意に満ちた表情を見て、すぐに手続きを進めた。


「藤林美咲様。こちらの用紙にご記入ありがとうございます。タイトルは**『夫の背中を照らすための黄色』、素敵なお名前です。黄色は、『希望』や『活力』、そして『献身的な愛』**を示すことが多い色です」


「はい。あの人の**『青』の隣に、私の『黄』**が並んで、太陽のように彼を照らせるなら、それ以上望

むものはありません」


美咲は、夫が数日前に入ったのと同じ受付横の部屋へ移動した。


「それでは、この機械であなたの記憶をブック化します。ご主人様と同じく、この機械を頭に装着して、保存したい記憶を鮮明に思い起こしてください」槻が優しく促した。


美咲は深く息を吸い込んだ。彼女が思い起こすのは、夫の苦悩を知らずにいた、しかし、精一杯夫を支えようと努めた日々だ。


作者の名前は藤林 美咲(みさき)


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夫が店長になってから、あの人の顔から笑顔が消えた。いつもやつれていて、帰ってきたらすぐに制服のまま倒れ込むように寝ていた。

私も、最初は不満を持っていた。

「どうしてうちの夫だけこんなに大変なの?」「どうして家事を手伝ってくれないの?」と。


ある日、夫の制服から、胃薬と栄養ドリンクの空き瓶がたくさん出てきた。そして、「辞表」の書き出しが何度も消されたメモを見つけた。

私は怖くなった。このままでは夫が壊れてしまう。

それから、私は家の中の全ての「負」の要素を排除することに決めた。

夫が帰る時間は毎日バラバラ。でも、いつ帰ってきても風呂がすぐに入れるように湯を張り、洗濯物を畳んで枕元に置き、食べられるようにと温かい食事を保温ジャーで準備した。

夜中の2時に電話がかかってきて、夫が飛び起きて店に向かうとき、私は無言でコーヒーを淹れ、エナジージェルをポケットに忍ばせた。夫が**「ありがとう」**と言う間もなく、家を飛び出していく背中を、私はただ見送った。

それは、『支えている』という実感よりも、『邪魔をしないように』という孤独な献身だった。

夫が上司に怒られて、泣きながら帰ってきた日。私は何も聞かなかった。ただ、背中を丸めて泣く夫の横に座り、そっと頭を撫でた。夫が何も言えなくても、**「あなたは悪くない」**と、無言で伝えたかった。

そうして、私たち夫婦の会話は減った。でも、私は信じていた。この人は、きっと誰かのために、必死で頑張っている。あの人が疲れ切った顔で、「今日、お客さんの子どものカギを見つけてやったんだ」と、数年ぶりに少しだけ誇らしげな笑顔を見せたとき、私は悟った。

あの人の『やりがい』を、私が絶対に守らなければならない。

私が体調を崩して入院したとき、夫は病院に駆けつけ、憔悴(しょうすい)しきった顔で土下座した。


「ごめん、俺が忙しすぎて、美咲をちゃんと見てやれなかった!」


私は、夫の手を握り、笑った。


「大丈夫。あなたの頑張りが、私の生きがいよ。だから、あなたは、**あなたのお客さんの『ヒーロー』**でいて」


この記憶は、悲しみも不満もたくさんある。でも、孤独な戦場にいる夫の背中を、家から見つめ、照らし続けたいという、私の希望と愛の記憶だ。


------------------------------------------------------------------------------------


「お疲れ様でした、藤林様」


槻の優しい声で、美咲は現実に戻った。美咲の目からは、静かに涙が伝っていた。


「...あの時の気持ちを、思い出すことができました。報われなくても、私はあの人の光であり続けたかった、と」


「ええ。とても温かく、**力強い『黄色』**の記憶でした。すぐに本にしていきますね」


槻は美咲をカウンターに戻し、数分後、一冊の新しい本を持って現れた。

その本は、夫の青い本と並べると、際立って明るい鮮やかな黄色の表紙だった。タイトルが大きく印字されている。


「夫の背中を照らすための黄色」

「完成いたしました。藤林美咲様の、貴重な記憶です。この本は、ご主人様の『店長のやりがい』と並べて、2階の一般記憶エリアに保管いたします」


槻は続けた。


「美咲さん、勝手ながら私は思いました。あなたは『もっと何かできたはずなのに......』と言っていたけれども、あなたは充分なくらいにご主人を支えていたと思いますよ」


美咲さんにはまた、とても純粋で、安心感のある、とても澄んだように潤んだ瞳がそこにはあった。


「ありがとうございます...... ありがとうございます......」


美咲はハンカチで目に覆い、槻に向かってただただ頭を下げるばかりだった。

数分経ち、美咲は自身の黄色い本を手に取り、目を細めて、落ち着いたように言った。


「ありがとうございます。これで、あの人がいつかまた、この**『青い記憶』を読み返したくなったとき、すぐに隣の『黄色』**に手が届く。そう思うと、安心です」


藤林裕也さんの**「青」と、妻である藤林美咲さんの「黄色」**の記憶が、今、記憶図書館の棚に並びました。


「とてもスッキリしました」美咲はハンカチを握りしめ、清々しい顔で言った。


「ふふふ、美咲さん、裕也さんと全く同じこと言っていますよ」槻は微笑ましそうにしている。


「今日は本当にありがとうございました。私たち夫婦の本が、多くの人に届いて、多くの人がこの本から何かを学んでくれたら私はもう悔いはありません。そして裕也さんが落ち着いた頃にまたこの図書館を訪れてこの黄色い本を手にしたとき、どのように思ってくれるのか、それがとても楽しみになりました。」


美咲は儚げで、とても安心したような、またとても優しい顔をしていた。


「こちらこそありがとうございました。美咲さんたちのこれからの人生がより良いものへとなっていくことを心から願っております。それではまたのお越しをおまちしております」


槻は笑顔で深くお辞儀をする美咲さんに、少し口角を上げて会釈した。


記憶図書館_第1話のテーマは<後悔と愛>


ここは記憶図書館。

山奥にある古びた大規模図書館である。

ここは他の公共図書館とは違った特徴がある。

それは一般人の記憶が収められている。

辛かった記憶。楽しかった記憶。嬉しかった記憶。悲しかった記憶。怒りの記憶。

たくさん納められている。

そんなの興味があるのかと思うが、意外にも人は訪れる。自分の記憶を本にするため、記憶を思い出すため、誰かの記憶を読むため。

今日もほら、誰かが満足そうな顔をしてこの図書館を後にする。


次はどのようなお客さんが来るんだろうか。

そしてどのような記憶を持っているのだろうか。

読者はどのようなことを思うのだろうか。


今日もほら、何かの目的で人が訪れてきたようだ。


司書:槻

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