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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追い出された~だけど発動条件を満たせばどんな魔法も発動することができるようだ~【連載しています】

作者: 空月そらら

 「ああ......外れスキルを引いてしまった」


 私の名前はラゼル、異世界転生してから十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。

 

 私の前世は確か大学生だった......。


 だが交通事故で死んでしまい今に至る。


 最初は慣れない生活だったが転生した先は金持ちの家だったので不自由なく生活出来ていた。


 今までは――――

 

 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れのスキルを当ててしまったらしい。


 「もう一度鑑定して下さい! きっと何かの間違いです!」


 「そうに決まっている! この子はレスト家の血を引いているんだぞ? 最強のスキルに決まっているだろ!」


 医者と会話をしているのは両親だ。


 ただ私のスキルは鑑定ミスだと主張しているらしい。本当にそうならいいが。


 「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」


 「何てことなの……」


 両親から酷く絶望され、医者からは憐みの目で見られる。最悪の気分だ。

 

 「では双子のもう一人である、クルスはどうだ?」


 「どうでしょうね……鑑定してみます」


 そう言うとクルスの方を見て鑑定を始める。


 「……おめでとうございます!クルス様は《剣聖》です!」


 「よくやった!それでこそ私の息子だ!」


 「クルス!あなたは自慢の息子よ!」

 

 クルスは当たりスキルを引いて両親に褒められている様子。

 

 そんな中、私は外れスキルを引いたせいでゴミでも見るかのような目で私を見てくる。


 そうして、スキル鑑定は終わり、私達は家に帰る。


 家に着くと、それぞれ部屋に戻るがクルスが私をからかいに来る。

 

「ハハッ!《コピー》なんてダッセェーよ、姉さん」

 

 クルス……双子の弟で最近イキりだし始めた。


 ただ言い返したら面倒なことになるし我慢しよう。

 

「姉さんはどうせ、一生外れだろ? これで俺はレスト家の次期当主だ! つまり俺の言う事は絶対なわけだ! なにせあの有名なレスト家だからな!」

 

「ふん」

 

「あ?何か文句あんのかよ?」

 

「別に」

 

 そう言って会話を終わらせる。


 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられているようだ。

 

 世の中は容赦ない。たかが1つの能力で、人生がどうにかなってしまうなんて。


 そんな中、父親が私に話があると告げてきた。正直行きたくはなかったが、仕方なく私は父の部屋に向かっていった。

 

「父上、お話とはなんでしょうか?」

 

「ラゼル、お前をレスト家から追放する」

 

「……え?」

 

 私は固まってしまった。


 だがこの発言は、家族内でいつでも私を家から放り出すことのできる《外排除の加護》を使った決定事項であることが分かってしまう。


「部屋にあるものは全て持っていけ、それと私を父上と呼ぶな。これからはレスト伯爵と呼べ」

 

 言いたいことだけ言うと、部屋から出ていってしまった。

 

 私は虚しさや、これからどうするかと色々な感情が溢れてくるが、感情を殺し、荷物を整理していく。

 

 そうするとクルスが私の所に近づいてくる。

 

「はははは! 父上が姉さんを追放するとは! 父上はいい判断をした! こんな無能が家にいても面を汚されているだけだからな!」


 私はこの言葉を聞いて、クルスにむかついたが、反論をする気力がなかった。


 そうして私は家を出て街まで歩いていく。

 

 もうこの家族に関わりたくない。だから遠くに離れようと進んでいく。

 

 しばらく歩き、人気のない雑木林に入った頃、人の声が聞こえてきたので隠れて、こっそり見る。

 

 そこで目にしたのは魔物に襲われている少女の姿が見えた。

 

 私はあまり戦闘の経験がないから、魔物の種類は全くわからないが巨大な蛇のようだった。


 巨大な蛇は少しずつ少女に近づいていっている。


「だ、誰か!助けて下さい!」

 

 話の流れ的には、襲われているって感じか......助けないとまずそうだ。

 

 戦闘経験はほぼなく能力も使いこなせていないがこの状況を見過ごす訳にはいかない。


「ちょっと待ちなさい!」


 そう言って私は蛇の前に飛び出した。

 

 

 「た、助けてください!」

 

 と少女は突然現れた私に助けを求めている。少女の近くには剣が転がっており、魔物に怯えている様子だった。


 少女の方を見ていると前方から蛇がこちらに向かって襲ってくる。


 蛇の攻撃をギリギリの所でかわし、私は手を挙げて外れスキルを発動する。


「《コピー》!」


 そう言うが何かが発生する気配はない。

 

 内心、心配と恐怖で焦るが蛇は私を執拗に襲い始める。


 私は逃げる事しかできず、防戦一方。このままじゃジリ貧だ。


 そうすると蛇が毒のような物を吐き出す。


「やば!」


 私は吐き出された液体をかわした。


 当たったら一溜りもない毒だ、絶対避けなければならない。


 そして着地した先には先ほど吐き出された毒があった。


 私はその毒に手を伸ばして、触れない程度に近くまで手を近づける。


《コピーッッ!》


 ――――――――――――――――――――――

 《ポイズン》がコピーされました。

 

 あなたが使用できるスキル一覧

 ・《コピー》

 ・《ポイズン》NEW!

 ――――――――――――――――――――――

 

 そう言った瞬間、体に衝撃が走った。

 

「これなら......!!」


 私は手をもう一度巨大な蛇に向けて言い放つ!

 

「《ポイズン》!」

 

 すると毒の液体が発生し、それを巨大な蛇が正面から被ると、蛇は苦しみだし、更にはしぼんだ。


 恐らく毒が回ってしまったんだろう。

 

 そうして巨大な蛇が倒れる。人生で初めて魔物を倒した経験だった。そう思っていると少女が私に近づいてくる。

 

「す、凄い! あの魔物を倒してしまうなんて!」

「今の魔物凄かったの?」

「凄いよ! あれはおそらくC級の魔物ね!」

 

 初めての実践だったが何とかなってよかった。


 そう実感していると少女が口を開く。

 

「あ……あなたは一体何者?」

 

 と少女は興奮していたようだがすぐに落ち着きを取り戻す。


「私はラゼル、家から追放されて全てを失った者」

 

「色々と訳ありね......私の名前はリズ。王都の冒険者をしてるわ」

 

 王都の冒険者か......どんなことしているんだろう?


「突然なんだけどラゼル、さっきの魔法ってあの蛇と同じ攻撃魔法じゃなかった?」

 

 そういえばリズの言う通り、私はさっき蛇と同じ能力が使えていた。


 あの時は必死で記憶が飛んでいるが、おそらく蛇の能力をコピーする事が出来たんだろう。


「私の能力は《コピー》なの。ただ全然使いこなせてなくてどうやってコピーするかもあまり分かってない」

 

「え、凄い能力じゃないそれ?」


 はたして凄い能力なのかな......今回はたまたまスキルをコピーできたけど発動条件が分からない以上、良いスキルとは言えない。


 でもたまに魔法を得られると思えば良いのかな?


 とか思っているとリズが話しかけてくる。

 

「ラゼルの事情はよくわかったけど、これからどうするつもりなの?」

 

 そうだ。追放されて住む場所もない。


 しかもこの魔物の死体をどうにかしない限り、血の匂いで他の魔物が寄ってくる。

 

 どうしようか……。そんな私の姿を見て心配になったのかリズが話しかけてくる。

 

「良かったら私が活動してる王都に来ない?お礼もしたいし」

 

「いいの?」

 

「どうせ私もすぐに王都に向かう予定だったから。ここで出会ったのも何かの縁だし」

 

 そう言われた私はお世話になることにした。


 本当にありがたい……この数時間でここまで良くなるとは人生わかんないものだなぁと思う。


 こうして私はリズと行動していく事になり、これは私自身の二度目の冒険の話の始まりだった。

 

「馬車代は私が払うから安心して。」

 

 そう言うとリズの表情は明るくなり。

 

「では王都まで出発しましょ!」

 

 私は頷きリズと一緒に王都へ向かうのであった。


 私はリズのお金で馬車に乗っていると会話がぽつぽつと始まる。


「ラゼルはなんで家を追放されたの?」

 

「普通に能力がないからって追放された」

 

「能力がなかったら追放なんてするの……!?」

 

 リズはドン引きしていた。まあそりゃそうだよなぁ、正直この世界の人達が能力ないと追放されるって考えがよく分からないし。

 

「外れスキルを持った人間なんて必要ないって感じだったよ」

 

「えー!酷い!」

 

 そう言った後、リズは少し不安な表情をして話す。

 

「確かラゼルのコピーってどんなの? 発動条件が分からないんだっけ?」

 

 うーん……色々使ってみようと思って手を広げるが何も反応がない。


 今まで色んな技を《コピー》しようと思ったが何も出来なかった。


 スキルってどうやって発動するんだ……。少なくとも何秒か手を開いてるけども全然できない。


「発動しない……」


 私がそう言った時、リズは余計に不安そうな表情をするがすぐに大丈夫と言ってくれた。


 まあ多少スキルの発動の仕方は違うのかもしれないし。それよりもリズの能力についても気になっているし話をしよう。


「そう言えばリズのスキルって何?」


 私が質問するとリズは口を開く。

 

「私は《剣士》スキルよ」


 そのスキルを聞いて羨ましい気持ちになってくる。


 私自身、外れスキルだからなぁ……いやでもスキルの効果とか色々あるじゃんって思うかもしれない。


 そう思っているとリズが私の方を見てきて口を開いた。

 

「もし行く当てがないなら私のパーティーに入らない?」

 

「いいの?自分の能力もよくわからないし、冒険者としての知識ほぼ全くないんだけど?」

 

 それを聞いたリズは笑って答える。

 

「大丈夫!私がリーダーだからその辺は相談に乗るわ!」


 この提案はめっちゃ助かるなぁ、私無一文だから路頭に迷ってたわけだし。


 冒険者の知識全くないんだけど大丈夫かなぁと思ったりする。


「ただ私めっちゃ弱いよ?戦力にもならないし。」

 

「いいよ!最悪私が守ればいいし!」

 

 頼もしいリーダーだ、見た目も性格もいい。同性なのに惚れそうなぐらいだ。


 こんな素晴らしいお誘いを断るのは勿体無いので即OKをした。


 そうして会話をしているうちに馬車が止まり王都に着き、衛兵による検問や通行料など色々検査されること数時間。


 馬車代を払い、私とリズは王都に入る事ができた。

 

「すっごく大きい壁だな」

 

 王都へと足を踏み入れた瞬間、第一に私の目を奪ったのは巨大な壁だった。


 それも相当な年季が入っているようだし一体何の為にあるのだろう。するとリズは私の疑問に答えてくれる。

 

「まあここはかなり攻めづらい立地してるからね? あとは戦争をする時の対策じゃないかな?」

 

 なるほど、と私が納得しているとリズはこれからどうするのかを聞いてきた。

 

「じゃあまずは宿屋とかで寝泊まりするためのお金を貯めなきゃいけないから……冒険者ギルドに向かうわよ!」

 

 そうしてリズは私の手を引く。そして巨大な門をくぐり、私達は王都に入るとそこには中世風のような町並みが広がっている。


「まずはラゼルの冒険者登録をしたいからギルドへ行きましょう!」


 そう言って私は冒険者ギルドへと向かった。


 ギルドに到着し、中へ入るとたくさん人がいる、依頼を受ける冒険者達に食事をする人々、賑わっているところを見るとおいしい食べ物がありそうだなぁ……そんなことを考えていると受付を見つけたので私は向かう事にした。


 だがそこには異様な雰囲気が広がっている。


「おい受付嬢! ここにあった肉を出せや! お前のとこのガキが横取りしやがった!」

 

 なんか受付嬢の胸ぐらを掴み、いちゃもんを付けいる男達がいた。


 下卑た笑みを見せているし恐らくそう言うことだろう。正直気分が悪すぎる、こいつらみたいなのが冒険者ならこの街を守る衛兵はなんなんだろう?


 まあそんなことよりもこの人達を止めないと……そう思っているとリズは猛スピードで男性の近くに寄る。

 

「やめなさい! 貴方達のやっている行為は立派な犯罪ですよ!」

 

 そう言われた男はこちらを睨みつけると口を開く。

 

「うっせぇなぁ? こいつの態度が気に食わねぇから躾てやろうとしてるだけだろぉ!」

 

 その下品な口調を聞いて更に不快感が込み上げてくる。


 。腹は立つがこいつらの正体にこの一言で察しがつく、どうせこれが仕事なんだろうなと私は思った。


「おい、嬢ちゃんねどかえとこいつがどうなるのか分かってるかぁ?」

 

 そう言って男は女性に刃物を当てようとする。私は仕方なく手を男に向け言葉を発する。

 

「《ポイズン》」

 

 私がそう言うと毒の液体が刃に当たりそれは落とされる。


 男達は困惑した表情を見せた後、動きを見せ始めるがリズはすぐに男に一撃を放つとその男は簡単にダウンした。


 それを見た女性は慌てて声を上げて、お礼を述べた。

 

「ありがとうございます!」

 

「いや、別に......」

 

 ラゼルは恥ずかしながらそう答えているとギルド内から歓声が上がる。

「見ない顔だがやるじゃねえか」

 

 なんて声が上がっている。正直初めて人から感謝をされたので嬉しい。


 そんな事を思っていると受付嬢が私とリズの所に来て話し始める。

 

「あのリズさんこの方は?」

 

「私の新しい仲間よ!」

 

 なるほどと頷き、受付嬢は冒険者登録をするための処理をしてくれる。


 受付嬢は書類を用意すると私はそれに記入して受付嬢に提出した。


 そうしているとリズが口を開く。

 

「これで私のパーティーは3人! そしてランクはBだよ!」

 

 冒険者になれるだけでいいなぁ。と思っていると受付嬢から話しかけられる。


「そういえばリズ様と同じパーティーのレズリタ様とはお会いになられたんですか?」


 受付嬢の話を聞いていると知らない名前が出てきた。パーティーを組んでいる人かな?


 私が疑問に思っているとリズが答えてくれる。

 

「今からラゼル連れて会うよ! 近くの広場で待ち合わせしてあるからね!」

 

 私達はギルドの受付嬢にお礼を言った後、冒険者ギルドを出て広場に向かった。


 広場に向かって歩いていると様々な街並みが見えてくる。


 こんな世界があったんだなあと感心しているとどうやらついたらしく、私は少し胸を弾ませる。


 するとリズはとある女の子に声をかけた。

 

「おーい、レズリタお待たせー!」

 

 リズがそう言った時、明るい雰囲気を持つ少女がこちらに歩いてくる。


「リズ遅かったよ~って誰その人!可愛い~!!」

 

 テンション高いなこの人、と思ったが口には出さない。


 そして私達3人はお互いの自己紹介を始める。


 まずはじめにレズリタという人物から紹介された。


 「私はリズと同じ冒険者でパーティーのメンバーの1人、《魔法》のレズリタだよ~宜しくね」

 

 明るい髪色をしている少女は元気に挨拶した。


 今度は私の番なので少女の方を見て自己紹介をすることにした。

 

「初めまして、私はラゼルという外れスキルを持ってる冒険者です、宜しくお願いします」

 

 レズリタは魔法使い、そしてリズが剣士だが2人とも当たりスキルで私の外れスキルなんて比べ物にならないんだろうなぁと思う。


 するとレズリタは安心した表情でこちらを見てくる。

 

「外れスキルなんて言わないの~! 使い方次第によっては化けるかもしれないんだから~」

 

 そう言ってくれたレズリタに感謝をする。


 もう多分外れスキルでも頑張って使うしかないんだと思う。


 そう思っているとリズが少し興奮している様子で口を開く。

 

「ラゼルの能力凄いんだよ! 全然はずれじゃないって!」


 その言葉を聞いたレズリタは興味が湧いたような目で私を見始める。

 

 私は少し緊張気味でいるとリズとレズリタは話しをしている。

 

「じゃあその力を訓練所で見せてもらうか~」

 

「さんせい~!!」

 

 私は見慣れない光景で緊張しているし不安しかない……大丈夫なんだろうか……。

 

 そんな事を思い始めているとリズとレズリタの行動は早く、ギルドに訓練所がないか受付嬢に聞く。

 

 そして私は3人で訓練所に向かうのだった。


数時間後、私達は受付嬢から聞いた訓練所に辿り着いていた。


 街の中心部からは少し外れているが問題はなかった、かなり設備が整っていて広々している。


「じゃあラゼルのスキル見せてよ~」

 

 そう言うとレズリタは私の手を引っ張ってきた、意外とパワフルな女の子だな……と思っているとリズも私に期待しているようで。


 正直面倒くさいと思いながら私はスキルを発動させる。


「じゃあ行くよ……《ポイズン》!」

 

 そう言うと左手に禍々しいオーラが溢れ出してきて毒の液体に変化する。


 私はその液体を地面に叩きつけると視界にあった地面は抉れ粉々になった。


 それを見たリズとレズリタはとても驚いた表情をする。

 

「何これ!? めっちゃすごいんだけど!?」

 

「え、なんでポイズンが使えるの~!?」


 攻撃力に関しても確かに高いけど当たりスキルと言われる程の物ではないだろう。


 何より毒の状態を変化させられないから攻撃範囲を自在に操れないのでまだまだ課題はありそうだなぁと考える。


 そう思っているとレズリタが近づいきて、私の手を両手で握りしめる。

 

「この魔法どこで覚えたの!?」

 

「この魔法ならリズが巨大な蛇に襲われているときにコピーした魔法だけど……」

 

 そう言うとレズリタは目を輝かせて様子で私の両手をブンブン振ってくる。

 

「え! そんな簡単に魔法を使えたの!」

 

 まるで自分のことのように嬉しそうな表情でずっと振り回してくる。するとレズリタは更に続ける。

 

「そのポイズンっていう魔法は普通使えないんだよ~! 魔族のスキルだからね~」

 

 そうなのか……とりあえずパーティーのお荷物にはならないと分かり安心してしまう。


 するとリズが明るい表情で話し始める。

 

「それじゃあこれからパーティーで活動していくにあたってラゼルに1つ話したいことがあるんだけどね」

 

「話って?」

 

「私たちのパーティーの目的なんだけど、国家直属の冒険者を目指してるの」


 それを聞いて一瞬唖然とする。国家直属の冒険者なんてそんなの漫画でしか見たことがない、そんな存在が実在しているのかと思ってしまう。


 だけどレズリタやリズが私に期待してくれていると言う事がよく伝わってくるので頑張ろうとは思う。


 正直この外れスキルでも生きてみたい。


「その国家直属の冒険者になるにはどうしたらいいの?」


 リズは待ってましたと思わんばかりの表情を浮かべ話しを続けた。

 

「ランクAに到達するのが国家直属冒険者になる最低限の条件なの、ランクSまで到達すると冒険者が集まる大会に出場することが出来るの! そこで優勝した人はスカウトされたり直接国王から声がかかったりするわけ」

 

 そこでレズリタが話しに入る。

 

「でも今の私たちのパーティーランクはBなのさ~、高難易度の依頼とかこなしても魔族が倒せないのよ~」

 

「なるほど……」

 

 正直面倒くさいと私は思ってしまったが、こんな私をパーティーに誘ってくれたんだし出来る限り頑張ろうと思う。


 するとレズリタがこんな提案をしてくる。

 

「ねえ! 私達と一緒に魔族狩りしてよ! それで大会で戦えるような力を付けるの!」

 

 それに賛同するようにリズはうんうんと頷く。


 正直無茶過ぎるような気がするけど、断る選択肢は私には無い。

 

「分かった。取り敢えずはランクを上げる為の依頼をこなしていけばいいのかな」

 

「そうだね~! B級以上の魔物を倒せればパーティーのランクも上がっていくと思うよ!」


 この外れスキルを駆使してやるだけやってみようと思う。

 

「よし! それじゃあ私たちのパーティーが王都で一番の冒険者パーティーになるように頑張ろう!」

 

 リズがそう高らかに宣言した。


 私もそれに応えるように右手を握る。


 そうして私達は宿屋に行き体を休めるのであった。

※ 連載してます


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