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右腕の操精者(スピリスト)  作者: くりくりくりーむ
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コスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコス

ドゴオオオオオン

拳に鈍い感触が伝わった途端、大きな爆発音とともに七色が吹き飛んでいった。

「グアアアアアアア!!」

七色は、50メートルほど先の大木にぶつかって止まった。俺は一応生死を確認しに駆け寄った。「クソ、どう…やら、僕の負けだ。君の…力量を…見誤っていたよ。まあ次は僕が…勝つさ。」

死にかけた声でそう言った。

「はは、勝っちまったよ。やっぱ俺つええ!」

「おお、握くん、勝ったのかい。すごいじゃないか。」

サイコパス乳首のお出ましだ。

「ああ、なんとかな。はっきり言って完全に切られたと思ったよ。」

そう。あの瞬間、わずかに七色の刀の方が先に振られていたはずだ。しかも実力のある七色が、タイミングを見間違えるってのも考えずらい。俺が速すぎたのか、まぐれか。しかし、乳首は予想外のことを言った。

「私も君の右腕は切られたと思った。」

「え?」

「七色のやつは、私から見ても間違いのないタイミングで刀を振るった。速度も申し分ないものだった。だが、七色は倒れ、君は立っている。なぜだろうね?」

少し考えていると、七色が意識を取り戻して起き上がってきた。

「そう、僕のタイミングは完璧だった。だが、君の拳は僕の目の前で急加速したんだ。まるで、磁石のように。」

「まじか、俺、めっちゃいい特殊能力持ってんのかな!」

「それは嘘だ。こいつの負け惜しみだ。気にしないでいい。」 

なんだこいつ。めちゃくちゃだせえ。

「私には、七色の剣は握君に当たった瞬間に溶けたように見えた。君の腕に吸収されるみたいにね。もう一度シコリティを全開にしてくれるか?握君。」

「わかったよ。」

俺は言われた通り、右腕にシコリティをこめる。すると突然マキシマムが、

「開眼☆乳首☆波動!!!」

「なっ」

あの即死技を放ってきた。どういうわけかは知らないが、あれを食らったら確実に死ぬ!

俺は咄嗟に身構え、右腕で防御した。

「何をするんだ、スピリスト!彼を殺すきか?」

「いや、そうではないよ。彼を見てくれ。」

完全に死んだと思ったが、なぜかどこも痛くない。どういうことだ?いや、

「何するんだよ乳首!死ぬところだったじゃねえか!」

そう言って顔を見せると、七色が驚いたような顔をしている。

「やはり。。握君、次はあの廃屋に向かって拳を振ってみてくれ。」

「なんで?」

「いいから。やってみなさい。」

どういうことだろう?納得はいかないが、言われた通りに拳を振るった。

すると、爆発音と共に、30メートル以上離れた廃屋が真っ二つになった。どうなってんだこれ!?乳首は落ち着いて話してきた。

「君はどうやら本当に、魂力を一時的に吸収したらしい。君は、手加減したとはいえ私の波動を防ぎ、七色君の技をあの家に放って見せた。おそらく君がシコリティを理解したことで、君の魂に刻まれたバースシコリティが解放されたんだ。君のバースシコリティはズバリ、敵のシコリティを自分に蓄積し、その直後の攻撃で全て放出する能力だな。ついでに言えば、君が次に拳を振るう時は私の波動が出てくることになる。」

「おお〜、なかなか強そうだな。」

乳首や七色にもある以上、俺にもあるとは思っていた。だが、こうやって開花するものなのか。

シコシコ豆知識①

七色昴は炎、氷、風、雷、闇、岩、音。そして斬、虚、霊を操る。そのうち、「斬」は、本来、多少のシコリティがこもった斬撃を飛ばすことしかできない。しかし、七色はこれを拳の内側に発生させ、自らを切ってしまわないように保護しつつ、さらなるシコリティで切れ味の強化と補強をすることで、剣として使用可能に改造した。それが、「属性昇華:斬」である。いずれは、仲間が結界内に閉じ込めた敵に、ゲラゲラと笑いながら斬撃を浴びせ続けるシーンが見れるかも知れない。 

 

試合に負けて勝負に勝つ。そんな有名なくさいセリフがあるが俺の場合は違う。

試合に勝って勝負にも勝つ。これが一番いい結果であろう。よく第三者は、失敗した方が得られるものが多いとふざけた口を叩く。だが俺は、それは弱者が逃げる言い訳を聞こえがいいように言っているだけだと思う。成功したものの方が失敗したものよりも確実に大きなものを手にすることができる。それが「自信」だ。「自信」は「余裕」を生み、「確信」につながる。ちんぽだって、立派に起き上がってくれれば自然と「自信」が生まれ、男の「余裕」もできるわけだ。そして大量の精子が放出されたその時、「確信」につながる。つまり、オナニーやらSEXやらは私たち人間に成功体験を教えてくれるのだ。…話が脱線してしまった。俺はこの1日でいろんなことが起こりすぎて限界がきてしまいそうだが、耐えれたことを心の底から賞賛して欲しいものだ。こんな表現はどうかと思うが、射精をすることで命を削りすぎた。だが、対七色戦で得たものは大きく、成功体験というものを心の底から実感することができた。もう、社会との関係を自ら切っていた、昨日までの弱い俺とは違うのかも知れない。これもあの男、マキシマム乳首とかいう、変態であり、サイコパスであり、最強である大男のおかげ。…殺された分は存分に恨ませてもらうが、受けた恩は絶対に返す。とは言っても、俺には乳首のような才能はないかもしれないし、七色のような戦術を編み出すことはできないかもしれない。実際乳首が俺を頼る場面なんて、正直思い浮かばない。でも、絶対に強くなってみせる。 

七色との戦いが幕を閉じ、運命の時間がやってくるのであった。

「お前の勝ちだシコリスト。賭け、だったよな。約束は約束だ。七色の極楽鳥花の中で誰を選ぶ?もちろん僕でもいい」 

らしくない口調で言ってくるが、俺は七色の極楽鳥花のメンバーを全く知らないため、欲しいやつがいるかと聞かれても、なんとも言えないのだ。ただあては一つある。 

「握くん。君の自由だが戦っていくためにも、ここは無難に七色くんを指名するべきだと私は思うよ」 

「確かに、七色の戦術と対応力の凄さには驚いた。流石はギルドランク4位のリーダーなだけある。シコリストでなければ、俺なんか滅多撃ちだったのだろう」 

でも、俺は、、正直、 

七色 昴がいらなかった。   

ちょっとシコリストのおかげで強いからってイキってんじゃねえぞって思うだろう。でも俺は、こいつに可能性を感じられなかった。だいたい、役割とか枠とかも被るしね!となれば、アスレチアの中で選ぶなら、一択だ。


「俺は、結界師の凩 衛がほしい」 

この一言に、乳首は愉快そうに笑い出し、七色は驚きながらも悔しそうに深くため息をついた。 

「あー、あぁ、そうだ、君たちは僕に会う前に、彼に会ったんだったね。んーーー、そうかー、凩を選ぶんだね。あいつは確かに役に立つし万能だな。。全く、悔しいじゃないか。」 

七色は小声で、

「僕もおちたものだな」と言った。 

「やっぱり握くんは面白いねえ。そしてそして失礼すぎだよねえww やっぱり、君と私は似ているね」 

確かに、いや、絶対に七色に失礼すぎることをした。でも指名は自由だと決めた乳首が悪い。うん、そうに決まっている。そして、似たくないランキング1位の乳首にこれを言われてしまうと本末転倒だ。

「この屈辱はいつか必ず晴らすからな。後悔するなよ、ぶっかけシコリスト」 

今起きた事の経緯、凩の移籍について、七色の極楽鳥花のメンバーに説明するために一度戻るとだけ伝えて七色はいってしまった。きっと、カオスになるんだろうなと乳首と共に予想してみたり(笑) 賭けのお遊びバトルとは言っても、本気でぶつかり合った仲。七色とは今後もライバルとしていい関係を築き上げていけるはずだ。とは言っても、経験的に差はだいぶ広がっていると思うが、他のことにおいてもあっという間に追い抜かしてやる。

俺は、なぜかそれができる確信があった。

「いやー、それにしても握くんさあ。成長スピードが尋常じゃないよ。これだからシコリストは狩街において強すぎるんだよねえ」 

「シコリストはって、あんたもバース・シコリティを持ってるって言ってたじゃないか!チクニストとシコリストの二刀流なんて、そんな絵に描いたような化け物あるか!」

こうは言ったものの、乳首から予想外の返答がきた。 

「ん?ああ、そう言ったかな。実は私はシコリストではない。確かに、バース・シコリティと技名を称してはいるが、これは私がリスペクトしていたプレイヤーのオマージュとしてつけただけなんだ。そのせいで、よく間違えられちゃうんだけどね」 

「え、じゃあ俺にさっき言ってたバースシコリティってのは??」 

「それは本当さ。握くんは正真正銘のシコリストだからね。君は本物だから安心していいよ。」 

なんだよ、超騙されていた。いや、勝手に思い込んでただけなのか。いやこれで、前に乳首が自分を偽物、と表現した理由もわかった。乳首はシコリストではなく、ただのチクニストなのだ。そんでもってチクニストのバケモノ。 ってことは、俺を除いた4人のシコリストは、いまだに正体不明ということになる。そんなことを考えていると、乳首が俺の方に手を置いていきなり、

「そして君に、TK⭐︎ビッグニュース!ついさっきギルドの申請、終わったよ⭐︎」

片目を閉じて、舌をだし、ダブルピースをしながら、わけのわからないギャグを言い放った。ここまで吐き気がする出来事はそうそう無い。例えるなら、胃の中でナマズがストリートダンスを踊っているような感覚だ。仕事が早すぎることには驚いたが、もし俺が負けていたらどうするつもりだったんだよというツッコミが頭をよぎる。

「ありがとう。質問なんだが、ギルド名とかって俺が決めれるのか?」   

ギルドといえば、一番肝心なのがそのギルド名だろう。ギルド名はギルドを選ぶときの判断に重要な素材であるし、純粋に楽しみであった。かっこよくて強そうなギルド名を名乗って、敵を殺す。そんな図を思い浮かべていたところだから胸が高鳴っている。そう考えると七色の極楽鳥花ってかっこよすぎだろ。どこぞの特戦隊とは違うな。はっきり言って、いくら強くてもあんなギルド名になっちゃおしまいだ。ここは慎重に決めたいところだったのだが、、 

「えーっとですね。勝手に決められていました」 

その言葉に一瞬にして心が折れ、残念がる俺。まるで、世界の終わりかのように。ただ、勝手に決められているといっても、ここ最近のAIのネーミングセンスは非常に高い。まだ諦めていなかった俺は、

「なんて名前だったんだ…?」

と小さな声で呟くと、乳首はこう言った。

「”TKB”だ」  


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