黒いトゲ
妄想の続きです。
私たちはアカリさんがいれた罅の入った黒いトゲを見ていた。
「これをユキリアは割れるのか?」
「うん。さっき割れたから割れると思う」
「これの他にもあるか?」
どうやら、お父様たちは教えたら見えるけど、目視はできないようだった。私は指を差して教えた。
「ユキリアに教えてもらうと見えるんだけどな。どうなっているんだ?」
「これはすごい魔道具でできている様ですね。巧妙な結界がはってある様です」
「キースは見つけられるのか?」
「はい。私は見つけられますが、オーランス様たちの様子を見ますと嘘ではなさそうなので、ほんとに言われるまで気付かないのでしょう」
「とりあえず、ユキリア割ってみてくれるか?」
私は罅の入ったトゲを割ると、もう1つまた近くのトゲまで行って、割ってみせた。
「やっぱりユキリアには割ることができるんだな。…キース、これは何か分かるか?ユキリアに害はないのか?」
「私も見たことがないので分かりませんが、この中には魔素が入っているように思います。こんな物はこの世界にないはずですので、人工物っぽく感じますが……。ユキリア様には魔素はきかないので、おそらく、大丈夫なのかと」
「ユキリアが大丈夫ならよかった。…んで、つまりこれは誰かが作ったわけだな」
そう言うとお父様はさらに奥にあったトゲのところまで行き、トゲを触る。
私たちもお父様に近付いた。
「お父様、大丈夫なの?」
「あぁ、触る分には大丈夫そうだ」
そう言うと今度はトゲを抜いた。
「…!?…父上?大丈夫なんですか?」
「あぁ、抜いても大丈夫そうだな。とりあえず、これを城に持っていき、研究してもらおう。何か犯人の手掛かりも分かるかもしれないし」
「父上、重くないか?」
「あぁ、俺は重くないが、普通の人は持てないだろうな」
「俺も持ちたい!」
タクスはそう言うとさらに奥のトゲを抜こうとしていた。だけど、抜けないようだった。
…あっ、身体強化した。抜けた。
タクスは前が見えないという感じでフラフラとこっちに持ってきた。
「タクス、危ないから置いておきなさい」
お父様に注意されている。タクスはえー!せっかく抜いたのにーって言いながらそうっと置いていた。
「はぁ、僕が持つよ」
お兄様はそう言うと簡単に持ち上げていた。
……お兄様、いつの間にそんな力が…?…身体強化してなかったよね?
「ラース、力強くなったな!父は感激した!」
お父様はなぜかテンションが上がっている。
「はぁ、あれだけ訓練してたら嫌でも力は付きますよ。タクスはまだ幼いだけで」
「幼くない!もう7歳過ぎた!」
「まだ7歳でしょ?僕はタクスの倍なんだからね。」
「…そっか。…倍ってなんだ?」
「タクスは屋敷に帰ったら勉強もしようか。さすがにしないといけないレベルですよ?父上」
「うーん。俺が勉強嫌いだったし、ラースがしてるからいいかと思ったが、さすがに学校行くまでには何とかしないといけなそうだな。…タクス、勉強しないと冒険者にはなれないぞ?」
「えーー!」
「この前、ちゃんと話聞いてた?テストさえクリアしたら学校に行かなくていいって言ってたんだよ?つまり、テストクリアしなかったら学校に行かないといけないんだよ?僕は来年から学校だから、早く始めないと教えられないんだよ?」
「うーん。……わかった。…」
タクスは頭を抱えながら返事をした。
私たちはいったん、このトゲを馬車まで運ぶことにした。
馬車まで運んで、アカリさんの様子を伺うと馬車に寝かせられていた。
「もう起き上がっても大丈夫って言っているんだけど、ディオが…」
「駄目だ。本当ならすぐにでも帰りたいところだ」
……うーん。演技だったなんて、言えないもんね…。…アカリさん、ごめんなさい……。
「ディオ、とりあえずトゲは2つ回収してきた」
「そうか。なら帰るぞ」
王様はもう帰る気満々だ。帰らないと言える雰囲気ではない。
お父様は馬車から離れ、私たちを呼んだ。
「ユキリア、まだありそうだったか?」
「うん。まだたくさんあった」
「…そうか。キース、この子たちを任せても大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫ですよ。あのトゲは消しておいた方がよさそうですからね」
「ユキリア、絶対無理をしないようにできる?ユキリアに何かあったらお父様は死んじゃうからな?」
「……うん。さっきのトゲはなんとかしたいけど、お父様に誓って無理はしないって約束する」
「よし!それじゃキース頼んだ!ラース、タクスをしっかり見ててくれ!タクスは良い子にするように!」
お父様はそう言うと、先に王様一家の馬車を操縦して、帰って行った。
誤字、脱字、読みにくいなどあったと思います。すみません。
読んでくれた方に感謝を。




