カオス
妄想の続きです。
あれから月日は経ち、私は7歳になっていた。
ロウガもこの屋敷の人たちととっても馴染み、よくこっそりおやつをもらってはキースに怒られるということを繰り返している。
ロウガももう成犬くらいの大きさまで成長しているけど、性格なのか、まだまだ子供っぽい。
今日も私はお兄様と一緒に勉強していた。
………なんか、今日は静かね。…そういえば、ハクトもロウガも私のそばにいないわ…。めずらしいわね。
キースはというと、もうこの屋敷にいる時は付きっきりそばにいることは少なくなっていた。お父様の手伝いや訓練の指導に力を入れているようだ。
「ハクトとロウガなら朝からキースとタクスが連れてってたよ」
……お兄様、私の心、読めるの……!?
「…ユキリアはわかりやすいよ?僕がそれだけユキリアのことを見ているんだけどね」
お兄様は私の顔を覗くようにしながら言ってきた。
……お兄様、そんな甘い顔はぜひとも私ではない女子にしてあげてください。……私でもキュンとしちゃう顔ですよ?……
お兄様はもう14歳で背も高くなり、まだ少し幼さを残しつつももう顔はだいぶ大人びている。かなりの好青年だ。これはモテモテまっしぐらなのでお兄様の将来が心配だわ。
「母上がまたアカリ様に何か聞いてきたみたいだったから、今頃、訓練場はすごいことになってるんじゃないかな?僕も誘われたんだけど、丁重に断ったからね。気になるなら一緒に見に行く?」
「……気になる。なんで私は誘われてないの?」
「ごめんね。僕がユキリアと勉強するからって断ったからじゃないかな?」
………お兄様は私を出しにして断ったんですね。……
勉強をさっさと終わらせて、2人で訓練場に向かった。
訓練場に行くと、すごいことになっていた。
楽しそうに追いかけるハクトとロウガに、悲鳴をあげながら逃げ惑う騎士たちに、楽しそうに走るお姉様とタクス。
高速で腕立て伏せや腹筋してる騎士たちの前に、ニコニコしたキースと隊長。
よく見るとお母様も一緒に走ってた。
………何これ……とってもカオスなんだけど……?…
「ね。これは断って正解でしょ?」
お兄様の判断は正しかった。
私とお兄様に気付いたお母様が私たちの所にやってきた。
「あら、ラースとユキリアもやっぱり参加しにきたの?」
「違うよ。どんなことしてるのか見に来ただけだからね」
……あれだけ走ってても息切れしてないお母様って何者なの?
「お母様たちはいったい何してるの?」
「アカリに楽しそうなこと教えてもらったから皆でやっているのよ。確か、オニゴッコって言ってたかしら?」
………鬼ごっこですか、……捕まったものは罰ありの。……よく見てると、捕まった人が高速で筋トレしてるわ。
「おー!ユキリアも兄上も一緒にやりに来たのか!」
いつの間にかタクスが近くにやってきていた。
「ぷきゅ!」
「げぇ!しまった!捕まった!くそー!」
私のところにやってきて、止まったことを良いことにハクトは容赦なくタクスにタッチしていた。
お母様は目の前から消えている。よく見るともう遠くに走って行っていた。
タクスはくそー!って言いながら、キースの所に行くと、うぉー!って叫びながら高速で腹筋していた。腹筋が終わるとまた参加してた。
……なるほど。……終わりのない鬼ごっこですか……。
とりあえず私とお兄様はキースのところに行った。
「ユキリア様もやりますか?これはなかなか良い訓練になりますよ」
……ニコニコ顔の鬼教官が私のことを誘ってくる。
「ううん。やらない。…いつからやってるの?」
「朝食を食べた後に聞いたので、その後ぐらいですかね。捕まった者が何もないのでは面白味にかけるので隊長さんと相談して筋トレさせてるんですよ」
……朝からとか鬼!……今もう4時すぎなんだけど……!
「皆ちゃんと昼食は食べた?」
「もちろんですよ。無理させ過ぎると効率が悪いので、昼食と小休憩はきちんと挟んでます」
………無理させてる自覚はあったんだ…。…ハクトとロウガなんて普通の目では追えないぐらい早いんだからね。…今日は加減してるようだけど、それでもとっても早いよ?
そんなことを話していると、私に気が付いたロウガがしっぽ振りながら私のところに走ってきた。
……そんなキラキラした目で見ても、私はやらないよ?
ライがロウガに念話してくれたのか、ロウガは私の前までくるとお座りして待っている。
こうやって見ると、ロウガは普通の犬にしか見えないね。
「ユキリア様はやらないみたいですし、そろそろ終わりますか」
それを聞いた隊長さんがやめー!と皆に終わりを告げている。騎士たちはやっとかーと皆次々とその場に倒れていた。
…だいぶきつかったのね。…皆が救世主がきたって顔で私を見てくるわ。
「えー!もう終わりなのー。すっごい楽しかったのにー」
「あら?アリアも楽しかったの?またやりましょうね」
「またやろー!俺もすっげー楽しかった!」
「ぷきゅ!」
ハクトは私の腕の中に飛び込んできた。ハクトもとっても楽しかったようで、お母様をキラキラした目で見ている。
「これは訓練の息抜きに丁度いい。定期的に取り入れようかと思うがキース殿はどう思う?」
「とってもいいと思いますよ。ハクトとロウガの加減の訓練にもなるようなので私からもぜひやっていただきたいぐらいですよ」
「そうか、なら定期的に取り入れることにしよう」
「やったぜー!」
「やる時はわたくしにも教えてくれるかしら?できるだけ参加したいですわ」
………お母様?……
ここの話し合いが聞こえていた騎士たちは皆、死んだ目をしていた。
誤字、脱字、読みにくいなどあったらすみません。
読んでくれた方に感謝を。




