聖獣
妄想の続きです。
村人たちを家に帰し、誰もいなくなったことを確認すると、キースがその『聖獣』に近付いた。
「どうしてここまで来たのです?あなたはそろそろ消えるはずでしたでしょう?」
「私もそのつもりで魔森でひっそりしてましたが、神様からのお告げがあり、ここまで来ました」
……この『聖獣』は女性なのかな…?…さすがに子供っぽくないし、女性の声だわ…。
「…はぁ…いったい、どんなお告げがあったと言うのでしょう」
「私にもよくわからないですが、とりあえずここに行けと。そして、私はここに来る途中になぜかわかりませんが身ごもりました。ここらに着いたのは1ヵ月ほど前ですが、子供が産まれそうでしたので出てこれずにいました」
「この雨はあなたのせいでしたか。ほぼ限界まで魔素を吸っている状態ですからね。異常気象もあるでしょう」
……そんなこともあるんだ。……子供はどうなったんだろう…?…聞いてみよ。
「子供はどうなったの?」
「無事、産まれたのですが…」
そう言って姿勢を少し上げると、お腹のところから真っ黒な子犬が出てきて、私たちに飛び掛かろうとしてきた。『聖獣』はそれを止めて首根っこを咥えると、またお腹の所において押さえた。
「このように魔物として産まれてしまって、私も困惑しています。そもそも、なぜ子供ができたのかもわかりませんし…………ヴっ……うぅ……」
説明してくれていた『聖獣』は突然、苦しみ出した。
…もう少しで、消えるって言ってたし、かなり苦しそう……。
そう思った私は自然と体が動いて、その『聖獣』に近寄ると手を当てた。
「ユキリア様!何を!」
私はこの『聖獣』が苦しまないように楽になるようにと考えながら手を当てていると『聖獣』は光に包まれた。光がおさまると『聖獣』の色は真っ黒から綺麗な金色になっていた。
「なっ!?これは!?……。……あなた様がユキリア様ですか…」
「私のこと知ってるの?」
「神様が仰られていました。可愛い子がここにいると。あなた様が『神の愛し子』ですね。神様はあなたに従うようにと仰られていました」
「…はぁ…神様はユキリア様がこのように浄化することを見込んで、ここにあなたを送ったわけですね…。……まったく、自由にするようにと言いながらユキリア様を利用しているのは神様じゃないですか」
…キースは最後の方は小声で言ってたけど、皆聞こえているよ?
「ここまですごい力を持った『聖なる者』は千年ぶりですか。いや、それ以上ですね。私もあなたに従いたく存じます」
『聖獣』はそう言いながら頭を下げている。
…ん?これは契約してほしいってこと?………いやいや、こんな大きな金色の狼を連れてたらメッチャ目立つでしょ…。
「神様に何を言われたかわかりませんが、私がいるのであなたは帰って頂いてけっこうですよ。浄化されたのでまた魔素を吸い取ることができるようになりましたし、ここにはユキリア様がいるので魔素が少ないですから、あなたは不要です」
「しかし!」
聖獣が反論の為に少し身を上げると同時に子供が飛び出してきた。私が一番近くにいるので私に向かって飛んできた。
誤字、脱字、読みにくいなどあったらすみません。
読んでくれた方に感謝を。




