村長さん
妄想の続きです
私たちはみんなで村長さんの家まで歩いて向かった。村長さんの家はまぁまぁ遠かった。村長さんの家も端っこにあるみたいで、うちの畑の真反対だった。この村は20軒ぐらいしかないけど、畑持ちばかりなので1軒1軒が遠いのだ。歩いて20分ぐらいかった。
村長さんの家を訪ねると、髪が長くて背の高い青年とこの前のお姉さんが迎え入れてくれた。
「すみません。わざわざ来て頂いて」
「いえいえ、転移魔法具を置いたのですぐ来れますし」
青年をまじまじ見てみると、耳が少し長く尖っていた。髪は薄い緑をしていて顔もすごく整っている。お姉さんは青年よりほんの少し濃い緑の髪をポニーテールにしていてお姉さんも美人だった。お姉さんも耳が尖っているけど後ろ向きで、この前、お迎えに来てくれた時は髪を下ろしていたから耳は隠れて見えてなかったみたいだ。
……この世界の人って、美男美女しかいないのかな…?…
「挨拶が遅れましたね。初めまして。タクス様、ユキリア様。ようこそおいでくださいました。ここで一応、村長をしてます、トラヴィスです」
村長さんは私たちに合わせるように少ししゃがんで挨拶してくれた。私たちもきちんと名前を言って、挨拶した。
……村長さんメッチャ若いけど、お父様も若くても辺境伯してるからこんなもんなのかな…?
「村長さん、何で耳が長いんだ?」
タクスは気になったようで直球で聞いていた。まぁタクスだしね。
「私たちはエルフなんですよ。ちなみにあなた達のお祖父様より年上ですよ?」
……え!?エルフなの!?なんでエルフがうちの領地にいるの?!エルフって魔森を挟んだ反対側に住んでるんじゃないの?
「すげーな!祖父様より上に見えねーな!」
「エルフは長寿ですから年をとるのも遅いんですよ」
「あの、エルフって魔森の反対側に住んでるんじゃないんですか?」
私は気になったので聞いてみた。
「ユキリア様はよく勉強されてますね。その通りです。私は若い頃はヤンチャでしてね、腕試しにと魔森を抜けてここまできたんですが、流石に引き返す勇気がなくてここに住み着いたんです。魔森では何度か瀕死になりましたからね。嫁も一緒に来てくれたんですけど、嫁が光魔法使えなかったら2人とも死んでましたからね」
病弱だった頃にエマが持ってきていた世界の本の知識のおかげで誉められた。
…この魔森を抜けてこれる村長さんってメッチャ強いんじゃ…!?
「あれ?ユキリア様が抱いているのはうさぎですか?絶滅したと思ってましたが見つかったんですね。そんな希少なうさぎを飼えるなんて、さすがはローザリー家ですね」
村長さんは私が抱っこしているスモールラビットが気になったようで、そう言った。タクスはうさぎと言う単語を知らないようだった。
「うさぎって何だ?スモールラビットじゃないのか?」
「スモールラビットは魔物ですからね、流石に凶暴すぎて抱っこなんてできませんよ」
そう言うと、村長さんは魔物の根源を教えてくれた。
魔物は元々はみんな動物だったらしい。それが魔素に侵され魔物化されていき、魔物の子は魔物として生まれ、また他の野生動物たちも魔素に侵され魔物化する。これを繰り返していろんな動物が絶滅していって、魔物ばかりになったらしい。人間の近くにいる馬や犬等の動物たちは神聖樹によって守られ、人間に飼われることで繁殖も上手くいき、こうやって残っているらしい。
「それは僕も知らなかったな。いい勉強になりました」
お兄様は勉強熱心だからね。ちなみにお父様も初耳らしい。村長さんはお兄様にエルフは長寿で物知りだからいつでも聞きにおいでと言っていた。まぁうちは身近に何でも知っているキースがいるんだけどね。
「うーうー」
ノエルが催促するように私の袖を引っ張った。どうやら畑が気になるようだ。
「あっ!すみません!私たちは精霊様のことを知りたくて呼んだんでした!」
村長さんは今、思い出しました!とノエルに謝っていた。なんだか、ここではノエルがとっても偉い人みたい。
「精霊様はなぜここを気に入ってくれたのでしょうか?そもそも、昔、突然、姿を消したはずの精霊様がなぜここにいるんでしょうか?精霊様はお一人でここに来られたんでしょうか?」
村長さんはノエルに質問攻めしている。ノエルは困ったようにうーうー言っていた。
「あ、すみません!エルフは元々、精霊様と最初に神様に創られた人間の間に生まれたハーフだと言われているので、私たちエルフにとって精霊様は特別な存在なのです」
「そうでしたか。しかし、私たちもこの子についてはわからないんですよ。名前はノエルと言うらしいですが、それ以外は……。この村に来た時にユキリアがたまたま見つけまして、その時から言葉が話せなかったようですし。最初に見つけたからなのか、ユキリアにとっても懐いていましてね」
お父様が上手く誤魔化してくれた。…お父様すごい!…嘘はついてないもんね。……これが貴族なのか…。
村長さんはそうですか。と肩を落としていた。
…そういえば、精霊が突然、姿を消したって昔は精霊いっぱいいたのかな…?
私は聞いてみることにした。
「精霊って昔はたくさんいたんですか?」
「そうですね、私が産まれる遥か前のお話ですが、精霊様たちも村、町を持ち、人ほど多くはなかったでしょうが、たくさんいたらしいです。それが魔素がどんどん濃くなっていた千年ぐらい前に、突然、精霊様たち皆が姿を消したと私たちには伝えられてます」
………あれ?千年前って……この国ができたぐらいの時だよね?……関係…ないよね…?…
「あのぅ、精霊様、ノエル様はこの村にいてくださるんでしょうか?」
「うー♪」
村長さんの質問にノエルは満面の笑みで答えている。私がここに畑がある限りいるんじゃないかなと答えてあげる。
「そうですか!それは私たちも心強いです!ノエル様これからもどうぞよろしくお願いします!」
村長さんが食いぎみにノエルに迫ったので、ノエルは困惑したようにうーうー言っていた。
ノエルは畑が気になり、ここにいるのも限界のようなので、そろそろお暇することにした。村長さんはまた何かわかったら教えてくださいと言っていた。
誤字、脱字、読みにくいなどあったらすみません。
読んでくれた方に感謝を。




