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妄想の続きです。

ノエルがうちに来てから2週間ほどがたった。


ノエルは可愛い見た目から女性陣に人気でマスコットキャラみたいな存在になっていた。

緑の力が使えるから庭師からも人気で、さらに畑もするつもりでいるから料理人たちから、あの野菜作ってほしいとか香辛料は作れるのかと人気者だった。


喋れないけどノエルは非常にこの屋敷に馴染んでいた。



私たちが朝食を食べ終わると、お父様が村の方が落ち着いたみたいだから、そろそろ村に行こうと言ってきた。

また馬車に乗るからと、クッションを準備しようとしているとお父様は転移魔法具で行くから持たなくても大丈夫と教えてくれた。


畑をするならすぐに行けないのは不便だろうとお母様が小さめの転移魔法具を作ってくれたらしい。それでも密着すると5人ぐらいは乗れる大きさの物で、2組に別れて転移することになった。


まずはお父様、私、キース、ノエル。次にセシル、タクス、エマの順番だ。私は転移魔法具に乗るのも初めてだったから、少しワクワクしていた。魔方陣の上に立ち、お父様が魔力を流すと魔方陣が光りだした。私は眩しくてたまらず目を瞑ると、もう知らない部屋だった。


その部屋は木造で真新しかった。次にやってきたタクスもすげー!と驚いていた。その部屋を出るとすぐに玄関があり、外に出ると畑があった。振り返って建物を見ると普通の家が建っていた。石造りの可愛らしい家だ。小さい家だが私たちも寝泊まりできるようにと建てたらしい。



……家ってそんなすぐにできるもんだっけ?…小さいって…屋敷に比べるとそらぁ小さいけど、普通に2階建ての家だよ…?なんなら、この村で一番大きく見えるよ?



ここは村のはしっこだから、どれだけ畑を増やしてもいいらしい。ノエルがすごく喜んでいた。



私たちが畑や家を観察していると、この前の女性が出迎えにきてくれた。村長さんは?と聞くと今度は犬の出産が始まって、今は手が離せないらしい。


…どんだけ間が悪いのよ、村長さん……。



今回は難産ではないからもうすぐ終わるということで、お父様は畑をするなりして、ここで待っててくれと言い残し、キースとセシルを連れて女性に着いて行った。キースは今度こそちゃんと見てて下さいね。とエマに圧をかけていた。



私が畑をしたい!と言うと、ある程度の道具は家の横にある小屋に揃えてますと、エマが案内してくれた。小屋には鍬などの道具の他に種もおいてくれていた。


さっそくノエルは鍬を持って行った。私も!と鍬を持とうとしたけど、私には重たくて持てなかった。


…ノエルって意外と力持ちなのね…。


私は諦めて、種をいろいろ見ていた。


…あ!種いももある!じゃがいもだわ!私、じゃがいも大好きなの!これ植えよう!



私は種いもの他にもいくつか種を持つと、ルンルンで外に出た。すると、もうある程度の広さの畑が耕されていた。


…ノエルすごい!…めっちゃ耕すのが早いわ!



私が種を持ってノエルのところまで行くと、ノエルは耕すのをやめて、種を植え出した。


…めっちゃ早くてよくわからないわ…。


私はノエルに私も植えたいから、もう少しゆっくりして教えてほしいと言うと、ひとつひとつゆっくりと教えてくれた。種いもは、また後でって感じで取り上げられ、普通の種を渡された。


…まず、指で少し穴をあけて、そこに2、3粒種を入れて、ふわっと土を被せる!これをだいたい等間隔で!

私がコツをつかんできて一人でできそうになると、ノエルは他の場所にまた高速で種を植えていっていた。



私たちが畑をしている間、タクスは畑に興味がないようで鍬で素振りしていた。


……タクス…、さすがに鍬で素振りは危ないと思うよ…?


エマも私たちと一緒に畑をしていたけど、そんなタクスを見て慌てて家の中に入り、タクス用にと作られた木造の剣を渡して、鍬を取り上げていた。



ある程度、植え終わると今度は水やりをしたいとなり、村の中心ぐらいにある井戸に水を汲みに行くことになった。畑は魔道具で水を出してあげるより、その土地からとれる水を上げた方が良い物ができるらしい。いちいち汲みに行くのは大変じゃないかって聞くと、小屋の横に大きな壺があるから、そこに貯めておけば何回も行かなくて大丈夫だとエマは教えてくれた。


さすがに水汲みはタクスも一緒に行ってくれた。水は重たいから鍛えられるんだとタクスは張り切っていた。壺に満タンになるぐらい水を入れて、ふぅと汗を拭っていると、ノエルが私を見てうーうー言いながら、壺の水に手を当てる仕草をする。


……何だろう…?



ーーー《水を浄化してほしいみたいだよ?》ーーー



ライがそう言うとノエルにも念話を送っていたのか、ノエルはうんうん頷いた。



「せっかく井戸に水をくみに行ったのにそれじゃあまどーぐと変わらないんじゃない?」



私がそう言うとノエルは首をぶんぶん横にふった。



ーーー《あるじの力は特別だからね!魔道具から出る水も浄化水じゃないし》ーーー



「作物に浄化水を使うとかなり質の良い物ができます。それこそ、王に献上できるほどの物になりますよ。浄化水自体が貴重ですから」



ーーー《しかもあるじの力だと浄化水じゃなくて、聖水になるだろうからね。そんな作物、この世にないんじゃないかな?》ーーー



ライはさらっとすごいことを言った。エマは驚き過ぎて開いた口がふさがらない。



「せいすいって何だ?」



タクスの言葉で戻ったエマは聖水について説明してくれた。



「聖水とは浄化水よりさらに質がよくて、アンデッドやゾンビ等死んでも動く魔物を唯一、一発で倒すことができる水です。ゾンビ等には光魔法も効きますがアンデッド系の強い魔物になると倒すことができません。そんな魔物を倒すことができるすごい水です」



タクスはわかったのか、すげー!って言ってたけど、求めてる聖水の説明ってそんなんじゃないんじゃ?


…まぁタクスはいつか冒険者したいって言ってたから、よかったのかな?



「聖水を作る為には浄化水を作れる魔道具に、光魔法を籠めないとできません。しかも、20人分かの光魔法がいるそうで、1年に1回、光魔法を使える者を国からかき集めて作るそうですよ」



………そんなすごい水を私は一瞬で作れちゃうの!?……



ノエルは早く早くと催促してくる。私は壺の水に手をかざして、水が綺麗になるイメージを送った。聖魔法は普通の魔法と魔力がちょっと違うから私の中ではイメージが大事なのだ。

そうすると水全体が少し光っておさまった。

ノエルはうー♪と喜んでいた。



「ノエル。絶対にこの水を村人には使わせてはいけないし、ばれないようにして下さいね。質の良い作物はあなたの力だからできたことにするのですよ」


エマがノエルに真剣な表情で言っていた。ノエルも凛々しい顔で頷いている。


……ノエルはそもそも喋れないから村人には伝わらないんじゃ……。



ノエルはさっそくその水を撒いて畑に手を置くとポンっポンっと次々に芽が出だしていた。さっき植えたところが全て芽を出すと、ノエルはふぅと汗を拭う仕草をしていた。



一段落したところでお父様たちが帰ってきた。もう査定が終わったそうだ。お父様とセシルはもう芽が出ている畑に驚いていたけど、キースだけはなぜか私をじっと見てくる。



「ユキリア様。また何かやりましたね?」



……だーかーらー、その笑顔は怖いんだって…!…



ーー《あるじはノエルに頼まれて聖水作ってたよー》ーー



ライに裏切られた。別にチクんなくてもいいじゃん!



「つまり、その聖水を撒いた。と?」



キースはノエルを見ていた。キースは笑顔なのにノエルがガタガタ震えている。



「やってしまったものは仕方ない。キースもそこまで怒らないでやったらどうだ?この畑でできた物はうちでしか食べないようにしたらいい。もちろんすごい質のものができるのはわかっているけど王にも献上しないようにするから」



お父様が庇ってくれて何とかおさまった。今日はもう帰ろうとなったけど、ノエルは嫌がった。どうやらここに住みたいようだ。一人で大丈夫なのかとかご飯はどうするのかと聞くと、聖水と畑と家を指さしていたので何とか一人でも大丈夫みたいだった。



私たちはノエルをおいて屋敷に帰った。


誤字、脱字、読みにくいなどあったらすみません。

読んでくれた方に感謝を。

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