ゴブリン編
「1話を書いてから半年経ったのに、まだ3話目ですって奥さん。」
「どれだけ作者は怠惰なんでしょうね〜」
「SynthesizerVとかいうソフトで、ボカロPの真似事をしているそうよ。」
「あら、バカなのかしらね?」
「「オホホホホ」」
朝起きたら、そこは知らない天井だった。
いや、数日前に来たから知っているが。まだ一瞬の間があるな。自分の状況になれるまでに。
まあ、普通に考えたら異世界に転生しているんだから慣れるのはちょっとはかかるか。
朝ご飯を食べに行こう。
というわけで、おっさんの家に行く。
今日の朝ご飯は、ご飯に味噌汁、そして朝からとんかつだった。
これって昼ご飯じゃね?
一口食べてみる。
いや、美味いな。
油が良い感じに少なくて、とんかつにしてはあっさりしている。
これなら朝ご飯に食べられるくらいの味だ。朝からこってりか、と思ったが、そこまで考えてくれているらしい。さすがおっさんだな。
おっさん曰く、「とんかつで”勝つ”ってな。」といって笑っていた。縁起を気にするのだろうか。願掛けだな。
ちなみに私はそういうのを全く気にしない。ネタのためだけに受験に激落ち君を持って行ったこともある。
激落ち君程度で落ちる実力では、その先大変だろう。
だから、縁起とかは気にしない。まあ、否定するほどでもないがな。ちなみに受かったけど、ネタは受けたりもしなかった。
今日の朝ご飯も美味しかった。ここで仕事のお時間だ。
「なあおっさん、βテストって言っても何をすれば良いんだ?」
「今日は、ゴブリンだ。」
「ゴブリンか。ゴブリンを、どうするんだ。倒したら良いのか?」
「おお。一応クソ雑魚なめくじにする予定だから、どれぐらいの強さか試してみてくれ。」
「でも、戦い方なんてしらないぞ。武術なんて全く習ったことないし。」
「魔法を使え。なんか適当にイメージしたら出る。」
雑くないか?もうちょっとあるだろ、解説ぐらい。
体に循環してる魔力の流れを感じるとか、杖で補助するとか。
てかそもそも魔法の練習もしたこと無いんだが?戦えるのか?
早速不安がジェンガを出来るぐらいに積み上がってるぞ。
「じゃあ、俺はやる事があるから、行ってこい!」
それって、死亡フラグというより、丸投げっていうんじゃないのか……
そして一瞬の意識の途切れとともに、β世界に飛ばされた。おっさんによって。
ゴブリンがいた。そこにはまごうことなき、ゴブリンがいた。
一旦落ち着いて情報を整理しよう。全身が緑で、身長(体長か?)は1m程度、中肉中背の超有名クソ雑魚なめくじが、目の前に……
50匹ぐらいいた。
「いやいやいやいや、絶対おっさん設定ミスっただろ。普通こういうのって、1匹ずつだろ!?
なんでこんなに大勢で群れてるんだよ!!!」
めっちゃゴブリンがいる。わらわらいる。うちとこの岐阜のように群れている。多分このネタは伝わらないな、スルーしてくれ。
ただ、
「戦い方が分からない奴に、この量を押し付けるな!」
叫んでみる。おっさんから応答は無し。マジで別の仕事をやっているんだろうか。
そういえば労災って降りるのか?
いや保険があるかは怪しいな。あのおっさんは自分が必要なものしか作ってないっぽいし。あとで聞いてみるか。
でも回復魔法でなんとかなる説はある。
【命の雫】ってな。
そういうと、霊槍バスキアスもどきが出現した。
そして花から垂れた雫は先端へと至り、一滴垂れた。
ゴブリン達の頭上に。
ペカ〜っとゴブリンが光り輝く。困惑しているようだ。攻撃を受けたっぽいのに、ダメージは無いからだろう。
そりゃあそうだ。攻撃じゃないからな!
敵を回復してしまった。ちょっとイメージしたらもしかしてと思ったけど、出てしまった。
あと、魔法が普通に使えたな。今の魔法が使えるとなると、自由度はかなり高いようだ。だってパクr(粛清)
リスペクトだからな。うん。作品を貶める意図とかは一切ございません。だから、許して下さいな。
閑話休題
そろそろ真面目にゴブリンの相手をしようと思う。じゃあ、今度は霊槍シャスティフォルの方を出そうか。
【光華】
虚空からニュルッと出てきたサンフラワーでゴブリンを焼き?払う。エフェクトはよく分からない。
これは私のイメージ不足なのか?
おっさんの手抜きか……?
まあそれより気になることがある。
これってどういう原理なんだ?光の熱で焼いているんだろうか。だとしたらヤバイ兵器だな。
というか一瞬光を出しただけなのに、真ん中に道が空いてしまった。
でももうちょっとゴブリンの強さを知りたいな。
さっきのでは完全にオーバーキルも良いところだ。
今度は殴るか?でもちょっと痛そうだな。
蹴ろう。
蹴る魔法といえば、何があるだろうか?
少し考えて、これをすることにした。
【ファントムステップ】
まずは移動する。さながら幻影のように一瞬で。
【ワイバーンキック】
そして思いっきり飛び蹴り。私の右足はゴブリンに思いっきりブチあたり、吹っ飛ばす。
予定だったのだが、まず、ファントムステップが想像以上に遅かった。
そして、ワイバーンキックも弱かった。
折角暴れられると思ったのに……
一応ゴブリンは倒せたみたいなんだが、アニメでデミクァスがやっていたようにはいかないみたいだ。
残念だな。体のスペックが低いと技はできないこともあるのか。
じゃあもう一回サンフラワーで焼き払おう。
ペカ〜ジュッ〜〜〜
呆気なく終わったな。まあ、私の蹴りで倒せるぐらいだ。
駆け出しの冒険者が稼いだり、村人が襲われてるところを颯爽と助けたりすることになるだろう。
ただ、数は明らかに多かったな。物量で攻められるのは幾ら雑魚キャラでも大変だ。
1グループは2〜5体ぐらいがいいだろう。
今回のβテストはこんなもんかな。
じゃあ戻るとするか。
「………………どうやって戻るんだよ。」
「お前さん、何してるんだ?」
『おっさん遅えよ!!!』
「どうしたんじゃ?もうゴブリンは倒したんなら、戻ってくればいいじゃろ」
『その戻り方が分かんねえんだよ!』
「あれ?言ってなかったかのーーー」
『目が泳いでるぞ目が!暇すぎてゴブリンの死体目掛けて魔法の試し撃ちをするしか無かったんだからな。』
「お前さんの隣にあるのは、(元)ゴブリンか。中々に酷いことをするな。」
『ゴブリンの死体と一緒の場所に2時間放置した人に言われたくは無いな。』
「戻り方なんじゃが、ちとややこしいぞ。」
『無視しやがった。で、どうするんだ?』
「左手の人差し指と中指を揃えて、上から下に振り下ろす。そして、ログアウトボタンを押したら、」
『おっ戻ってきた。で、言い訳を聞こうか?』
「残業代は出す」
『さあ、明日もバリバリ働こうか〜』
「手のひらがクルックルワイパー」