続々と集まる仲間たち
さぁ、いよいよ上級ギルドになったお祝いパーティーが始まるよ! お昼過ぎからずっとクレアと作業を進めた甲斐もあって、準備は万端。といっても、料理はほぼクレアが一人で作っちゃったんだけどね。
その分、会場のちょっとした飾りつけとかお掃除とか、テーブルセッティングは私がやったよ! お花を飾ったりとか、これも結構こだわったんだから。
「お邪魔するよー。わぁ、すごく綺麗に飾り付けられてるね。これはミクゥちゃんが?」
「すっごーい! それにいい匂いがするっ! キャン、お腹空いてきちゃった」
あとはみんなが来るのを待つだけという時、最初にやって来たのはキーファとキャンディスの二人だった。キーファが一番乗りだなんてすごい!
「うん、料理はクレアが、他の準備は私がやったんだ。褒めてもらえて嬉しい。でもまさか、キーファたちが最初に来るとは思わなかったよ」
「それはねー、キャンが引きずってきたおかげなのっ! えっへん」
「あー、はは。本当にずっとうるさかったからね……。あのうるささから解放されるなら、さっさと来た方がいいって思ったんだよ」
な、なるほど。キャンディスが朝からずっと楽しみにしていたんだって聞いて、その光景がなんだか簡単に想像出来ちゃうな。
「ねー、エクトルは? キャン、エクトルに会いたいなー」
「上級ギルドの申請をした後、マクロと一緒に仕事に行ったわ。暗くなる前には戻るって言っていたから、その内戻って来るわよ」
猫耳をぴょこん、と立てて当たりを見回していたキャンディスは、クレアの返事を聞いて一気に耳を伏せてしまった。本当にエクトルが大好きなんだなぁ。
「キャン、その服すごく可愛いね。おしゃれしてきたんだ?」
「! わかる!? そうなのー! お気に入りのワンピース、キャンに似合うでしょ?」
しょんぼりしている姿がかわいそうになってきたので声をかけたら、またまた元気に耳を立ててくれたキャンディス。くるんと回るのに合わせてフリルのついたスカートの裾とふわふわオレンジのツインテールが揺れてより可愛く見えたよ。ふふっ。
「その服を選ぶのも大変だったんだよー? おかげで自分の作業時間が減ったからね」
「なによっ、キー兄ったら全然参考にならないことしか言わなかったくせにっ。やっぱり女の子の意見は違うねっ! キャン、ミクゥのこと大好きになってきたかもぉ」
うんざりしたようなキーファとプンプン怒るキャンディス。この二人の様子を見ているだけで今日一日の様子が目に浮かぶよ。
でも、仲がいいからこその喧嘩なんだと思う。二人とも嫌そうにしてはいるけど、本当に嫌だったら一緒にいないもんね。
「ただいま。おぉ、早いな。まだ誰も来てないかと思ってた」
「エクトルだぁーっ!」
「おわぁっ!? ちょ、待てって! くっつくなって!」
そうこうしている間に今度はエクトルとマクロ、それからリニも帰ってきたみたいだ。エクトルの姿を見つけるなり、キャンディスはぴょんとエクトルの胸に飛び込んでいく。
マクロとリニは……いつも通りというか、また言い争いしてる。何の喧嘩をしてるのかはわからないけど、たぶん些細なことだろうな。まったくもう。
「お邪魔するよ」
「アンジェラ! いらっしゃい!」
続いてやって来たのは水色のポニーテールを揺らしたアンジェラ。なんだか大荷物を抱えている。手伝おうと慌てて駆け寄って荷物を持とうと思ったんだけど……。
「うっ、お、重いーっ!」
何が入っているのか、アンジェラが片手で軽々と持ち上げていた手提げでさえ私は持ち上げることが出来なかったよ。い、一番小さな荷物でこれだなんて、他の荷物は一体どれほどの重さなんだろう。アンジェラはすごいなぁ。
シュン、と尻尾を垂らしていると、朗らかな笑い声が上から降ってきた。
「ははっ! いいよ、無理しなくて。ここに移住するためにも少しずつ荷物を運ぼうと思って今日は持てるだけ持ってきたんだ。えーっと、部屋はどこを使えばいいかな?」
「ごめんね、役に立たなくて……。でも、部屋には案内させてね」
「十分だ。ありがとう、ミクゥ」
アンジェラの部屋なら、いつ来てもいいようにしっかりとお掃除済みだからね! 私とクレアの部屋の向かい側にしたんだ。陽の光もちゃんと射し込む温かな部屋だし、女同士だから近い方がいいかなーと思って。
クレアに一言声をかけてから、先導して二階に上がっていく。その後ろからアンジェラが軽い足取りでついてくるけど……。本当になんでそんなに軽々と大荷物を運べるんだろう? 鍛えているっていうのもあるだろうけど、見た感じは結構細身なのに。
「そんなに不思議か? 大荷物を抱えて平気にしているのが」
私がチラチラ見ているのに気付いたのか、アンジェラがクスッと笑いながらそう聞いてきた。うっ、ごめんなさい! 何度も見ちゃって。すぐに謝ると別に構わないよ、と笑ってくれる。や、優しいー!
「実は、風の魔法を少し使っているんだよ。だから見た目ほど重くはないんだ」
「そうだったの。アンジェラは風の適性があるんだね」
「そう。風と闇があたしの適正魔法だ。あたしは女だからな。男に力で負けないためには鍛える以外の小技も使う必要があったんだ」
そう語るアンジェラは自信に満ち溢れているように見えた。自分の弱い部分をしっかり見つめて、それを補う強さや長所をちゃんと知っているんだ。
そうやって自分の良さを理解して胸を張れるアンジェラは、とてもカッコいいなって思った。






