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シナリオなんていらない!〜ライバルキャラの狐っ娘〜  作者: 阿井りいあ
上級ギルド ラナキラ

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リニのセリフ


 買い物をしながらリニから話を聞いた限りだと、マリノという女性はかなり派手な装いを好む人らしい。いつも奇抜な格好をしている、というから会うのがますます楽しみになってきたよ。


 それから、ウェールズとは、その、恋人関係らしいんだけど、あまりそうは見えないかもしれない、とのこと。それってどういうことなんだろう?


「ウェールズはミクゥも会ったからわかると思うけど、とにかく軽いだろ? 女がいたらとりあえず口説くみたいなとこあるからさ。で、それに関してマリノは好きにしたらいいって思ってるんだ。普通、恋人だったら嫉妬とかで揉めたりしそうなもんだけどさ、その辺は一切気にしてないっていうか、むしろ面白がって話を聞きたがったりして。変な女なんだよ」


 でも、お互い相手が恋人であるという認識はあるんだって。へー、私の思い描く恋人像とは確かに違うかもしれないな。

 キャンディスを見てたらわかるけど、好きな人が他の人と仲良くしてたらちょっと拗ねたりするのがほとんどなんじゃないかなって私も思うし。想像でしかないからわからないんだけどね。


「恋人との関係なんて人それぞれだと思うわよ。決まった愛の形があるわけじゃないんだし。二人がそれでいいならいいのよ、きっと。周囲がとやかく言うことでもないでしょ」

「お、クレアもそう思うか? 俺もそう思う! ただキャンディスあたりが納得しなさそうだなーって」

「ああ、キャンディスは恋に夢見ているところがあるものね」


 そっか、本人同士がいいならそれが一番だもんね。そんな風に考えられる二人はすごいな。尊敬しちゃう。よし、私も黙って見守ろう。こういう付き合い方もあるんだって知る機会だよね。


「随分知ったような口きくじゃん? なんだよクレア、お前は恋とかしたことあんの?」


 私が一人感心していると、リニがニヤッと笑ってクレアにそう聞いてきた。こ、恋!? クレア、誰かを好きになったことがあるの!? なぜか私がドキドキして顔に熱が集まっていくのを感じる。

 クレアとは、恋はしちゃダメだよって言われることはあっても、クレア自身のことは聞いたことがなかったから。恋をすることで危険な未来が起きるのは私だけっぽいし、クレアは大丈夫なんだもんね。

 クレアが恋……ど、どうなんだろう?


「……うわ」

「え、何その反応。すっげぇ不細工な顔になってるぞ、クレア」


 と、ドキドキしているのは私だけだったみたい。クレアはものすごく嫌そうな顔でリニを見ていた。え、え、何ごと? 私も気になるんだけど。


「まさかあのシナリオのセリフを今ここで聞くことになるとは思わなかったわ……」


 ボソッと呟いた一言は、隣にいた私にはハッキリと聞き取れた。あ、なるほど。シナリオでリニが同じことを言ったことがあるんだね。

 そういえば昔、リニのルートの話を聞いたことがあったっけ。確か、鈍感すぎるリニの発言にライバルキャラであるクレアが顔を真っ赤にして怒るシーンがあったっけ。たぶん、その時のセリフが今のリニのセリフと同じだったんだ。そんなこと、あるんだねぇ。


 でも、クレアは別にリニに恋をしてるわけじゃない。だから今言われてものすごく微妙な心境になったんだろうな。


「おーい、さっきから何わけのわかんねーことをブツブツ言ってんだよ。シナリオだとか? なんだそりゃ」

「聞こえてたの? 地獄耳ね……。まぁ聞かれても別に構わないけど。とにかく! 私は別に恋の経験はないわ。ただ、その話を聞いて客観的に思ったことを言っただけよ」


 ほんと、リニったら耳がいいんだね。でもどうやら単語を断片的にしか拾えなかった様子。そりゃあ、その単語だけ拾ってもなんの話かわかんないよね。リニも別にその話に興味はないようで、そのままふーんと言って話を終わらせた。


「なーんか、クレアってやっぱりエクトルに似てるわ。エクトルもたまに似たようなこと言うからさー」

「えっ!?」


 だけど、続けて告げられたリニの言葉に、クレアがものすごい食いつきを見せた。一瞬、どうしたのかなって思ったけどすぐに気付く。そうだ、エクトルも転生者である可能性が高いんだった! だから、クレアみたいによくわからないことを口走ることがあるかもしれない。


「それって、どんなことを言ってるの?」

「ん? なんだよ、すげえ食いつくな? 俺も詳しく聞いたことなんかねーからわかんねぇよ。ただ、お前と同じように時々ブツブツとわけわかんねぇことを言うことがあるって、ただそれだけ」


 そっか、ちゃんと聞いたことがあるわけじゃないんだね。もしくは、知ってても秘密にしてるってことも考えられる。私がクレアのことを秘密にしているのと同じように。

 そう、と少しだけ残念そうに引き下がるクレアを見て、リニは不思議そうに首を傾げた。


「なんかあんのか? エクトルに。その食いつき方、なーんかありそう」


 それから、クレアの顔を覗き込むようにして真剣に問い詰め始めた。うっ、細かいことを気にしてないようで、案外するどい! 今ここで私に出来るフォローはないから、ヒヤヒヤしながらクレアの対応を見守る。


「ないわよ別に。あーんな顔だけ男と一緒にされちゃ迷惑だから聞いただけ。似てるだなんて、失礼しちゃうわ」


 けど、クレアはなんのその。動揺する素振りも見せずにあっさりそう言ってのけた。それを受けてリニも、お前やたらエクトルに噛みつくもんなぁ、と納得したみたい。ほっ。さすがはクレアだよ。あー、ドキドキしたぁ!


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Cross Infinite Worldよりタイトルは「Surviving in Another World as a Villainess Fox Girl!」です!
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