天然ミクゥ
なんやかんやあったけど、無事にキャンディスとも仲良くなれそうで良かった! 握手もしてもらえたしね! でもなぜか私がクレアとキャンディスに頭を撫でられたけど。むぅ、私の方がキャンディスよりお姉さんなのに!
「そ、外堀を埋められちまった……」
「諦めろよエクトル。ってか、元々キャンディスもメンバーの一人に入れてたろ?」
「そうだけど、あの勘違いはしないでほしいよ、まじで」
そんな私の耳にエクトルとリニの会話が飛び込んできた。勘違いってなんだろう? キャンディスがエクトルを大好きってことは勘違いでもなんでもなさそうだし。エクトルにとっては、迷惑だったりするのかなぁ? こんなに可愛いのに。
「それで? 今は何人なの? 自分たちだけじゃないんでしょ、仲間になるのって」
話がひと段落ついた、というところでキーファが腕を組みつつのんびりと質問してきた。なんかもう、色々とお見通しって感じだなぁ。
「あぁ、あと三人で決められた人数が揃うよ」
それに、どことなく疲れた様子のエクトルが答える。
「三人か。……誰を誘う気なんだい?」
「アンジェラとウェールズ、それとマリノだな」
「うーわー……自分はそんな変人メンバーの中に放り込まれたんだぁ」
「お前もたいがい変人だよ、安心しろ」
ふむふむ、その三人とはキーファも顔見知りみたいだね。それにして変人、かぁ……あはは、みんなと仲良く出来るかなぁ? あ、そういえば少し気になっていることがあるんだった。
「キーファとキャンディスは、ラナキラ本拠地には住まないのかな?」
あのお屋敷は本当に広いから、あと五人くらい余裕で住めると思って。私とクレアは結局二人で一つの部屋を使っているし、部屋は十分に余ってる。でも、キーファの研究室はここにあるし、住居もあるからどうなのかなって思ったのだ。
「んー、そんなに自分と一緒にいたいのかな?」
「え?」
すると、ニッコリと微笑みながらキーファが私に一歩近づいてそんなことを言い出した。エクトルとクレアがどことなくピリッとした空気を出していたけど、怒る要素なんかどこにもないんだから落ち着いてほしい。
「もちろんだよ! キーファともっと仲良くなりたいもん」
キャンディスともね、と彼女に向かって微笑みながら本心を伝える。仲間になるんだもん、もっとお互いのことを知りたい、一緒にいたいっていうのは当たり前じゃない。
だというのに、どうしてみんな、揃いも揃ってぽかんとしてるの? 不思議に思って首をこてん、と傾げてしまった。
「ぐっふ……」
「あ、エクトルが死んだ」
突然、膝から崩れ落ちたエクトルに驚き、それを冷ややかな目で見下ろすマクロに軽く顔が引きつってしまう。何があったっていうの……? 弱り果ててクレアを見ると、ミクゥは何も気にしなくていいのよ、なんて言われちゃうし。いやいや、気になるでしょ!?
「エクトルーっ!?」
「ははぁ、これはなかなか難易度が高そうだねー、あはははは!」
叫びながらエクトルに駆け寄るキャンディスに、何が面白かったのか朗らかに笑うキーファ。リニはお腹を抱えて笑ってるし、もう何がなんだかわかんないよー!?
「うちのミクゥは世界一可愛いっ!」
トドメにクレアが突然、そんなことを言って胸を張るし、でもうなんか色々諦めた……なんなのよ、もう。
「さ、話を戻すよ。ミクゥちゃんの言葉はとても嬉しいけど、自分は研究室から離れて過ごすなんて耐えられないから、ここから出るつもりはないよ。けどそうだなぁ、仲良くなりたいのは自分も同じ気持ちだからね。たまにはそっちに顔出すようにするよ」
「本当!? 嬉しい、ありがとうキーファ。これからよろしくね」
「あはは、こちらこそー。本当、可愛いねーミクゥちゃんは」
差し出された手を両手で取って、ブンブンと上下に振ると、キーファに笑われてしまった。ちょっと子どもっぽい行動だったかな? でもキーファは近所のお兄ちゃんって感じでなんだか親しみやすいんだよね。
「顔を出すってこれまでもずっと言ってるけど、僕らを新作魔道具の実験台に使う時以外で来た試しないだろ」
「あはは、顔を出してることに変わりはないだろう? それに、魔道具は便利なんだからいいじゃない」
な、なるほど。研究室で生活してるくらいだもんね。没頭しちゃって遊びに来る余裕まではないのかもしれないな。それはそれで仕方ないと思うよ。
「いいよ。それなら私が時々ここに来させてもらうから。ダメかな?」
「うわぁ、やっさしい! もちろん大歓迎だよー。いつでもおいで。自分は大体こっちに引きこもってるからさ」
「調子いいこと言ってー! キー兄はここに来られたところで作業中は絶対出てこないしそれ以外は大体寝てるでしょ!」
それなら私が来れば解決かな、と思っての提案だったんだけど、そうもいかないみたい。言われてみれば今だってエクトルとキャンディスが叩き起こしに行ったんだっけ。うーん、今ここで会えたのは奇跡だったのかな?
「というわけで、キー兄は放っておいたら死んじゃうからキャンもここから出るわけには行かないの。世話が焼けるんだから! でも、ミクゥたちが来てくれるんならキャンが出迎えるし、キャンもそっちに行くようにする!」
「キャンディスはしっかりしてるのね。嬉しい! キャンディス、これからよろしくね」
キーファとキャンディスの関係がよくわかった気がしたよ。こうして私に、新しい友達が増えたのでした。ふふ、今度来る時はお土産を持っていこうっと!






