心は永遠に
シナリオです。
余命宣告を受けていたある少女が病床で綴った小説にインスピレーションを受けて書きました。
残念ながら、彼女は天国へと旅立ってしまいました。
この物語を、病気と闘い短い生涯を終えた彼女に捧げます。
〇 ステージ
煌めくライト 静まり返った客席
心音 智弘 マイクの前に立っている
前奏が始まる
智弘 歌い出す
心音 緊張した顔で歌う智弘を見つめる
心音のパートが来る
心音 思い切って声を出す 澄んだ声が出る
心音 笑顔になる
歓声が起こる
智弘 笑顔で心音を見つめる
心音 笑顔で智弘を見つめる
気持ちよく歌う2人
大歓声が巻き起こる
〇 山間の駅のホーム
音楽 つづいている
心音 智弘 ベンチに座っている
〇 踏切
音楽 つづいている
心音 智弘 立っている
その前を電車が通り過ぎる
〇 団地へつづく桜並木
音楽 つづいている
桜の花びらのが舞う
心音 智弘 歩いている
〇 リビング
音楽 フェードアウト
心音 智弘 立っている
部屋の隅に古いピアノ
心音 「お姉ちゃん このピアノであの曲 作ったんです・・・」
智弘 ピアノに近づてうつむく
心音 それを見つめる
智弘 ピアノの鍵盤を数か所 指で押す
心音 見つめる
〇 心音の家の和室
智弘 仏壇の舞の写真の前に楽譜を置く
〇 和室
心音 智弘 正座して仏壇に手を合わせる
心音 「あれっ・・・ 聞こえません?」
智弘 「えっ?」
心音 「ピアノの音・・・」
ピアノの音 小さく響く
心音 智弘 耳を澄ませる
心音 「ほら? ほら!」
ピアノの音 小さく響く
心音 仏壇に向かって
心音 「お姉ちゃん・・・ お姉ちゃん いはりますよ!」
智弘 「・・・」
心音 「お姉ちゃん? お姉ちゃん!? お姉ちゃん!? お姉ちゃん!?」
心音 目に涙を溜めて辺りを見渡す
心音 「お お姉ちゃん・・・」
智弘 「舞? 舞? 舞? いるの 舞?」
ピアノの音 小さく響く
智弘 土下座して
智弘 「舞・・・ 舞 ご ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
畳の上に涙が零れ落ちる
心音 「お姉ちゃん・・・ もう いいよって もう いいよって ゆうたはりますよ!
もう いいよって・・・ もう いいよって・・・」
心音 泣きながら智弘に寄り添う
智弘 「・・・」
心音 「これから あの曲 お姉ちゃんと3人で歌いましょ! 3人で歌い続けましょ!」
智弘 うなづく
〇 リビングの窓際
音楽 フェードイン
心音 智弘 夜空を眺めて 歌い出す
舞(幽霊) 笑顔で歌う2人を見ながらピアノを弾いている
〇 夜空に浮かぶスーパームーン
音楽 つづく
エンドロール
終わり
この物語を病気と闘い若くして短い生涯を終えた一人の少女に捧げます。