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幻獣の森

「今日の調子はどうかな~」


 幻想郷と呼ばれる幻獣の里が近い為か、太古の原生林の様に深い森。

 だが、ルルはまるでピクニックへ赴くみたいに軽快に歩み進む。

 暗視のスキル持ちなのだろうか?

 幾分か日が差し明るくなってきたとはいえ、足場の悪い薄暗い森を歩むその足取りはしっかりしており、停滞はない。

 歩く事15分。

 ついにお目当ての場所に辿り着く。


「やったね。

 まだ荒らされない」


 周囲を探り、目的の物がそこにあるのを見付け歓声を上げる。

 ルルが辿り着いたのは森に幾つかある泉の一つであった。

 この幻獣の森の水辺に生息するヒランヤの花。

 早朝にのみ蕾を開くこの花から取れる花粉。

 それは霊薬の原材料となる為、辺境ではかなり高額で取引される。

 ゆえに危険を冒して森に入り花粉を得ようとする冒険者は多い。

 しかしおおむねその労力は報われない。

 何故ならば――


「あらま。

 丁度ぶつかちゃったか」


 辺りに響くカチカチという威嚇音。

 続いて腹に響く重低音。

 森の奥から群れを為して飛来するのは赤子程もあろうかという大きな蜂達。

 それは集団で狩りをする肉食の毒蜂<キラービー>であった。

 女王に献上する最高の供物として、彼等もまたこの花粉を求め森を徘徊していたのだ。

 個々の危険度はCランク程度の妖魔。

 だが群れ状態の危険度はAランクに匹敵する。

 その性質は獰猛の一言。

 とにかく凶暴で、一度でも敵と対象認定されたら全滅するまで追ってくる。

 またその毒もかなり強く、時としてヒエラルキー上位者である妖魔も遭遇を避ける程だ。

 ルルは一瞬だけ悩む振りをすると――


「ごめんね」


 謝意の籠らない謝罪と共に苦笑を浮かべ、愛剣を構えるのだった。





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