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 大勢を相手にする時は機動力命だ。

 要の足を弓で狙われないようにしばらくの間、俺は駆けずり回り、各個撃破して行った。

 勿論、誰も殺しちゃいない。

 別に不殺主義者って訳じゃなく、単に自分に制限を掛けて戦った方がより準備運動に相応しかっただけである。

 ヒュアとの生活で甘くなった訳ではない。

 ……ないったらない。


 そんな枷を付けていても盗賊は一人、二人と減って行き、最終的には頭一人となった。


「お、お前何者何だ」


 返り血を拭っていると最後の一人である頭は声を震わせ、問うてきた。

 彼の光彩の奥に恐怖という感情が明確に映し出されている。

 そりゃそうだろう。

 十人以上居た仲間が武器も持たないたった一人に全滅させられたのだから恐怖を感じない方がおかしい。


「俺か?ん~…無職の美男(イケメン)だぞ♪」

「ふ、ふざけんのも大概にしろ!!」


 ちゃんと質問に答えたのに何故俺はキレられているのか。

 あぁ、無職って部分が気に食わなかったんだな。

 クリスティナを護ってるのに何言ってんだって事か。


「そいつとは王都に行くまでの仮契約って訳。だから無職なのは事実だぞ?」

「そう言う事言ってんじゃねぇよ!!」

「……怒りっぽいとモテないぞ?」

「余計なお世話だ!!」


 髭はキスする時、邪魔って言う女の子いるから剃った方がお得。

 髪もボサボサだと清潔感が無くてモテない。

 体型も直した方がいいな。

 太っている方がいいって女の子もいるにはいるが、全体の割合からすれば少ない方だ。

 後、一番直した方がいいのは顔面だな。

 こりゃモテねぇわ、うん。


「これが俺からの助言(アドバイス)だ、活用しろよ」

「やかましいわ!!」


 懇切丁寧に説明してやったつもりが逆に怒らせてしまったようだ。

 何故だ?


「馬鹿にしやがって…!ふん、これを見てもその余裕、保てるか?」


 にやりと不敵な笑みを浮かべ、男は懐から『鉄の塊』を取り出す。

 それをクリスティナに向け、かちゃりとワザとらしく音を立てた。


「へぇ」


 あれもこの洞窟に放置されていたのだろうか。

 そうだとすれば国は相当緩みきっているらしい。


 クリシュデン王国製単発式消耗銃・一型。

 当時は原物(オリジナル)についで、始めて実践使用可能の銃だった事から大層重宝された物だ。

 しかし、独創性も皆無で、ただ原物に似せた造りのそれは残念な事に原物の精巧さを引き継がなかった。

 その結果、一発打てば壊れてしまう程の脆さを有している銃だ。

 だが、使い捨てな為に費用がかさむという部分に目を瞑れば、威力や射程に問題はなく、殺傷能力は原物のそれと変わらない。


 そんな物を残してこの施設を放置したのなら、ここの責任者は無能だろう。

 銃の管理は徹底されなければならない。

 今尚、銃の生産は可及的速やかに行われているが、量産体制は全く整っていない。

 誰も原物の精巧さを真似できていないのである。


 故に例えそれが年代物の骨董品で一発撃てば壊れる銃でも国が保有して置かねばならない。

 でなければ、闇市に流れ、暗殺者などの手に渡ってしまう可能性があるからだ。

 それは詰まる所、国の危機であり、貴族の危機であり、回り回って、護衛官の危機にも繋がるのだ。

 現状、クリスティナを人質に取られている俺のように。


「こ、こいつがどうなってもいいのか!?い、嫌だよな、ふひひ……今すぐ後ろを向いて手を上げろ!!」


 小物感満載の台詞を放つ頭の男。

 弱い奴が強い武器を持つと自信が出るって話、本当だったんだなと他人事のように考えてみる。


「テメェ、どうなってもいいってんだな!!」


 ぼけっとしているのが気に食わなかったのか。

 男は青筋を立て、撃鉄(ハンマー)を下ろし、再度威嚇の意を示してくる。

 彼の動きは確かに人質を取る時のお手本のような対応だろう。

 しかし―


「興味ねぇな」

「なっ!?」


 それが効くのは|人質を人質として認識している・・・・・・・・・・・・・・・にのみ、だ。

 人質を取る時の基本としてまず、その人質に価値が無くてはいけない。

 相手にとって大切な人は勿論、殺すと相手が不利益を被る人などだ。

 じゃあ、俺に対する人質はどうなる?

 自分の命が一番だと思っている俺には?

 正解は全く意味をなさない、だ。


「撃てよ」

「ヒッ…」


 じっと見つめ、引き金(トリガー)を引くことを促す。


「だが、撃てばその瞬間、テメェの首が飛ぶぜ?」


 助けられる事に越したことはない。

 だが、無理なら無理で仕方ないと諦められる。

 それが俺という人間だ。


 だが、それでも目の前で殺されたとあっては不愉快だ。

 俺を不快にした代償をお前の命で払ってもらう、唯それだけの話。

 奴に圧力を掛けながら、じりじりと前に進んでいく。


「撃てよ……撃てつってんだろ?…撃てっ!!」

「ひぃ!!」


 大声で更に男を追い詰めると、そこからは流れるように事が進む。


 人は例え自分が優位に立っていたとしても、自分に被害が及ぶ可能性を秘めた存在を無視できない。

 つまり、銃口をこちらに向ける奴は俺の威圧を脅威と見なした訳だ。

 しっかりと狙いを定めたそれは、俺の眉間を狙っている。

 そして―


 ―パンッ!!!


 ――引き金を引いた。


「だからテメェは小物なんだよ!うらぁ!!」

「うごっ!?…ぶっ!!」


 俺は偶然か必然か。

 真っ直ぐ飛んできた銃弾を避け、男の懐に入り、鳩尾に向かって拳を放った。

 腹部を押さえ、悶えている男に後頭部を持ち、自分の膝に引き寄せながら膝蹴りを食らわせる。

 それだけで男は沈んだ。


「ったく、強者()にビビッて弱者(クリスティナ)を狙ってんじゃねぇよ」


 倒れこんだ男に吐き捨てるように呟く。

 気絶して聞こえておらず、意味の無い事だが。

 取り合えず、アルディン教官との訓練で銃弾を避けていた事が功を奏した。

 あれで当たってたら恥ずかしいってもんじゃない。


 ありがとう、アルディン教官。

 貴方の●●●(息子)を犠牲にした甲斐がありました。


 教官に感謝しているのもいいが、この後どうするべきか…。

 盗賊を放置していいものなのか?

 というより、このお嬢さんが起きてこの惨状を見たらどうなるか…。

 面倒な事になるに違いない。

 うん、寝かせて置こう、それがいい。


「まぁ、取り合えずここを離れる前にっと……おら、起きろっ!!」

「うっ!!」


 気絶―いや気絶している振りをした男の横腹を思いっきり蹴り上げる。


「寝たふりなんざ、バレてんだよ、さっさと立て」


 ゆっくりとその男が立ち上がる。

 そう、この盗賊の中で一人だけ難を逃れようとしたのか。

 大男(・・)は初撃からあのまま倒れた振りをしていた。


「何故分かった…」

「ふざけんな、俺が気付かないとでも?」


 高々、腹蹴り一発で体重の重い大男が吹っ飛ぶ筈無いのだ。

 それも大して腹蹴りも食らってないだろう。

 蹴りが入った感覚が一切無かった。

 予想だが、後ろに自分から飛んだのだと思われる。


「お前の目的は知らんが、しばらくは俺に従え、勿論拒否権はねぇ」

「…」

「俺の言う通りにすれば、お前だけは逃げれるようにしてやるよ」


 多分、クリスティナがここにいる事からまだ奴隷商人とは接触していないだろう。

 盗賊は馬車も売る、金の無い盗賊は特に。

 つまり、接触がまだという事は馬車は洞窟の入り口近くに止めてある筈だ。

 それも俺らは走行中に襲われた訳じゃなく、眠らされたのだから無傷で残っている事だろう。

 馬車があるのなら利用しない手は無い。


 だが、俺は残念な事に馬車の操縦は出来ん。

 それなら歩いてクリスティナを担いで王都に行くかと言われれば、無理。

 というか嫌だ。

 胸が背中に当たる利点を含めても…それはちょっと考える。

 いや、辞めておこう。

 起きた時、馬車が無いとクリスティナに文句を言われるのは面倒だ。


 じゃあ、どうするか。

 ならそこに落ちている御者を使えばいいじゃないって事で大男を使う事にした。


「王都まで操縦しな。その間は今までと同じ様にクリスティナとも接してていいし、何なら飯だって食っていい」

「…何故そこまで、譲歩する?」


 何、単純な事だ。

 折角、貴族のお嬢様が自分で見つけた御者(・・・・・・・・・)が実は盗賊で危険でした何て事になれば、次は家から出された監視名目付きの御者が付けられるだろう。

 それはきっと窮屈で楽しいものも楽しいとは思えない筈だ。

 ヒュアのお陰で俺もこの広い世界を少しだけ知れた。

 クリスティナのその可能性を奪うのは酷だろう。


 ただ、全部の貴族にこう思う訳じゃなく、ヒュアの友人だからここまでしてやるだけだ。

 少なくとも美人だしな。

 ただ、それを所詮、盗賊に話しても意味無い。

 なら―


「どんな事があっても俺が対処するからだ」


 ―こっちの方がこいつにとって単純明快で分かりやすいだろう。


 さて、一応盗賊を縛った所でクリスティナを担ぎ、洞窟を出る事にする。

 担ぐといってもお姫様抱っこだ。

 流石にクリスティナを担ぐのが面倒だからといって、盗賊に渡したりはしない。

 胸、触り放題だしな!!

 太もも、撫で放題だしな!!

 何だ、その目は?

 へーんだ、誰がお前なんかに譲るもんか!!


「あぁ、王都に着いたらもう自由にしていいぞ。真人間になるもよし、盗賊を続けるもよし、適当に生きてけ」

「…分かった」

「まぁちょっとしたお勧めを言うと、騎士だな。お前の技量程度あれば王都の騎士ぐらい目指せんじゃねぇか?知らねぇけどよ」

「…」


 裏の世界で生きてきた俺の蹴りに合わせて後ろに飛べるぐらいの動体視力があるんだ。

 意外と自信あったんだが、訛ったのかね?

 戻るならもう少し、訓練した方がいいかもなぁ…。


 そう思いながら俺はジメッとした洞窟をおさらばしたのだった。 

戦闘シーン?

カットだよ、カット

まぁ、時間があったらどこかの後書きに書く


で、興味ないだろうしこの先、生かすつもりも無い設定だけど

この世界の銃について少し書いておこうかと

銃の形状は火縄銃より銃身が短く、拳銃より長い感じ

片手でも何とか扱えるような重さで

撃鉄やフロントサイトやリアサイトも付いている

マガジン部分は単発式なら無く、製作段階で込められている(これが壊れやすい原因だったり)

連射式は最新の物で出回ってはいないが、各国で鋭意製作中


弾丸はまぁ、学者が頑張った

撃鉄がある分、雷管を叩く銃となっているが、この雷管にも問題がある為、一発しか撃てなかったり

反動に耐えられなかったり

そんな感じ

火薬の量は兵士の指を何本も犠牲にして漸く弾き出した(そもそも一発で完璧な状態を作り出した原作者がおかしい)


安全装置みたいな高尚な物はない


大量生産できていないのはあまり大々的に制作すると他国に技術が盗まれるからと

研究員や技術者の実力不足


そんな感じ結構テキトーな設定である


いつも通りの時間じゃなかったけれど

明日も投稿しま~


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