先輩?
暑かった、とてつもなく暑かった。なんでこんなに暑いんだ? ここはクーラーの効いた自室の部屋であるはずだから、こんなに暑くなる事はない。暑すぎて啄木は目を覚ました。
目を覚ましで彼は驚いた。驚くなんて言葉では表現できないかもしれない、彼の想像を超えていた。
彼の目に真っ先に飛び込んで来たのは、テントだった。周りには見知らぬ人達もいた。なにやらせっせと働いている
何故かわからないが、啄木はテントの中にいた。 もう俺の自室ではないのだけは確かである。
「王の命令だ、さっさと奴を見つけてこい。奴がいないとこの戦には勝てないぞ」一番体格のガッチリした男が叫んだ。
ん? 戦? 何があったんだ?
さらに男が続けて叫ぶ。
「 新戦力は確保できたのか?この軍に入って国の名誉の為に闘いたいという勇者は現れたのか?」
誰かが大声で返す
「連れてきましたよ。こいつなら普通の兵士3人分ほどの腕前だと教官が言っておりましたので期待して良いかと」
そういって、さっき大声で叫んでいた男が、こっちに近づいて来た。啄木は何をされるかわからないので、身構えた。彼は武士には似合わない(と啄木は思った。)端正な顔立ちだった。こちらに話しかけて来た。
「お久しぶりです。先輩」
啄木は彼が何を言ってるのか理解出来なかった。俺が先輩?何言ってんだこいつ。
おそるおそる啄木は聞いてみた。
「何故俺がお前の先輩なんだ?」
彼は、合点がいったようで、手をパチンと叩いた。
「やっぱり先輩、何も覚えてないんですね。お腹すきましたよね?何か用意しますよ。まず腹ごしらえして下さい。それから話しますよ。」
そういって彼は仕事に戻っていった。