表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/48

隣を歩くはムカつく微少女7

燃える村から逃げ出してすでに3日が過ぎている。そろそろ打ち解けていてもおかしくないはずなのに、旅路に響くのは、だいたいが神無の笑い声か腹減ったの文句の声で、俺は相槌程度にしか口を開かなくなっていた。まともに相手にしていると、何が気に入らないのか突然絡んでくるからだ。あー面倒クセェ。さっきなんて、歩きながらモジモジしてるから


「トイレならその辺でしろよ。ここなら危険も少ないぞ」


わざわざ教えてやったのに


「そこは知らぬ顔で脇道にでも入ってくれるべきだよ。天さんってデリカシーとか気遣いとか全くできないんだよね。最低」


あー本当に面倒クセェ。デリカシーがないだとか気遣いできないだとか、何を偉そうに言ってんだ。あの惨状の中、父さんたちにこいつを押し付けられて、理由もわからず連れて逃げ出してきたけど、言い伝えの話や出生の事を俺に説明するだけなら、他の奴でも良かったんじゃないか?どうして特に面倒なこいつなのかが知りたいよ。巫女様だからなのか、俺の役に立つからなのか。はあ、こんなこといくら考えても、答えてくれる相手もいないんだから、考えるだけ無駄だってわかってる。けど、考えずにいられないほど面倒なガキなんだよ、こいつ。結局、我慢出来ずにトイレに行くくせにとりあえず文句を言うんだよ。


「天さん天さん、これあげる。これで探し物も早く見つかるかもしれないね」


得意げに微笑んで、神無が手のひらの中の幸運を呼ぶと言われる白草を差し出してきた。こう言う子供っぽい表情は可愛く見えたりするのに、普段があれだからかすごく残念な気分だ。


「ありがとよ」


白草をポケットに入れて、町を目指して俺と神無はまた歩き出した。町に着く前に何かしら売れるものを手に入れないと、宿にまることもできない。高価な薬草かデカい猪でいいんだが、そうそう都合よく見つかるわけないか。


「そう言えばさっきの所でこれも見つけたよ。咳止めになる薬草でしょ」


「ナンテンじゃないか。あんなところにあったのか。もっと早く言えよ、採りに戻るぞ」


神無のおかげで収入源が見つかった。なのに嬉しくない。素直に喜べないのは何故なんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ