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隣を歩くはムカつく微少女2

「少しでも遠くへ逃げないと捕まって殺されてしまう」


なんて言われても、誰から逃げるのか、どこに向かえばいいのかわからない。


「聞きたい事を言ってくれたら説明するよ」


なんて言われても、わからないことがわからないのに、何から聞けばいいのかわからない。俺と少女は会話もなく黙々と歩き続けていた。俺のためにみんなが命をかけたとはどういう事なんだ。そもそも両親が逃がそうとしたのは少女じゃなかったのか?


「おい巫女、俺は何を聞けばいいんだ」


悩み抜いた末に出た言葉がコレとは、我ながら情けない限りだ。


「巫女じゃないよ。私にはちゃんと神無かんなって名前があるよ」


「じゃあ神無、俺は何を聞けばいいんだ」


「そうだね、まずは天さんの出生の秘密からかな」


「『天さんが親だと思っていたおじさんたちは、実は本当の親ではないのよ』とか言い出すのか?それなら言われなくても知ってるぞ」


「うん、言おうとしてた。それじゃあ天さんが空から降ってきた事は知ってた?」


「はあ?なんだよそれ。と言うか、お前は俺より10は若いんだぞ。子供のお前がどうしてそんなこと知ってるんだよ」


「うちはそういう家だから…カグラの家系が村人から尊敬されていたのは、いつかわからない昔からずっと、神様の声を聞く為に存在してるからなのよ」


「神様の声を聞くだと??…空から降ってきたってなんだよ。俺はどこの誰なんだ」


「500年ほど前、災害や戦争で世の中が荒れていた時に、村に現れた神様の使いの話は知ってるよね?その言い伝えの中に出てくる、次の世界を守護する天使が天さんだよ」


「神様の使いとか天使とかやめてくれ。そんなお伽話を信じて父さんや母さんは死んだって言うのか」


「お伽話じゃないよ。見せられる証拠はないんだけど…神様のお告げのあったその日はひどい大雨で、野良仕事の出来なかった大人たちはみんなうちに集まって、神様の声を聞いて話す母の言葉に耳を傾けていたんだって。村の真ん中に大きな木があるでしょ?うちの家系ではあの木は神降ろしの大樹って言うのだけど、母の話しが終わると同時に大雨の中でそこだけに陽射しが伸びてきたらしいの。その光の中をゆっくりと何かが動いているのが見えたって言ってたよ。その時に神降ろしの大樹に舞降りてきた赤ん坊が天さんで、母の聞いた神様の使いは言い伝えの天使のことだったんだって理解したって言ってた」


「そんなこと誰からも聞いたことがない。本当の事だとしても、赤ん坊はどこかで入れ替わったんじゃないか。俺には何も特別な力はないんだぞ。少しばかりガタイの良いごく普通の24才の男だ。それに本当に俺が天使なら、理不尽に襲われた村を、父さんや母さんを守れたはずだろ」


「それは、天さんには足りてないものがあるんです。天使として目覚める為には、あと2つ必要な物があるんです」

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