第9話 告白への決意
「えーーー?!付き合わないの?!」
コウさんの電話から、三日後。花火デートの一週間前、優子は、私の部屋で、叫んだ。
私は、職場から1駅、自転車で15分くらいのところに、アパートを借りている。会社から補助がでていて、家賃も安くて、助かっている。ワンルームだが、お風呂とトイレ別。キッチンも広め。それ以外の広さは12帖。お風呂も温度調節できるし、オートロックで、安心で快適だ。
優子は、今日はお泊りで、遊びに来ている。優子の家からも近く、たまに、お泊りしながら、語り合っている。優子の自宅のベットは快適なはずなのに、ソファーベットで、いつも何も言わず寝ている。意外にタフなお嬢様だなと思っている。
今は、まだベットになっていない赤いソファーベットで、優子自身が持参したワインを飲みながら、「信じられない!」と、ぶつぶつ言っている。私は、仕事終わったばかりなので、遅めの夜ご飯を横で食べながら、答えた。
「うん。だって、自分が反対の立場だったら、怒れるし、何より、相手を信じれなくなると思うんだよね。実際、コウさんから、交際を申し込まれるとも限らないよ。」
「ゆうちゃん、固い!間違いなく、纐纈雄海、ゆうちゃんに、気があるって!好きになったら、許しちゃうから!」
と、結構、酔いがまわってきた優子は、私の腕をつかみながら、真剣なまなざしを、向けてきた。
かわいい!
いつでも寝れる様に、もこもこのワンピース型のルームウェアに着替えている優子。ペールトーンのボーダーが、更に、優子の愛らしさを増していた。
「優子、ありがとう!でも・・・決めたんだ!ただ、うまく話せなかった場合、優子や優子の両親に迷惑かからないかが、心配なんだよね。」
「大丈夫、大丈夫!もとは、私が、頼んだんだから、そのへんは、私に、任せて!」
と、抱き着いてきた優子。
本当に、かわいい!
「心強い!ありがとう!・・・そういえば・・・優子の方は、どうなの?」
「何が?」
「ジムのトレーナーとの進展は・・・?」
優子は、持参したチーズに、手をのばして、気乗りしない口ぶりで、話し始めた。
時より、「もう!」と、怒って、ワインを一気に飲んでは、入れの繰り返しをしていたが、止めることはできなかった。
優子は、お酒強いから良いとはいえ、やけ酒しなければ語れないオーラをだしていたので、ますます止めれなかったのである。
話の内容は、こうだ。
まずは、ジムのトレーナーの好みや彼女のありなしを聞こうとしたらしい。だか、うまくかわされるらしい。ジムのトレーニングに、集中させられるらしい。頻繁に聞いたら、少しは漏らしてくれるかと思い、何度も聞いたが、うまくかわしてくる。世間話から話しても、うなづくだけど、トレーニングに関する以外話してくれないらしい。前の人は、結構、世間話してくれて、ゆるいトレーニングで楽しんでいたのに、目当ての彼は、トレーニングはきつくされて、プライべートは、一切、話してくれない。ただ、「よく頑張りました。」と、ひとつ、ひとつ終わるたびに、優しく声をかけてくれるのが、胸キュンらしい。
唯一みせてくれる笑顔が、頑張る力になるらしい。
よほどの破壊力ある笑顔なのだろうか?
コウさんも、怖いところあるけど、笑顔が素敵だから、私の心も鷲づかみされた。優子も、そのギャップに、心奪われたのかな?
と、私は、思った。
「真面目なトレーナーさんなのかな?」
私は、優子に聞いた。
「そうなのかな・・・。嫌われてるのかな・・・って、思っちゃうんだけど、あの笑顔がいいの!」
と、言い、ワインを飲み干した。
「じゃあ、トレーニング内容で、いろいろ聞いてみたら?困ってることを、相談してみるところから、始めて見るのは?」
「え?そんなの興味ない・・・。」
優子は、なんで、そんなこと言われるのかわからなかったらしい。
私は、きっと真面目なトレーナーさんだから、私語は嫌いなことと、彼は、きっと、優子のステップアップの為に、トレーニングに打ち込んでほしいと望んでいる話をした。だから、彼の気持ちに答えて、そこから仲良くなるのが、一番でないかを説明した。
優子は、納得した様子で、「次、やってみる!」と、キラキラした瞳を向けてきた。
なんとも、愛らしい。
その後も、私も、お酒を飲み始め、日付が変わるくらいまで、女子トークは、続いた。
優子は、明日休みなので良いが、私は仕事なので、まだまだ続きそうなのを、次回にしてもらって、寝る準備に入った。
万一の為に、優子に許可もとったし、花火デートの日、嘘を告白して、この悩みも、万事解決すると、私は、信じていた。
そう、まだこのドキドキなら、後戻りはできるって、信じていた。
あの時までは・・・・。
読んでくださって、ありがとうございます。
まだまだ続きます!
現実は、秋に近づいてますが、この話は、まだまだ夏!早くおいつきたい!頑張ります。