第8話 深まる想い
「もしもし」
夜10時すぎ、コウさんからの電話が鳴った。
悩む前に、思わずとってしまった。
嬉しくて、声が聴きたくて、とっさの行動だった。
耳元からは、彼の声が聴こえてくる。
久しぶりだ。
二週間ちょっとぶり。
「ゆうちゃん?久しぶり。」
嬉しい!
毎日、メールしてるけど、電話って、こんなに、嬉しいものなの?!
「お久しぶりです!」
思わず、大きな声で、返事してしまった。
コウさんは、少し無言のあと、笑いながら、
「元気だね」
だって。
やってしまった・・・。
嬉しくて、テンション上がると、いつも以上に大きな声になってしまうのが、私だ。
嫌われたかな?
うー。困った。
「あ、思わず・・・ごめんなさい!」
最後の「ごめんなさい」も、大きな声になってしまったが、テンパりまくりの私には、気づかなかった。
更に、笑いだしたコウさん。
「ゆうちゃん、癒される。」
と、少し笑いがとまったところで、言われた。
えっ?
どこが?
あまり言われない。
いや、今まで、一度も言われたことがない。
これって、褒められてないよね。
喜ぶべきでないよね。
「何かあったのですか?・・・辛いこととか?」
きっと、コウさんは、辛いことあって、元気な声、いや、大きな声聞いて、何故か、安心したのだろう。
しかし、返ってきたのは、笑い声だった。
うーん。
何故?
どこを、間違えた?
私は、ますますテンパってしまった。
彼が、落ち着いて、話し始めた。
「ゆうちゃん、ごめんね。2週間後には、時間取れるから。ちょうど、花火大会ある場所みつけたよ」
と、相変わらず、申し訳ない感じはまったくなく、約束の花火大会行くのを守ったよと自慢げな言い方だった。
「あとで、場所、メールするね。」と、言ってくれた。
コウさんは、不思議な人。
メールは、とても、優しくて、素直なコウさんが、すごくよくわかる内容。意外に、繊細なところがあり、お茶目なところもある。熱い心を持った人。
会うと、眼光が強くて、怖い。
電話も、口調が、ちょっと強めで、強引な感じがする。
そんなコウさんのメールは、彼の印象を柔和にしてくれる。
ギャップっていうのかな?
私の心を、鷲掴んで、離してくれない。
今まで会ったことがない。
だからかな?
惹かれるのは?
そう、そうだ!興味本位!
断じて、恋じゃない!
自分の気持ちに葛藤しながら、コウさんと次、会う約束をしっかり、決めていた。
車だと混むから、電車で、早めに行って、場所確保しよう!
と、いうことになった。
「早く、会いたい。」
コウさんは、甘く、つぶやいた。
メールで貰っていたドキドキとは比べれないほどの、ドキドキが、私の心臓を襲った。
甘い。
甘すぎる。
さきほど、強気な口調とは、うって変わって、いた。
「私も・・・会いたい」
何故か、魔法にかかってしまったのか?
私の口からも、甘くせつない声がでた。
これは、きっと、間違いだ。
私は、断じて、好きじゃない。
好きになっては、ダメ!
会いたいのは、嘘だと、早く告白したいだけ!
そうよ!
このドキドキは、気のせいよ。
コウさんは、私の言葉を、聴いたあと、強気な言葉に、戻っていた。
なんだかんだと、一時間くらい、長電話してしまった。
電話を切って、心が満たされながらも、寂しい思いが、更に高まった気がした。
そして、早く会いたい。
嘘だと告白する為に・・・。
ただ、それだけ。
私は、自分に、まじないのように、何度も、そう唱えた。
読んでくださって、ありがとうございます!
ぼちぼち更新、ごめんなさい。週1は、なんとか更新したいと思っています。
たくさんの人の幸を、願って!