第7話 募る想い
本日、2回目の更新です。
「効果はあったのですか?」
あれから一週間。ここは、ワタル珈琲店。耀輔君。注文を聞いたあと、聞いてきた。
うん。あった。効果はあった。
でも、翌日には、コウさんのメールを読んでしまったら、同じなのである。
悩みを書き出したあと、コウさんに、嘘を告白して、この淡い気持ちも消し去ろうと、決めて、紙をやぶることで、さらに、気持ちが決まるのだけど・・・。彼のメールで、このまま優子で、居たくなるのである。
コウさんは、必ず、「追伸:早く、ゆうちゃんに、会いたいな。 コウ」で、締めくくるのだ。
これを、みるたびに、心が、締め付けられて、私も、会いたくてたまらない。このまま優子として、優しくされたい!と、願ってしまうのである。
重症だ。
『嘘はつかないべし!自分の思うまま自由に生きるべし!』
この誓いを守ってきてのに、これじゃあ・・・
『嘘をついても、自分の思うまま自由に生きるべし!』
こう変わってしまうではないか・・・。
いや・・・もう変わってるのか?
うーん。
そんなこんなで、神妙な顔で、返答に、困っていたら、
「いまいちでしたか・・・?」
と、悲し気な顔をされた。私は、慌てて、
「ううん。あった!効果あったよ!でも・・・問題が解決しないから・・・うまくいかないっていうか・・・。ごめんね。」
と、告げた。
耀輔君は、そんな私に、
「そうですか。・・・良かったら、話ききますよ。」
と、優しく気づかってくれた。
「ありがとう。」
と、笑顔で返した。
やはり、耀輔君は、かわいいな。そんな風に思っていると、耀輔君は、いつものを、作りに、戻って行った。
いつものとは、ワタルブレンドと小倉どらやきで、ある。
ここは、ティータイムサービスがある。ドリンクを頼むと、必ずついてくる。ティータイムは、小倉どらやきと自家製はちみつ添えシフォンケーキと季節のデザートの三種類がある。一つ選べれる。ティータイムは、数量限定なので、なくなり次第、お任せクッキーに変わる。土日も行っているの。土日は、早々になくなってしまうらしい。私も、残りの二つを頼んだことがある。シフォンケーキは、ふんわりしていて、自家製はちみつと相性が良く、美味である。これを目当てにくる女性の気持ちがわかる。季節のデザートは、その日とれた新鮮な果物を、だしてくれる。その時によって違うが、新鮮でおいしい。その二つも、魅力的なのだが、私は、小豆が大好き。特に、小倉あんが、好き。だから、いつも、これを選んでしまう。しかも、ワタル珈琲店の手作りなのだ。ここでしか食べれないという、限定が、虜にされて、週1通ってしまう要因の一つかもしれない。
私は、雑誌を読んでいた。
ネイルのデザインを考えるのに、最新の流行を見るためである。単に、楽しいだけでもあるけどね。
今年人気のカラーや服装、バックなど、人気のメイク、人気スポット!いろいろ読んでいるだけで、楽しくなってくる。そうすると、自然に、アイデアがわく。それを、ノートにメモっているのである。
そんなこんなで、耀輔君が、いつものを持ってきた。
お礼をいいながら、受け取る。
「ゆう子さんの、ペン、かわいいですね。」
今、ノートに、ネイルのアイデアを書き留める為、ペンを出していた。
耀輔君は、それを見て、声をかけてきた。
気分転換と練習の為、ペンをデコるのが好きな私。
このペンも、デコっている。グリップ以外のところを、上から虹色にグラデーションして、胸ポケットなどに挟めるところに、丸いプレートをつけて、ストーンでバラを、作っている。職場の『ローズ』を、イメージしてる。個人的にも、バラが好きなので、気に入ったデザインである。
「本当に?嬉しいな。かわいい感じ?きれいな感じに、デザインしたのだけど・・・?」
嬉しかったが、かわいいよりきれいなおしゃれなをイメージしたので、ちょっと気になって聞いてしまった。
「あ・・・。うん。きれい!おしゃれです。ゆう子さんて、かわいらしい人だから、きれいなものも、ついついかわいらしくみえちゃうから・・・かわいいって、褒めちゃうのです。」
はあ。
かわいらしいひと?
うーん。
褒められてるのだろうか。
ちょっと違う気がする。あいまいに。返事をして、作業を続けようとすると、
「本当に、きれいなペンです。ネイリストのお仕事ってすごいですよね!俺、不器用だから、手先が器用なゆう子さん、うらやましいです!」
うわー。
本当に、かわいい。嬉しくなってきて、顔がにやけた。
「ありがとう。耀輔君も、努力家だよね。バリスタの仕事も、ますます素敵になってきたね。」
と、褒めた。もちろん、本心。入ったころは、緊張してて、かたかった表情も、素振りも、今は、自然で、心地よい。この前、店長の久米さんも、耀輔君目当てで来るお客が増えたって言っていた。
耀輔君は、ちょっと照れたのか、いつもの珈琲の話も世間話もせずに、「そんなことないです。頑張ります!」と言って、去って行った。
その夜。
いつものように、コウさんへメールを送った。
本当は、早く、真実を言わなくてはいけない。
優子でないって。
メールでは、ちょっと失礼だから、やはり次会った時には言わないと・・・
それまでは、優子のままでいよう・・・
メールの内容は、ほぼ自分なのだから。
自分に言い訳しながら、彼への行動を正当化しようとした。
いや・・・
でも・・・
やはり、真実を知ったら・・・
許してくれないよね。
「はあぁ・・・・」
大きなため息のあと、私のスマートフォンが、鳴った。
読んでくださって、ありがとうございます。
「書きたい!」気持ち、いっぱいで書いています。
未熟なところも多いですが、ご容赦頂けると嬉しいです。
更新は、不定期ですが、頑張ります。