第55話 優子と外飲み
金色の看板。
鳥の専門店『鳥鳥幸』
鳥の専門料理が多くて、食べると幸せになるという店名。
ダジャレもかけていて、おいしすぎるから、とっておきたくなるという意味も含んでいる。
「とっと(とって)こう(おこう)」という意味。
地元に何店舗も、展開している老舗。
このお店は、第一号店。最近、改装して、和を重視し、檜を使ったことで、ぬくもりがでたお店になっている。20人くらいしか入れない小さな店舗だが、若い女性から、おじ様まで、人気のお店。
その中でも、日本一の金賞に輝いた手羽先のから揚げが、絶品。
優子も私も、このお店の料理が好きで、何度か訪れている。
庶民の私にも出せれる料金である。
ただ、優子の家は、このお店でも有名なので、異常に愛想がよく、サービスが良い。
普段は行っていない、テイクアウトもやってくれる程の待遇。
常連とはいえ、凄すぎる!
実際に、優子の父とこのお店の社長と仲の良い友人らしい。
だからか、さっきから、店員のお兄さんの笑顔がまぶしすぎる。
いつもこうなんだけど、ちょと慣れない。
今日は、金曜日。
コウさんの衝撃告白から、2日後である。
通常19時に仕事が終わるのだが、今日は、18時で、仕事を片付け、優子と外飲みに、きている。
料理も、だいぶお腹に入ってきて、お酒も、だいぶまわってきている。最近、付き合いだしたジムのトレーナー川村翔太さんの話で、盛り上がっていた。
そののろけ話で、優子の幸せが本当に嬉しくて、幸せだなぁと思っていたら、突然、話を振られた。
「で、ゆうちゃんは、どうなの?」
「え?どうって・・・?」
「纐纈雄海・・・。じゃなかった・・・。纐纈航。付き合うの?別れるの?」
おお!
ストレートな突っ込み。
手羽先のから揚げを、落としそうになるのを、なんとかこらえて、ひとまず、お皿に、戻す。
ハイボールを、飲みながら、私は、答えた。
「わからない。うーん。でも、別れるべきかなっては、思うんだけどね・・・。」
優子は、不機嫌な顔をして、私に言う。
「えー。なんで?」
「うーん。自分でも、融通がきかないのは、わかってるんだけど・・・ね。筋を、通したいって言うか・・・。」
「すじ?」
「わかんないな」て顔をして、優子が問う。
「うん。お互い、他人を装ってたでしょ?つまり、嘘ついてた。これって、今後、付き合っても、消えない事実じゃない?私、やっぱり、嘘は、良くないと思うの。」
私は、再度、ハイボールを、飲む。
「このまま付き合っても、その嘘が気になって仕方ないと思う。何かあった時に、『以前、嘘ついたんだから、今回も嘘でしょ!』みたいなケンカもしたくないし・・・。私も、嘘ついた罪悪感に苛まれる気がして・・・。」
はあ・・・。
言って、私は、大きなため息をついた。
「でも、ふんぎれなくって・・・。」
なんだか、目頭が熱くなってきた。
「つまり、纐纈航が、好きなんでしょ?」
優子は、ピシャリと私に言った。
「頭と心が、うまくいかないっていうか・・・。」
はあ・・・。
再度、ため息をつく。
しばし沈黙。
優子は、赤ワインを飲み干し、そっとつぶやいた。
「纐纈航って、ゆうちゃんのこと、よくわかっているよね。」
え?
私は、優子を見た。
わかっている?
どこが?
今の会話で、どうしてそういうことになる?
?
???
明らかに、わからない顔をした私に、優子は、言葉を続ける。
「えー。だって、普通、考える時間なんてくれないよ。『お互い、嘘だったね。おあいこ。ハッピーエンド!』て、なるんだよ。そこで、『考える!』なんて、言っても、ケンカになるしかないよね。普通、意味わからないっって。」
え?
マジですか?
えええ?
なるでしょう。
やっぱり、嘘ってよくないし・・・。
更に、理解できない顔をつくる私に、優子は、言い放つ。
「いやいや、ゆうちゃん、本当だって。纐纈航は、そんな融通のきかないゆうちゃんのことわかっているから、二週間も時間をくれたんじゃない?」
え?
ええええ?
私が、おかしいの?
うーーん。
普通だよね。
そこで、考える時間貰うのって。
「いや・・・。私、普通でしょ?時間貰うのって。」
納得しない私は、優子に詰め寄る。
ふう・・・。
一息ついて、優子は、「仕方ない。」って、顔をして、「そうだね。」と、つぶやいた。
え?
いやー。
普通でしょう!
だって、お付き合いするのに、信頼関係は、大事。
それが、始まりが、お互い、嘘ってことになれば、落ち着いて考えなくてはいけないでしょう?
違う?
うーん。
私は、考えが固いのだろうか?
真面目すぎるのだろうか?
うーーーん。
でも、仕方ない。
私は、こうなのだから・・・。
頑なに、私はおかしくないと主張する私に、「ゆうちゃんだからね。」と、優子は言い、飲みに付き合ってくれるのでした。
読んで下さって、ありがとうございます。
ゆう子、固すぎ!真面目すぎ!もやもやちょっと続きます。
ラストまで、2、3話くらいかな・・・。頑張ります。




