第53話 驚くべき真実
少しの時間、私は、動けなかった。
コウさんが、優しく背中と頭を交互になでてくれた。
おちつくのを、待ってくれているようだ。
深呼吸して、コウさんに、尋ねる。
「どういうこと・・・?」
私の問いに、ゆっくりと答えるコウさん。
「纐纈雄海は、僕の弟なんだ。」
弟?
え?
ええ?
「僕の本当の名前は、纐纈航。ゆうちゃんが、通ってくれているワタル珈琲店のオーナーが、僕なんだ。」
少し、間を置いたあと、私は、大声をあげた。
「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・・・!!!!!」
急いで、口をふさがれた。「ゆうちゃん、声が大きい!」と、コウさんの制止つきで。
あーでもないこーでもないと、パニックている私。
更に、時間をかけて、落ち着くのを待ってくれるコウさん。
その後、私の質問や疑問について、しっかりと、答えてくれた。
私が、すべて理解するまで、何度か同じことを繰り返しながら、教えてくれた。
理解は、した。
しかし、感情と頭がおいつかない。
私の好きな人は、実は、別の人だった。
偽ったのも、弟の代わりにお見合いにきたからだ。
私と一緒で、纐纈雄海でもおかしくない範囲で、自分をだしてたらしい。
しかも、一度も、苗字しか、名乗ってないと言う。
そうだったかな・・・。
言われれば・・・そうだったかもしれない。
医者を辞めて、夢の珈琲店出すことにして、弟に、病院のことを押し付けた経緯もあり、弟に頼まれると、弱いという、意外な一面まで教えてくれた。今でも、病院の為、医者ではなく、経営者の補助として、関わっているらしい。
コウさんの愛称の理由は、実は、「纐纈」の「コウ」ではなく、名前の「航」の別の読み方「コウ」らしい。
小中高の友人は、この愛称で呼ばれていて、大学と医者と珈琲店は、「航」と呼ばれているらしい。
小さい時は、「航」を、「ワタル」と、読めない人が多く、「コウ」の方が、呼びやすいということで、この愛称になったらしい。
なぜ、この呼び方を私にさせたかというと・・・。
弟の名前で私から呼ばれたくなかったとのこと。
最近、「ワタル」と呼ばれることが、多かったので、「コウ」と呼ばれるのは、新鮮で、好きな人に呼ばれるのは、凄く嬉しかったらしい。
だから、これからも、呼び方は、同じで、良いらしい。
そして、このことを、早く告げようとも思ったが、私が、嘘をついているのを知っていた為、「おあいこ」にしようと黙っていたとのこと。つまり、私が、嘘だと言った時に、告げると決めてたらしい。
うーーーーーーーーん。
自分許容範囲を超えているため、私は、どうしていいかわからない。
正直、このまま、付き合って良いのだろうか?
私たちは、嘘をついていた。
おあいことはいえ、嘘は、嘘。
このまま、コウさんを信じて、ついていくべきだろうか?
それとも・・・・。
別れる?
いや、この状態だと、付き合っていたのだろうか?
お互いが、偽物だ・・・・。
付き合っていたのも、嘘・・・?
うーーーーーーーーーん。
気持ちも頭も、ぐちゃぐちゃだ・・・。
「ゆうちゃん・・・。」
何も発しない私を、コウさんが、心配そうな瞳で、みつめる。
「じ・・・。時間をください。」
「え?」
私の言葉に驚くコウさん。
「頭が、こんがらがって・・・。正直、どうしていいか・・・。」
「ゆうちゃん・・・。」
一段と暗い声で、つぶやくコウさん。
「す、少しでいいから!落ち着いて、考えたいの・・・。」
コウさんは、少し、考えたあと、落ちついた声で、言う。
「わかった。2週間くらいで、いい?」
そんなに?
いや、短い?
うーん。でも、それくらいが、限度かな・・・。
待たせすぎるのも、失礼だしね・・・。
私は、うなずいた。
「じゃあ、今度会う、日時や場所などは、今度連絡するね。」
「うん。」
「念を押すようだけど・・・。逃げないね・・・。」
う・・・。
自分でも、自信がない。
今の私なら、大いにありえる。
しかし、それでは、この抱きしめられた腕を、一生離してくれないだろうし・・・。
思い切り、頭を縦に、何度も振った。
「本当に?」
「うん。」
顔をあげ、コウさんの瞳を、みつめかえす。
「じゃあ・・・。約束ね・・・。」
私の顎をそっと、触り、自分の都合の良い角度に、向けられる。
証。
約束の証。
そういうことだろうか?
コウさんの唇が、ゆっくり近づいてくる。
軽くあたり、そのあと、何度か押し当てられる。
そして、どんどん深いキスへと向かう。
自分が怖くなる。
そのキスに、自然と応えている。
頭も気持ちもぐちゃぐちゃ。
だけど、コウさんが好きという気持ちは、自分でも、はっきりとわかっていた。
これが、最後のキスになるのだろうか。
それとも、約束の証のキスで、終わるのか。
今は、わからない。
ただ、愛する人との気持ちに応えたい。
コウさんが、好きという気持ちに素直になって・・・。
コウさんの胸に置いた手を、再度、首にまわし、熱いキスを、続けた。
読んでくださって、ありがとうございます。次回更新は未定です。早め、頑張ります!




