第48話 友情
「本当に、怒っていたの?」
今日あったことを、優子に報告電話したら、急いで、私の部屋にきた優子。
詳細を聞いて、念を押してくる。
年下のいつもサポートしていた優子が、今日は、私を慰めに来てくれたことが、嬉しい。
「何も食べてないでしょ!」と、消化の良い物をいくつか差し入れで持ってきてくれた。
正直、食欲はなかったが、優子に、「一口でも食べるの!」と、強く言われ、おかゆを食べている。
そのおかゆのスプーンを置きながら、私は、答えた。
「うん。冷たい声だった。間違いない。」
その時の状況を思いだして、再度涙がでてきた。
涙が、おさまるのを待って、優子が再度、聞いてくる。
「それまで、普通だったんだよね?」「その冷たい言葉の前は、何か言ってた?」
ひとつずつ答える私・・・。
何か、言ってた・・・。
なんだったかな・・・。
「あ、私のこと好きって・・・言ってた・・・。」
それは、なぜ?
あのタイミングで?
「うーん。やっぱり、ゆうちゃんの勘違いじゃないかな?」
優子は、私に言う。
勘違い?
え?
ええ?
訳がわからないという顔をしていると、優子が、言葉を続ける。
「纐纈雄海は、ゆうちゃんのこと、怒ってないよ。正体を知っても、好きだよって、言いたかったのを、勘違いして、最後まで聞かず、逃げだしたんじゃないかな?」
真剣な瞳で、私を諭す。
そうかな?
本当に?
うーん。
納得しない私に、更に言葉を続ける優子。
「今、纐纈雄海に、電話しよう!」
え?
今?
すでに、深夜0時をまわっている。
「さすがに・・・夜中は・・・。」
「何言ってるの!ゆうちゃん、逃げて来たんだから、早く、弁解しないと!」
弁解・・・。
本当に、私の勘違いなのだろうか?
優子は、悩んでいる私の横で、私のスマートフォンを差し出して、「ほら、早く!」と、急かす。
何だか、かわいくて、彼女の「お願い!」には、弱い私。
言われるまま、かけようかな・・・と、スマートフォンを受け取り、コウさんの連絡先をだした。
本当に、私の勘違い?
「お金が、目当てだった?」
コウさんの言葉が、蘇って、指が止まる。
「優子、やっぱり、明日。明日、かけるよ。さすがに、夜中は・・・。」
「本当に?気持ち揺れない?」
強い瞳を向ける優子。
う・・・。
その場しのぎの言葉を見破られたかしら?
ずっと、正体を言えてなかった私だし・・・。
コウさんに関しては、信用がないよね・・・。
黙ってしまった私に、優子は、優しく声をかけてくれた。
「無理強いはしないけど、早めに連絡してあげてね。」
「うん・・・。ありがとう。」
優子は、そのあと、明日(実際には、0時すぎているので今日)も私が仕事なので、気を使って、帰って行った。もちろん、迎えの車が来た。「私は、ゆうちゃんの味方だからね。また連絡してね。」と、帰り際に私に伝えて、去った。
そう、これで、私は、コウさんに連絡して、見事、勘違いだったことを、証明するはずだった。
する予定であった・・・。
しかし、私は、毎日、毎日、スマートフォンとにらめっこしたまま、コウさんに電話をかけれなかったのである。
優子は、勘違いというけど、私には、とてもそう思えない。
そう、必ず、思ってしまう。
冷たい言葉をききたくない。
逃げているのは、わかっている。
わかっているけど・・・。
逃げたいのだ。
自分は、とても、みじめで、弱い人間だったと、気づいてはいる。
でも、コウさんからの拒絶の言葉を、聞いてしまったら、私は、立ち直れない気がする・・・。
だから、気が済むまで、逃げさせてくれないだろうか?
わかっている。
大人として、恥ずかしい行動。
たとえ嫌われていても、それを受け止めなければいけないことは・・・。
でも、でも・・・・。
もう少し、あと少し。
それを、許してくれないだろうか?
コウさんからの冷たい言葉を受け止める準備ができるまで・・・。
でも、その『逃げ』『弱さ』を、私は、後悔することになる。
だって、人は、逃げたら、また逃げたくなるのだから・・・。
逃げて、逃げて・・・。
タイミングを逃して、更に、連絡しづらくなることを、私は、気づいていなかった。
読んでくださってありがとうございます。
早く書きたい!しかし、時間がない。頑張ります。気長に待って、やって下さい。お願いします。




