第45話 友人の結婚式
「では、誓いのキスを」
神父様が、アクセントがずれた日本語で言うと、新婦で、私の短大の三人仲良し組の一人山田あかねと、新郎の岡田浩さんが、熱いキスをした。
頬ではなく、唇に、そっとではなく・・・熱く重ねている。
さすが・・・肉食女子。あかねだ。
みためは、かわいい系で、身長が低いのもあって、かわいい女の子にみえる。
でも、昔から、好きになった男性には、猛アタックしていた。
それが、裏目にでて、短大のころ、泣いていたこともあった。
しかし、真っ白いプリンセス型のウエディングドレスに身を包んだ彼女は、今日は、幸せそうだ。
コウさんが帰国して、5日たった土曜日。私は、友人の結婚式に参加している。あと2日後に、大事な話をすることになっている。
それにしても・・・
長いキスだ・・・。
誓いのキスって、普通短くない?
新郎も、小柄な身長も高くない人なので、バランスがとれた姿勢で、熱いキスを、続けている。
それを、見ながら、私も、コウさんといつか・・・。
と、夢を見ていた。
私は、ドレスより、着物が良い。
白無垢かな・・・。
人前でキスは嫌なので、神社かな・・・。
厳かすぎるのも・・・。
うーーん。
と、自分とコウさんとの結婚式を、想像していた。
すでに、キスは終わり、賛美歌が始まるので、あわてて、受付でもらった歌詞を出す。
有名な賛美歌だが、私は、よく知らないので、わかるところだけ歌い、あとは、まわりに真似しながらくちづさんだ。
幸せそうな二人は、一旦、退場する。
あかねが、私ともう一人の短大の三人仲良し組の大沢芽衣のところを通ると、にっこり笑いブーケの持った手を振ってくる。
かわいい。
こういうところに、新郎の浩さんも、惚れたのかな?と、思った。
そのあと、教会をでて、フラワーシャワーをやり、写真タイムが設けられた。
私は、芽衣と一緒に、あかねと浩さんに、お祝いをいって、近づいた。
あかねが、「短大の三人仲良し組だ。」と、紹介していた。
友人祝辞を述べる私は、あかねに、よろしくと言われて、私は、他の写真を撮るメンバーと位置を変わった。
「いやー。きれいだね。」
芽衣に、声をかける。
「本当だね。」
芽衣は、うなずく。
芽衣も昨年結婚している。
残るは、私だ。
「ゆう子は、どうなの?」
「え?」
「彼氏。いるの?」
ああ。
いる。
いるけど・・・。
「うーん。いるよ。」
で、いいよね?
「うそ!なになに?誰?」
と、ふくよかな体つきの芽衣が、迫ってくる。
おだやかな性格だが、友人の恋話には、興味があるので、くいつきがいい・・・。
微妙な話をするか悩んで、「また、今度ね。」と、芽衣に言う。
「えー!」と、明らかに不服そうな声を出す芽衣。
だって、結婚式に、ちょっとふさわしくない話になりそうだしね。
月曜日で、解決すれば、胸をはって、紹介できるしね。
そう思い、芽衣に、「まあまあ。」と、落ち着かせようとするが、一向に、うまくいかない。
新郎新婦を、再度、見送って、披露宴会場に向かう。
準備の為、一度、軽食とドリンクの部屋に、案内される。
そこでも、最終的に、私の彼氏の話に戻ってくる。
ごめんね。芽衣。
もう少し待ってね。
「準備が整いましたので、披露宴会場にお移り下さい。」
案内の声があり、私は、エメラルドで、スパンコールがさりげなくついた、ドレスの裾を直して、披露宴会場に向かおうとする。芽衣も、黒と茶色の大人っぽいドレスを、整えて、一緒に、向かった。
新郎の浩さんは、38歳。
医師。とある病院勤務。身長は170センチ弱。小柄。
あかね情報だと、コンパで、知り合って、交際半年で、プロポーズされて、その半年後、つまり、付き合って一年で結婚することになったらしい。
お互い年齢も年齢だから、早々決まったらしい。
とても愛し合っているのがわかる二人。
あかねの幸せそうな姿を思い出して、嬉しくなる。
二人の手作りの似顔絵のウエルカムボードを見て、芽衣と、絶賛しながら楽しく話していた。
先ほど、席を確認したので、席に着こうと、披露宴会場に入ろうとした時、私を呼び止める声がした。
短大時の他の友人?
あかね通じての、友人?
いやいや。
女性の声ではありません。
これは、なじみある、ある人の声。
私がよく知っていて、大好きな人の声。
「ゆうちゃん?」
コウさん!
なぜ、あなたが、ここに?!
黒い礼服に白いネクタイ。
とても似合っている美男子。
遠くで、「あの人、かっこいい!」て、聴こえてますが・・・。
ミーハーな女性陣の声に、「私の彼氏です!」と、自慢したいが、今は、それどころではない。
ここ、披露宴会場入り口。
まさかの遭遇。
私、今、林優子では、ありません。
正真正銘、佐藤ゆう子。33歳です。
いっきに血のひく音がきこえてきて、私は、そのまま固まった。
読んで下さってありがとうございます。ピンチ、ゆう子!




