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第43話 彼の意外な趣味

「ゆうちゃん、上手だね!」

コウさんが、横で、声をかけてくる。

私は、真剣そのもので、目の前の粘土に、集中している。

「う・・うん。余裕ない。」

と、そっけない返事をした。


あの泣いたあと、私は、化粧室で、メイクを直した。その間、コウさんは、スーツケースを自宅に送る手配をした。

コウさんは、車を自宅に置いてきているので、電車で、ここまで移動した。

コウさんの趣味を披露するということで、連れて来られたのが、ここ焼き物の街。

そして、今は、電動ロクロを使って、陶芸体験をしている。

コウさんは、この粘土を触って、自分で作品を作り出すことに、集中することで、日々のストレスが発散できるらしい。

一人で映画館行く趣味を知ったことも嬉しかったが、また一つ趣味を知れて嬉しくなる。


私は、初体験である。

ネイルのお仕事とは、違った、手先の力加減が、難しい。

ただ、粘土のすべすべした感触が、気持ちよくって、癒される。

私も、はまってしまいそうだなっと思った。

今は、自分のお茶碗を製作している。

少しでも、集中するのをやめたら、失敗しそうで、真剣である。

そんな一面を見て、楽しそうに見つめているコウさん。

残念なことに、私は、気づいていない。


優しく、丁寧に。

集中!集中!

私は、一所懸命に、お茶碗作りに、没頭した。


横では、すでに、花瓶を作り終えたコウさんが、みつめていた。

そのコウさんに、お店の人が声をかけた。

席をたち、コウさんが、自分のお店で使う陶器の話をしている。

このお店の陶器を、使うらしい。

しかし、この話も私は聞いていなかった。


なんとか、お茶碗らしくできたので、ひと息つき、横を見た。

すでに、隣に戻ってきているコウさん。

口角も上がっていて、楽しそうな瞳がと、目があった。


どきんっ


コウさんの微笑みは、うっとりしてしまう。

本当に、かっこいい。


「ゆうちゃん、真剣に頑張る姿、おもしろいね。」

と、楽しそうな声で言う。


おもしろい?

これは、褒めているのだろうか?

うーん。


微妙な表情をしている私に、更に言葉を続ける。

「一緒にいて、楽しいよ。」

微笑むコウさん。


この顔。

笑顔に弱い私。

褒めているかはわからないけど、コウさんが、喜んでくれるなら良いのではないのかなと思った。


出来上がった作品は、お店の人が焼き上げてから、自分の元にくる。

宅配もあるけど、コウさんは、また来るので、私の分まで、受け取って渡してくれるいうことになった。

昼食は、この陶芸教室の建物にあったカフェで、済ませた。

お茶をと思ったが、もう夕方なので、ホテルに向かうことにした。

ホテルは、空港近くで、飛行機が見えるところらしい。

空港内のレストランを予約しているということだった。


私は、悩んだ。

どこで、告白するかを・・・。

お茶タイムは、ない。

レストランで?

しかし、そこは、話すには、静かすぎる可能性がある。

下手をすると、修羅場・・・には、ならないとしても、重い空気が流れるはずだ。

うーん。

今から、ホテルに行っても、夕食までには時間がある。

部屋で、話す時間を貰おう。

うん。

そうしよう!

自分の中で、イメージができた。


いつのまにか、駅について、ホームで、電車を待つ二人。

手は、恋人つなぎだ。

「ゆうちゃん、ごめんね。」

コウさんは、いつもの悪びた感ない、とりあえず口にしたような言い方で、私に伝える。

「何が?」

頭を傾けながら、聞く。

「ホテル。飛行機は見えるけど、急いでとったから、ちょっと良いビジネスホテルしか空いてなかった。」

はあ。

たしかに、優子なら、グレード高いホテルに泊まるだろうね。

でも、私は、庶民。ビジネスホテルくらいで十分だ。

「コウさんと一緒なら、どこでもいいよ。」

特に、何も考えず、微笑んだ。

しかし、コウさんの心を鷲づかみした一言だったらしい。

顔が、近づいてくる。

何故か、ホームには、人がいない。

触れるキスを、何度もおとして、少しずつ、深いキスへと変わっていく。

いつのまにか、私の腰に手をまわされて、優しく抱き寄せられた。

片方の手で、深いキスを逃げようとする私の後頭部を固定する。

甘くとろけるキスに、自然と答えてしまう。

あたりは、オレンジ色に包まれ始めている。

甘い吐息がもれる。

止まらないキスに、自ら、コウさんの背中に手をまわして、更に抱きつく。

コウさんの体温が伝わってくる。

コウさんのキスも自然と激しくなる。

このままとろけそうな熱い気持ちが湧いてきて、頭もぼうっとしてくる。

甘い時間に酔ってしまう。


「電車が、参ります。」

ホームに、鳴り響くアナウンス。

私は、驚いて、コウさんから、離れてしまった。

大胆な自分に気づいて、真っ赤になった私。

コウさんは少し離れている私に、近づき、手をつなぎ、耳元で、ささやいた。

「ゆうちゃん、かわいい。」

更に、赤くなる顔。

手を、きゅっと握り返して、そっぽを向く私。


恥ずかしすぎる!!!!

大人です!

動揺しては、ダメ!

こんなことで、動揺したら、子供だと思われてしまう。

しっかりしなくては!


そんな私の顔を、嬉しそうな瞳でみつめるコウさん。

かすかに、笑い声が聴こえてくる。


止めて!

恥ずかしい!


あえて、コウさんを、無視して、来た電車に、二人して乗り込んだ。

読んで下さって、ありがとうございます。ラブラブ、復活中!

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