第36話 ワタル珈琲店親睦会①
「ワタルさん?」
私は、店長の久米さんに、聞き返した。
「ワタル珈琲店のオーナーのことです。」
と、教えてくれる。
私は、仕事が終わって、職場から近い居酒屋で、親睦会をやっていたため、7時30分前には、到着できた。
私が行くときは、店長の久米さんと耀輔君しかいないので、他のメンバーと、彼女を紹介された。他の店舗から移ってきて5年目の27歳社員の藤部さんと彼女。バイトで、大学生の20歳の奥野君と彼女。バイトで、専門学生の19歳の小山君と彼女。
みんなイケメンで、キレイな彼女たちだった。
そして、初めて、久米さんの奥様を紹介された。1年前に結婚された年上の奥様。
お名前は、恭子さん。私と同じ33歳。170センチで、黒髪セミロングのセンター分けの美人。大手保険会社の営業マン。明るく爽やかな裏表ない人懐っこい女性だ。
お酒もすすみ、(未成年はジュースです。)久米さん夫婦と私と耀輔君と、他メンバーで、それぞれ、話の輪ができていた。
私たちは、今、ワタル珈琲店のオーナーのことが、話題にあがった。
つまり、コウさんの友人。
「俺、本当に、お世話になっているんです。今日も来る予定だったのに・・・。」
「予定ができたんですか?」
「いや。今、海外に、コーヒー豆の調達に行ってて、いないんです。」
はあ。
コウさんと同じ。
一緒に、行ったのかしら?
「店長、昨日、会えたじゃないですか。」
耀輔君が、言う。
「そうだけど、一緒に飲みたかったな・・・て。」
「いつも、参加されるんですか?」
「こういう会は、だいたい顔だけでも、出してくれるんですよ。」
と、久米さんが、話しだした。
月1回は、必ず顔をだして、バリスタの仕事のチェックと指導をしてくれること、前の店舗の時、お世話になって、今の店舗を任せてくれたこと、奥様の恭子さんとの仲も、応援してくれたことなど、教えてくれた。
「え?恭子さん、常連さんだったんですか?」
「そうなのよ。ワタルさんが有名で、目当てで来てるお客さんが多くて、私も噂に便乗して、行ってみたの。健一が(店長の久米さんの下の名前)、接客してくれたんだけど、人間味あふれて、私は、悪くないなって。コーヒーも、おいしかったしね。でも、私が、ワタルさん目当てで来てるって、健一、勘違いして、三人で、ごはん、行きませんか!って、何度も誘ってきたの・・・。」
と、なれそめを、話だした。
おお!
常連さんと店員:バリスタの恋!
ちょと禁断?で、おもしろい。それに、素敵!
どうも、オーナーのワタルさんは、キューピット役を果たしたらしい。
久米さん夫婦から、信頼されているらしい。
「しかし、ワタルさん、彼女できたぽいんだよね。」
久米さんが、オーナーにお世話になった話から、オーナーの恋愛話に変わった。
「やっぱり、そうなんですか?」
耀輔君が、うなずく。
「俺は、東京でお店だした、女店長の清水 花穂じゃないかなーて。」
「やっぱり、美人ですか?」
「もちろん。黒髪ショートボブの大人っぽい美人。初めての、県外店舗。初めての女性店長。立ち上げ一緒にやって、むこうでも、長いこと一緒だったしな。手伝いに行ったバリスタから聞いたら、いい感じの雰囲気だったらしいし。」
「そんなんですね。店長、最近、機嫌いいですよね。」
耀輔君が、うなづく。
「それなら、早いところ結婚してもらうように、応援しないとね。」
と、恭子さんもくいついてきた。
まだ独身なんだ。
若いのかな?
コウさんの友人だから、30代くらい?うーん。
「ゆう子さんは、付き合っている人いるの?」
恭子さんに、突然ふられて、飲みかけの梅酒を吹き出しそうになるのを、堪えた。
先ほど、同い年だから、敬語なしねと言われたことを、思い出して、答えた。
「あ・・。うん。います。」
「ええ!!!」
久米さんが、大きな声をだした。
私は、驚いて、久米さんを、凝視する。
「この前、聞いたとき、フリーって、言ってましたよね!」
何故か、詰め寄られる。
「あ・・・。」
いつ、聞かれたんだろう?
思い出せない。
圧倒されながら、私は、なんとか答える。
「でも、本当に、最近・・・。」
「いつ?」
さらに、詰め寄ってくる久米さん。
見かねて、恭子さんが、制止してくれる。
「一ヶ月・・・もうちょっとで、二ヶ月かな・・・。」
一応、答えた。
「そうですか・・・。」
久米さんは、耀輔君の方を見た後、私に尋ねた。
「プロポーズされたんですか?」
「え?・・・まだ・・・。」
「まだって、ことは、結婚前提のお付き合い?」
と、恭子さんに聞かれる。私は、うなずいた。
何故か、久米さんは、暗くなって、黙ってしまった。
それ以上に、暗くなっている、お隣の耀輔君には、気づかず、食後のデザートを、私は、口の中に頬張った。
うん!おいしい!
このあとは、ボーリングらしい。
今日の服装は、パンツ姿なので、問題なく、発散できる。
楽しみだなと、私は、思った。
読んで下さって、ありがとうございます。
耀輔君、頑張れ!




