第34話 お泊りデート⑬
今回は、ちょっと長いです!
私は、シャワーを終えて、身なりも整え、帰りの荷物も整理して、キッチンへ来た。
コウさんが、黒いエプロンをして、迎えてくれる。
私は、グレイのチェック柄のジャカードワンピースで、裾が黒のレースが施されている大人ぽい服に着替えている。
席に誘導されて、腰かける。
テーブルには、すでに、朝ごはんが並んでいる。
カフェメニューということで、ゆで卵と、キャベツの千切りと、きゅうりとトマト。
ベーコンの薄切りが、のっている。食パンは、今、焼き始めている。
シンプルな朝ごはんだ。
基本、和食な私だが、こういう朝ごはんも嫌いでない。
「ゆうちゃん、コーヒー飲む?」
コウさんに聞かれ、うなずいた。
早速、コーヒーを淹れる準備を始めた。
コウさんは、フレンチプレスに、コーヒーの粉を入れ、熱湯を注ぎ始めている。キッチンタイマーで、計測している。
すべてが、慣れた手つきだ。
さすが、バリスタ!
初めて見る彼の姿は、かっこよかった。
これなら、ごはん作っている姿も見ていたかったなと、ちょっと後悔した。
コウさんの慣れた手つきで、朝ごはん作り出す姿も、かっこいいはずだ。
うう。
残念。
それにしても、コーヒーを淹れるのに、フレンチプレスを使うのって、珍しいんじゃないかな。
ドリッパーにフィルターをセットして、粉入れて、ドリップする淹れ方が多い気がする。
私が通っているワタル珈琲店も、フレンチプレスを使っている。珍しいなと思っていた。
もしかして、ワタル珈琲店のオーナーが、友人なのかしら?
そこで、働いているのかしら?
あそこの制服は、かっこいいから、コウさんも、絶対に、似合うよな・・・と、ワタル珈琲店の制服姿のコウさんを、想像した。
うん!
やっぱり、かっこいい!
「どうぞ。」
うっとり想像していると、コウさんが、淹れたての珈琲を、置いてくれた。
コウさんの分は、すでに、置いてあり、コウさんは、私の反対側に座った。
すでに、焼けた食パンも、お皿にのっている。
おいしそう!
「コウさん、ありがとう!いただきます。」
満面の笑みを向けて、バターが少し溶けた食パンを食べた。
かりっとして、中がもちっとした食パン。バターが、更に、おいしさを増している。
コーヒーを、一口飲んだ。
え?
私は、そのまま、止まってしまった。
何故かというと、コウさんのコーヒーの味が、今まで飲んだ、どのコーヒーよりも、美味しかったからだ。
私のお気に入りのワタル珈琲店よりも、断然、おいしい!
きっと豆が良いのだろうけど、それだけじゃない。
これは・・・。
コウさんのコーヒーの淹れ方が、絶妙なのだろう!
止まっている私に、嬉しそうな笑顔を向けて、コウさんが、声をかけてきた。
「おいしい?」
あの瞳からして、私の驚きが、おいしくてたまらないのを理解しているはずだが、わざわざ聞いてきた。
しかし、あまりのおいしいコーヒーに、にらむことも忘れて、叫んだ!
「おいしい!こんなおいしいコーヒー飲んだことない!コウさん、天才バリスタです!」
あまりにも大きな声をだしてしまった私に、「落ち着いて。声、抑えてね。」と、コウさんに優しく注意された。
「大げさだよ。」
と、ちゃっかり答えているが、瞳の奥では「当たり前だ。」と言っているようだ。
私は、コウさんの朝ごはんを、美味しくいただいている。
コウさんも、食べているが、ペースが速い。
「ゆっくり、よく噛んでね。」
と、昨日の夕食でも注意したことを、再度言った。
きまりわるそうな瞳を向けて、ゆっくり食べ始めたコウさん。
こういうところは、かわいいなと思う。
自分でも、早食いだと自覚して直そうとしているので、仕方なくでも、努力する姿は、かわいい。
「ゆうちゃん、食後に、デーザートあるからね。」
「えぇ!本当?!楽しみ。なんだろう。」
「ゆうちゃんが、好きな小倉あんのデザートだよ。」
「そうなんだ!ますます、楽しみ!」
コウさんは、それ以上は、ネタばらししてくれないので、諦めて、朝ごはんを、食べることにした。
シンプルだけど、キャベツの千切りは、シャキシャキしていて、おいしい。
添えてあるマヨネーズも、手作りしたようで、添えてある野菜と一緒に食べると、更に、おいしい。
ゆで卵も、問題なく、おいしい。ベーコンも、マスタードが添えてあり、これが、素材をさらにいかしていて、おいしすぎる。
やっぱり、コウさん、凄い!
今すぐでも、お店出して、繁盛するのではないかと思うほどの腕前だ。
「コウさん、早く、夢が、叶うといいね。腕は、一流です!」
私は、朝ごはんが、おいしかったことも、伝えて、この言葉を添えた。
嬉しそうに、コウさんは、うなずいて、私のデザートを、取りに行った。
「え?これ?」
私は、コウさんがだ出してくれた、白いお皿にのった、シンプルな丸いデザートを、凝視した。
これは、どう見ても、『どらやき』である。
私が通っているワタル珈琲店と同じものである。
やっぱり、ワタル珈琲店で、働いているのかな?
聞いても教えてくれるかしら?
「小倉が、中に入ったどらやきだよ。」
と、説明してくれた。
知ってる。
働いているところに、恋人くるのは、嬉しいやら恥ずかしいやらだから、聞いても、教えてくれないかな・・・。
私は、悩みながら、小倉どらやきを、口に入れた。
!
なにこれ?
これは、あのワタル珈琲店と同じ小倉どらやきと同じではない。
ワタル珈琲店のどらやきもおいしいが、それ以上に、おいしい!
生地のもちもち感と、小倉あんの甘さが、絶妙のハーモニーを奏でている。
コウさん、カフェメニューの腕、ピカイチです!
感動して、声がでない私に、嬉しそうに、聞いてきた。
「おいしい?」
いつのまにか用意した、2杯目のコーヒーを置いてくれる。
私は、何度も、うなづいた。
「おいしい!物凄く、おいしい!」
嬉しそうに、私の返答をきいているコウさん。
私の反応に、結構、満足しているようだ。
この様子だと、聞いても大丈夫かなと思い、私は、さっきから気になっていることを、尋ねた。
「ワタル珈琲店?」
コウさんは、満足した顔から、感情の読めない、少し怖い顔になている。
私は、「ワタル珈琲店で、働いているのですか?」と、聞いたのだ。
なぜ、そんな顔になるの?
図星?
「私、一年半前くらいから通ってるんです。そこは、ティータイムサービスに小倉どらやきつくし、その
コーヒー淹れるのに使った・・・フレンチプレス?も、ワタル7珈琲店で使ってるから・・・。オーナーが友人で、働いているのが、そこかな・・・て。」
私は、一生懸命、説明した。
コウさんは、私の言っていることを、理解して、少し、考え事をしているようだった。
私は、怖くなって、
「あ、でも、コウさんの働く姿見たいけど、無理に押しかけたりしないから。教えてくれなくていいから!」
と、意味不明なことを、口走った。
明らかに、押しかけると宣言してる発言だ。
「その珈琲店は、僕のコーヒーより、やっぱり、おいしい?」
は?
何故か、質問を質問で返された。
あの瞳は、「黙って、答えろ。」と、言っている。
「うーん。素人だから、あくまで、私個人の感想だけど・・・。コウさんの淹れたコーヒーの方が、断然、おいしい!それに、ワタル珈琲店の小倉どらやきも、目当てで行ってたんだけど、コウさんの方が断然おいしい!やっぱり、コウさん、凄い!」
思っていることを、一生懸命答えた、私。
「・・・小倉どらやき、どう違うの?」
え?
また質問ですか?
「うーん。生地が、コウさんの作った方は、もちもちしてるの。小倉あんも、それに、マッチした味なんだよね。ワタル珈琲店は、小倉あんが、もう少し甘いのかな?ちょっと味が違う・・・。それも、おいしいんだけどね。」
コウさんは、再び、考え込んでしまった。
おーい。
コウさん。
私の質問の返事は、ないのですか?
しばらくたったあと、コウさんが、「どこの店?」と、聞いてきた。
え?
私の通っているところに、来るのかしら?
拒否権はないようなので、どこにある店舗かも伝えた。
しかも、いつ行ってるとか・・・。
本当に、コウさん、私がいるときに、サプライズで、来ようとしているのかしら?
それとも、反対に・・・来ないようにするとか?
ずっとみつめていた私の視線に気づいて、コウさんは、言った。
「そこで、働いてるよ。」
あー。
そうですか。
やっと、教えてくれたのね。
うん。
コウさんの働いている時に、ぜひ行きたい!
いつか店舗も教えてもらおうと、私は、思った。
読んで下さってありがとうございます。
コーヒー、飲みたいです♪




