第33話 お泊りデート⑫
「ゆうちゃん、起きて!」
どこからだろう。
私を呼ぶ声が聴こえる。
男の人の声?
おかしいな・・・。
私は、一人暮らし。
聴こえてくるわけがない。
「ゆうちゃん!」
あ、また聴こえた。
お父さんでもない。
誰の声?
この声って・・・。
あ、コウさんだ。
しかし、なんで、聴こえてくるの?
夢かしら?
「ゆうちゃん!」
それにしては、はっきりと聴こえてくる。
あれ?
私って、自分の部屋にいるよね?
あれ?
たしか・・・
昨日は・・・・
コウさんと・・・
ぱちっ
私は、ベットの中で、目を覚ました。
そうだ!
コウさんとお泊りデートしてたんだ。
「気分は、どう?」
コウさんが、私が起きたことを確認して、声をかけてくれる。
すぐ近くにいるとは思うのだが、あたりは暗くて、コウさんの姿を捕らえることはできない。
「うん。だい・・大丈夫。」
私は、起きようとして、再度、布団の中に、戻った。
「朝日見れる?」
あ!
そうだ!
起こしてと、頼んでいたんだ。
「も、もちろん!」
身体は、気だるく眠いが、朝日を見逃す方が、辛い。
「・・・じゃあ、先、行ってるから、あとで、来てね。」
コウさんは、そう言い、出ていく音がした。
私は、それを確認して、布団からでて、身支度をした。
昨日と同じ、寝る前の格好に、淡い花の香りがする、香水をつけた。
乱れた髪も、ブラシで、整え、カメラを持って、コウさんのいるところへ向かった。
まだあたりは暗く、静まり返っている。
コウさんは、ハンモックに寝っ転がっている。
私に、気づいて、「おいで!」と、手招きされた。
横を開けてくれ、お尻から座り、乗るんだと教えてくれる。
言われた様に、ハンモックに乗った。
すかさず肩を抱いて、私の頬に軽くキスを落としたコウさん。
「おはよう。」
甘い声だった。
昨夜の甘い時間を過ごしたこともあって、急激に距離が縮まった私たち。
私も、少し大胆になっているのかもしれない。
「おはよう。コウさん。」
と、甘い声で、返し、彼の唇を、軽くふさいだ。
コウさんは、少し怖い笑みをして、肩にあった手を、私の頭にまわして、器用に、自分の顔に引き寄せた。
ハンモックの狭さもあって、足も自然と絡まれて、より密着した体勢で、唇を奪われた。
少し長めのキスのあと、とても愛おしそうな瞳を向けて、私の頭をなでている。
うん。
甘い。
甘すぎる。
ハンモック。
開放的な代物だ。
初めて、乗ったけど、乗り心地は、悪くない。
1人でも、ゆったりできるが、恋人と乗ると、また違った甘い時間になる。
昨日から、魅力的なお泊りデートに、すっかり酔いしれている私。
このまま、現実世界に戻っても、やっていけるかしら?
と、脳裏によぎった。
「あ、明るくなってきたよ。」
コウさんが、教えてくれる。
うわ!
きれい!
まだ赤くなりだした空。
この赤い空も、好きなんだよね。
まだ終わらない魅力的なデートに、引き戻された私。
少しずつ、白い光がのびてくる。
山に、
湖に、その光が、伸びだす。
ゆっくりと、暗かったあたりが、赤から、通常の色に、戻り始める。
空は、青く。
森林は、緑。
湖も青い。
ゆっくりと、暗い色から赤に染まり、通常の色に戻る世界。
この流れが、とても神秘的で、素敵だ。
私は、お約束通り、太陽が昇りきるまで、写真を撮り続けた。
ハンモックに乗って、朝日とコウさんと一緒に自撮りも、した。
何枚か、撮って、素敵な写真がとれた。
物凄く満足な私。
嬉しさが、にじみでている。
すっかり満足した私を確認して、コウさんは、
「約束通り、朝食作るね。」
と、すでに、ハンモックから降りている、私に声をかけて、自身も降りて、キッチンへ向かいだした。
うわ!
彼氏に、朝ごはん作ってもらえるなんて、素敵すぎる!
知っていたとはいえ、嬉しくなる。
「うん!楽しみ♪」
上機嫌に返事する私の隣を、通ったあと、コウさんは、戻ってきて、私の耳元で、ささやいた。
「今日は、甘い花の香りがするね。」
とても、甘い声で。
真っ赤になる私を見て、嬉しそうに、口元をゆるめて、去っていった。
絶対、私の反応、楽しんでいる!
コウさん、意外に、意地悪!!!!
私は、我に返り、心の中で、叫んだ。
読んで下さって、ありがとうございます。
ラブラブマックス続きで、ごめんなさい。
次回で、このデートも終わる予定です。




