第31話 お泊りデート⑩
こんばんは。
今回は、通常の2倍くらいの長さです。
「お腹空いたね?」
ここは、コウさんの車の中。
夕日を、撮って、コウさんと一緒に自撮りして、海から夕日が見えなくなるまで、しっかり撮影した私。
我に返ったのは、そのあとだった。
どう考えても、ムードなさすぎ。
むしろ、怒られて、当然の行動だった。
ひたすら謝って、車に乗り込んだけど、自分の行動に反省中の私は、黙りこくっていた。
そんな私に、気づかうように、声をかけてくれるコウさん。
優しすぎる。
「うん。」
やっと敬語なしになれてきた私。
なんとか、返答した。
「ゆうちゃんの作るごはん、楽しみだね。」
と、言ってくれた。
あぁ!
なんて、嬉しいんだろう!
普通に言われても、嬉しいけど、コウさんに言われると、物凄く、嬉しい!
幸せすぎる!
単純かもしれないけど、一気に、元気になって、
「嬉しい!コウさんのお口にあうかが心配だけど・・・。頑張ります!」
と、答えた。
今日の夕食のメニューは、ハンバーグ、レタスとベーコンのサラダ。ごはんとみそ汁。蒸し野菜の付け合わせに、私の特製のデミグラスソースを作って、ハンバーグにかける。
レタスとベーコンのサラダも、私の作った粉チーズを使ったオイルドレッシングで、素材を活かしたものになるはずだ。
実家にいたころ、家族にも好評だったメニューだ。
材料を用意してもらう手前、コウさんにも、メニューを伝えている。
コウさんは、機嫌が戻った私を横目で確認して、宿まで車を走らせている。
帰りの、くるくると曲がった坂や細い道も、暗くてわかりにくいのに、器用に運転している。
車内には、私がリクエストした邦楽の女性歌手の曲が流れている
しかし、こんなに長く、コウさんと一緒にいるのは、初めて。
朝からずっと一緒。
今日一日で、コウさんとのことをよく知れて、仲が深まった気がする。
まず、運転がうまい。
安全運転で、細い道も、器用にこなす。
コウさんの好きな曲。海外のポップスミュージックを、知ることができた。
どんな相手でも強気な態度と眼光で迫るコウさんも、実は、弱いところあるところとか。
約束までして、『ずっと一緒にいよう』と迫る、コウさんは、本当にかわいい。
母性本能を、くすぐられた。
冗談も言う人だともわかった。
そして、宿でのサプライズ!
そういうことをする人だとは思わなかっただけに、驚いたし、嬉しかった。
宿のチョイスも、素敵。
何より、私が写真を撮るのに夢中になってしまっても、怒らず、付き合ってくれるのが、嬉しかった。
特に、今日は、何度も、写真を撮りまくったので、呆れられるか怒られてもおかしくない。
そんな私を受け止めてくれるコウさんは、本当に、素敵だ。
今後、結婚しても、うまくやっていけそうだ。
相性?
うん。相性が、コウさんと合っている気がする。
やはり、1日いると、相手のいろいろな面がでてきて、気になるところがあるものだ。
それが、別れの原因になるわけではないけど、積み重なると、未来はないかなと考えてしまうものだ。
惚れすぎているからなのか?
今のところ?
気になる点はない。
本当に、素敵な彼氏だなと思う。
私は、今日一日のことを振り返りながら、自然と、コウさんを見つめていた。
結構長く、みつめていたらしく、コウさんが、声をかけてきた。
「どうかした?」
「あ・・・。うん。今日一日、楽しかったなって。コウさんと一緒で幸せだなって。思い返していただけ・・・。」
「僕も楽しかったよ。まあ・・・。まだ一日終わってないけどね。」
「うん。夕食もあるし、宿の湖の月夜がきれいなんですよね。それも、楽しみですね。」
私は、きれにに写真が撮れるかなと、浮かれていた。
コウさんは、「他にもあるんだけどな。」という瞳の色ではあったが、浮かれすぎている私には気づかなかった。
宿に着くと、ファイヤーピットに、炎が灯されていた。
あたりは真っ暗なのだが、この炎のおかげで、心がほっこりする。
白い布に温かい色を照らし出して、湖にもきれいに照らしている。
遊牧民の移動式住居をイメージした建物。
遊牧民は、この炎をみて、一日の疲れをとったのかしら?
それとも、待ってる家族の目印にしたのかしら?
専門的なことは、わからないけど、私は、この炎に癒されたのは、事実だ。
「ゆうちゃん、開いたよ。」
いつのまにかコウさんは、ドアを開けてくれていた。
炎に夢中になっていた私は、なかなか来ないので、声をかけてきたのである。
「ごめんなさい。炎がすごくキレイで、物凄くロマンチックだなって。」
小走りに走りながら、私は言った。
コウさんは、部屋に電気をつけてくれて、ドアを開けて、待っていてくれた。
私は、部屋に入り、急いで、夕食の準備をしようと思い、ボストンバックからエプロンを出した。
「私は、急いでごはん、作りますね。」
と、コウさんに声をかけた。
「その間、お風呂入ってていい?」
お・・・お風呂?
そうだよね。時間あるし、汗も流したい時間帯だよね。
私は、うなずいて、別の棟に、行こうとした。
しかし、手を引かれ、上体が、何かがっしりしたものに、包まれて、私の行動は拘束された。
腰と肩には、コウさんの手が、まわされている。
痛くはないが、力強く抱きしめられているので、動くことができない。
突然のことで、私も驚いたが、いつも以上に力強い抱擁で、ドキドキが止まらない。
腰に置かれた手は、コウさんに、しっかり密着した状態で、拘束されている。
肩にまわされた手は、今日のオフショルダーのトップスの為、直接、私の肌に置かれている。
少しきつめに巻いていた髪も、今は、ゆるいウエーブで、コウさんの腕にかかっている。
直接、コウさんの体温が伝わってきて、いつも以上に、心臓が高鳴っている。
私は、あまりのドキドキで、言葉もでず、コウさんの胸の中に、顔をうずめていた。
身長はさほど高くないが、体形は良いコウさん。
運動をしているのか、体を鍛えているのかは、わからないが、ほどよく筋肉がついていることが、わかる。
コウさんの鼓動が聴こえてくるのに、気づき始めたころ、コウさんの手が、肩から顎に変わり、私は、コウさんの顔を見ることになった。
とても情熱的な瞳。
そのまま吸い込まれてしまいそうな、熱い熱い、何かを欲するような瞳。
彼の親指が、優しく私の唇を何度か、なぞる。
その行動に、熱い瞳に、私の心の奥にも、熱いものがこみ上げてくる。
彼の顔が、近づいてくるのを、みつめ、そっと目を閉じた。
ちゅっ
柔らかい感触は、私の頬に落ち、その後、体の拘束も、解かれた。
そっと目を開けると、コウさんは、熱い視線を向けていた。
「ご・・・ごはん楽しみにしてるね。僕も、お風呂入ってくるね。」
と、目線をはずして、着替えを取り、お風呂へ消えて行った。
コウさんにしては、焦った言動と行動だった。
二人だけの部屋。
近くには、ソファーベット。奥にはダブルベットが置いてある。
部屋の照明も、雰囲気のあるオレンジ色で、明るさも、まぶしくない。優しく照らされる明るさである。
コウさんの心臓の音も早かったことを、私も思い出し、コウさんの気持ちを正しく理解した。
熱くなった心と身体を、覚ますように、大きく深呼吸して、私は、キッチンへ向かった。
読んで下さってありがとうございます。
まだまだ、続きます!




