第30話 お泊りデート⑨
おひさしぶりです!
今回は、通常の約4倍の長さです!
「あれ?間違えたかな?」
コウさんは、ナビを見ながら、言った。
最後のデートスポットは、私のリクエスト。
インターネットで、調べて、是非、行きたいとお願いした場所。
夕日がきれいな場所。
ももやま展望台。
先ほどの横乃山展望台とは、違う角度で、英呉湾を、眺めれる展望台。
先ほどの緑と青のコントラストとは違い、夕日と海と少し半島と島が見える為、黄金色に染まる海が、とてもきれいに見えるらしい。
写真が載っていて、ひとめぼれしたので、「ここ、行きたい!」と、お願いした。
住所も載っていたのだが、実際に来て見ると、わかりにくい。
車で、少し戻って、細い道を、器用に上がって行く。
1台通れるくらいの狭さ。
対向車が来たら、どうやって避けるのかしら?
しかし、コウさんの運転テクニックは、凄い。
こんな狭くて、坂になっているところは、本当に、運転は難しいはず。
「ここか。」
坂を、くるくると上がっていったところで、やっと到着した。
駐車場はなく、展望台の広場に、邪魔でない位置を探して、停めた。
少し小さめな公園?
広場?
横長に伸びた丸太椅子が3脚くらい置いてある。それ以外は、特別何もない。
ないが、海と空が広がった、景色が見えてくる。
斜め下には、海が広がって、いる。
うわー。
広い。
海と、空が、大きく見える。
小高い丘から、海を見下ろすという感じになっている。
とくに、何かに登るのではなく、小高い丘から見下ろすという、自然な展望台だ。
周りには、木があるが、海の方向には、木など、障害物は、一切ない。
広場の奥の足元は、、少し古びた板がある。
夕日100選に、選ばれたことが書いてある。
私とコウさん。
二人しかいない。
もしかして、二人だけの特等席?
こんな素敵なところで、二人っきりで見れるなんて、嬉しすぎる!
道に迷ったとはいえ、まだ、陽が落ちるには、早い。
まずは、まだ陽が落ちていない景色を1枚、写真に、納めた。
どうしよう?
あと30分くらいは、陽が沈まないしな・・・。
振り返ると、座って、眺めれる場所にある椅子に、コウさんは、腰かけて、居た。
「この場所もきれいだね。」
コウさんは、景色を眺めながら、つぶやいた。
「はい。」
私は、隣に、腰をかけた。
「少し、道に迷ったけど、陽が落ちるまでに、間に合って良かった。」
「うん。コウさん、運転うまいですね!あの狭い道を、器用に上がって行って!」
「そお?でも、帰りは、暗いから、ちょっと怖いかもな。」
と、口では言っているが、「問題ない」という口調だった。
「運転、好きなんですか?」
「うん。結構好きかな。ゆうちゃんは、運転するの?」
「敬語なしね。」と、付け加えて、聞かれた。
「う・・・ん。実は、ペーパードライバーで。」
「え?」
コウさんは、目を見開いて、私の方を見た。
「あんまり運転しないから、苦手で・・・。」
コウさんは、少し考えたあと、
「ゆうちゃん、運転、教えようか?」
「え?」
今度は、私が、驚く番だった。
何故?
何故、そうなるの?
コウさんから、運転を指導される?
ちょっと、想像してみる。
怖そうだ。
絶対、甘い、手取り足取り、教えてくれる想像には、いかない。
「何故、できないんだ!」瞳と、声色を、向けられそう。
まあ。
それは、それで、嬉しいんだけどね・・・。
すっかり、恋は、盲目の私に、なってしまっている。
思わぬところで、無口になった私に、コウさんは、声をかけてきた。
「いやだ?」
少し不安げな色を宿した瞳に見えた。
「・・・。怒らない?」
「・・・努力する。」
少し、コウさんを睨んで、彼の左肩を、軽く叩いた。
「怒るんだ。」
「怒らない・・・。たぶん。」
「まあ、いいや。」
私は、彼の左腕に、自分の腕を絡めて、反対の手も添えて、彼の肩に、寄りかかった。
沈黙。
甘い沈黙。
二人は、少し、太陽が落ち始めた景色を、一緒に眺めた。
「好きだよ。」
コウさんが、沈黙を破って、優しく言った。
「うん。私も・・・好き。」
「僕のこと・・・怖い?」
は?
思いがけない言葉が返ってきて、思わずコウさんを見た。
コウさんは、景色を、ずっと見ている。
少し心配そうな表情をしている。
「そこも・・・好きだよ。」
再度、コウさんに、寄りかかって、私は、言った。
「怖いのに?」
怪訝そうな声が、聴こえてくる。
「うん・・・。怖さも、魅力的に、思える・・・。コウさんだから・・・かな。」
目線を、コウさんに向けると、目があった。
今までにみたことのないコウさんの表情だった。
驚きと、優しさと、熱い瞳が向けれれている。
目線をそらしたいけど、釘付けになってしまういつもとは違う情熱的な瞳だった。
「怖くて、僕に、言えないこととかない?」
言えないこと?
え?
気づかれている?
「大事な話・・・。急かすつもりはないけど、僕のせいで、言えないのかなって・・・。」
あぁ。
花火デートの時の話ね。
覚えていてくれたのね。
そうだよね。
泣いてしまったしね・・・。
気にしてくれてるんだ・・・。
嬉しいけど・・・。
今?
今、言うべき?
優子、教えて!
「まだ・・・付き合いも短いし、まだまだお互いのこと知らないことも多いから・・・言えないのも分かるよ。」
コウさん、何が言いたいの?
私、やはり、今?
今?
言うべきかしら・・・。
「でも、僕を信じてほしいんだ。ゆうちゃんが、思っている以上に、受け止める力・・・包容力持っているから。」
今?
今?
タイミングが、わからない。
ううん。
やっぱり・・・。
怖い。
でも、今・・・?
「今じゃなくていいよ。」
いつのまにか、全身震えていて、蒼白な顔のまま、コウさんをみつめていた私に、コウさんは、言った。
そして、空いていた右手で、私の背中に、手をまわし、絡めていた手を、器用に離して、私を、すっぽりと、包み込んだ。
「僕は、ゆうちゃんの味方だからね。」
私の耳元で、ささやいた。
味方・・・。
どういう意味?
知っているの?
それとも、知らないけど、大事な話を言わない、私を気づかっているの?
本当に、受けとめてくれるかしら?
優子にも相談したし・・・、大丈夫だよね?
これは、コウさんを信じて、誠意を持って、謝罪すれば、許してくれるよね・・・?
私は、コウさんの胸に顔をうずめていたのを、少し上体を戻しながら、見上げた。
「ほ・・・本当に?許してくれる?」
コウさんの顔が、あと数センチの距離。
コウさんの目の奥が、光ったのが、見えた気がした。
「大事な話は、僕が怒ることなの?」
え?
う・・・・。
思わず、言ってしまった・・・。
すかさず、目線を泳がしてしまった。
バレバレ。
肯定したようなもの。
「大丈夫だよ。たとえ、とんでもないウソをついていたとしても、許すし、過去に、とんでもないことをやらかしていたとしても、今のゆうちゃんが大事だから、過去は気にしない。」
え?
本当は、気づかれている?
ただの・・。
たとえ?
どうこたえていいかわからず、視線をそらしている、私に、更に声をかけてきた。
「でも、ゆうちゃんも、僕を許してね。」
「え?」
思いがけない言葉を言われて、コウさんを見てしまった。
何を?
「・・・おあいこの方が、気楽でしょ?お互いさま・・・みたいな。」
?
つまり、コウさんが一方的に許す約束よりも、お互い許し合う約束の方が、私に負担にならないということかしら?
たしかに・・・。
気楽・・・かな。
「うん。何があっても、私も、コウさん許す。」
「本当に?」
強いまなざしで、確認された。
私は、大きくうなずいた。
でも、私。
コウさんのことなら、何でも、許してしまう気がする。
ちょっと怒ったりするかもしれないけど、最終的には、許してしまいそう・・・。
私にとって、コウさんという存在は、そんな感じだ。
好きすぎるからか?
彼の魅力なのか?
それは、わからないけど。
彼のことは、何でも許してしまう。
だから、わざわざ、確認しなくても、いいんだけどな・・・。
そんなことを、思っていたら、彼の左手は、私の腰をしっかり抱き支え、右手は、私の頭をなでながら、自分の都合の良い角度で、固定された。
そのまま、柔らかい感触が唇を覆った。
少し長めのキスのあと・・・。
「約束だよ。」
と、熱を帯びた瞳の奥に、「絶対だ!」という強い光を宿しながら、言った。
「うん。」
私は、再度、大きくうなずいた。
再び、私の唇を奪った。
熱く、激しいキス。
すぐに、私は、頭がぼうっとしてきた。
私は、彼のキスに、こたえながら、甘い世界にひたりながら・・・
何かを忘れている気がしていた。
こんな甘くてとろける時間を、満喫できないのは、なんだろうか?
ぼうっとする、頭で、何とか考えていた。
あたりは、いつのまにか、黄金色の世界になっていた。
丸太椅子に腰かけたカップル、つまり、私たちは、約束のキスに、夢中。
とてもきれいな夕日の中、黄金色の色に、包まれながら、夢中で、約束のキスにこたえていた。
そう・・・とても、きれいな、夕日の中で・・・。
彼の腰にまわした手が、下に伸びようとした瞬間、私は、彼の胸を、思いっきり突き放してしまった。
そして、叫んでしまった。
「夕日!」
「コウさん、私、夕日を撮るの忘れていた!」
「夕日!夕日!」と、何度も連呼しながら、カメラに、夕日を納め始めた。
角度や場所が大事なので、座っていた椅子から立ち上がって、ベストポジションを、探して、写真を何枚も撮っていた。
「きゃっ。」
私は、小さく叫んだ。
コウさんが、私の肩とお腹に手をまわして、しっかりと後ろから抱きしめられた。
そして、ふふくそうな声が、とんできた。
「僕より、夕日が大事?」
物凄く、嬉しい抱きしめ方なはずなのに、私は、目の前の絶景。
夕日に、心を奪われていた。
もちろん、コウさんは、大事。
普通だったら、このまま、また甘い時間に、突入だと思う。
でも、夕日は、今だけ。
だけど・・・
そんなことは、言えない。
でも、撮りたい・・・。
だから・・・
「選ばないと・・・ダメ?」
後ろを振り向きながら、聞いた。
コウさんは、少し間を置いて、私を包んでいた腕を、ほどいた。
そして、ため息をついたあと。
「待ってるから、好きに撮ってきて。」
と、仕方なさそうに言った。
「ごめんね。ありがとう。」
と、言って、私は、写真撮影に、戻った。
「焦ることないか。今日は、ずっと一緒だし・・・。」
コウさんは、小さくつぶやいた。
しかし、夕日を撮るのに、夢中の私には、聴こえていなかった。
読んで下さって、ありがとうございます。
次回は、未定です。早め、頑張ります。




