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第3話 偽りのお見合い②

困った。

とても、困った。


今は、ドリンク3杯目。コースの料理も、メインに入っていた。

滅多に食べれない、ステーキを、頬張りながら、私は、悩んでいた。

あの冗談から、なぜか、会話がはずんでしまった。

私の小学校から大学の話(本当は、短大後、東京の専門学校に行ったのだけど)、特に、舞台女優目指していた話にくいついてきた。優子は、東京の大学に行っていたので、夜、専門学校に通ってた話にしたのだけどね。

本当は、お嬢様が無謀に夢を追いかけてたなんて、馬鹿らしいと思われると予測していた。

なぜ、ココで、彼は、くいついてくる!

しかも、今は、ネイリストとして、内緒で、土日、副業してるという話(実際はネイリスト一本だけど)をして、やりたい放題、わがままお嬢様アピールしたのに。。。。

更に、くいつかれ、

「夢見て頑張る人、僕、好きなんだ」

と、さらっと言われた。

彼は、最初の印象とは違って、すごく好感が持てるようになった。

服装は、紺のテーラードジャケット7部袖、中には、白の襟つきシャツ、黒のチノパンツ。靴は、革で、紺のスリッポン。ソールが白で、紺の部分は、編み込みが入っていて、おしゃれである。

左手には、ブランド時計で、黒を基調にし、金でアクセントをとったシンプルかつ品の良いものがつけられている。肩にかけてた黒のボディバックは、テーブル下の棚に置いてある。

服装だけでも、好感が持てるが、何より、楽しそうにしてるまなざしが、彼の雰囲気を変えたようだ。

最初は、相手を射抜くような目つきだったので、かなりの変わりようだ。

それに、ときどき見せる笑顔が、とても素敵で、ついつい見惚れてしまう。

途中から、我を忘れて、マシンガントークで、自分の話をしたのに、目を輝かせてきいていた彼に、すっかり心奪われてしまっている・・・自分の気持ちに気づいてしまった。

まだ会ったばかりで、恋という言葉を使っていいかわからない。

でも、間違いなく、彼に興味がある。

その気持ちは、本物だ。

自分の年齢を考えても、早く好きな人をみつけて、結婚するのが得策だ。

彼は、条件も良いし、何より、私が、興味を持った相手だ。

このままうまくいったら・・・

いやいや。

何を考えている。

私は、ゆう子で、優子じゃない。

偽物だってわかったら、そこで、タイムアウトだ。

最初から、望みのないお見合い。

振られる為にきたお見合いだ。

ダメだ。ダメだ。


と、最初の目的を、思い出していたら、

「今度は、僕の番だね。」

彼は、メイン料理を、すっかり食べ終えたあと、彼の小学校から大学までの話。そして、夢の話をされた。

特に、嬉しそうに話していたのは、東京の医大に居た頃、一軒の珈琲店に入った時の衝撃的な出会いから、自分のお店を持つという夢と、バリスタの資格をとり、時々、友人のお店で働いているとの話だった。

外科医。君は、やはり息子だけあって、ひまなのか?

そんな別の仕事ができるほど?

と、つっこみたくなたったが、あまりにもキラキラとした嬉しそうな瞳で話す彼をみてたら、何も言えなかった。

跡とり息子で、仕方なく医者になったけど、やりたいことは、珈琲店をだすということなのかな。

一般庶民の私としては、ぜいたくな望みだなと思う。

ただ、夢を追う者同士としては、その気持ちは痛いほど、よくわかる。


「本当に、珈琲が好きなんですね。将来は、医者をやめて、珈琲店のオーナーになるのが、夢なんですよね?」

と、確認で聞いてみた。

彼は、先ほどの嬉しそうな瞳はなく、こう言った。

「やはり、馬鹿げてると思う?」

どの返答を待ってるのだろうか?

振られる為には、馬鹿げてると言った方が、良いのだろうけど・・・

「そうですね・・・。でも、私は、好きなことを一生懸命頑張る人が好きだから、夢を追いかけるコウさんの選択は応援します」

と、にっこり微笑んでしまった。

ちなみに、コウさんとは、纐纈雄海コウケツユウマである。由来は、苗字のコウケツの「コウ」らしい。なんて呼んだらいいと聞いたら、「コウと呼んでくれ」だった。さすがに、呼び捨てはできず、さんをつけている。

そして、私は・・・

「ゆうちゃん、いい子だね」

彼、コウさんは、優しい瞳をむけて、彼の左側に座っている私の右手を、握った。

読んでくださって、ありがとうございます。

何度か見直してるのですが、誤字脱字が・・・。本当に、ごめんなさい。


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