第29話 お泊りデート⑧
横乃山展望台。
たくさんの岬と島々、複雑な海岸線で縁どられた英呉湾を、眺めれる展望台。
海の青と、島の緑のコントラストが、とてもきれいな場所だ。
昼間も景色が良いが、日が沈む頃や、夜景も、きれいな場所でもある。
桜や紅葉もきれいなので、四季折々楽しめれるのも人気だ。
日本で、こんな景色が見れるところは、少ない。
国立公園の中にあるのだが、駐車場から、展望台へスロープも完備しているので、歩きやすい。
カヌーを終え、車で15分ほどにあるこの展望台に、私たちは来た。
今回のデートは、『絶景を見る』が、テーマなのかもしれないと、思った。
夫婦の岩、宿の絶景、この展望台。最後のデートスポットも、絶景のはずだ。
私たちは、1日で、すっかり当たり前になった様に、手をつないでいる。
今は、展望台を目指している。
ハイキング気分で、登って行く。
少し体力がいるが、普段、よく散歩がてら歩いているので、さほど気にならないくらいだと、私は思った。
コウさんも、鍛えてるのか、余裕で歩いている。
ここにきたのは、いつぶりだろうか。
たぶん、家族旅行で来たはず・・・。
なんとなく覚えがあるのだが、はっきりしない。
幼い頃なのは、間違いないはずだ。
今日は、最後のデートスポット以外は、コウさんが、選んでくれた。
なかなかセンスが、良いなと、思っている。
「コウさんは、この展望台に来たことあるのですか?」
いつのまにか敬語に戻ってしまっている。
「初めてかな。宿、周辺で、景色良いところ探してたら、行ってみたいなって。」
そのあと、「敬語なしね。」と、付け加えられた。
「そうなんだ。私は、幼い頃、家族旅行で来たはず・・・。なんとなく覚えているかな・・・?」
「そっかぁ。ゆうちゃんは、幼い頃、よく家族旅行したの?」
「うん。いろいろ連れて行ってくれましたね。」
「いいご両親だね。僕たちも、そういう家族になりたいね?」
え?
さりげなく、私たちのことに、すり替えられた。
でも、コウさんと、結婚して、子供ができて、家族旅行するって、幸せかも。
いやいや。
幸せに決まっている!
「うん。そうなりたい。」
満面の笑みで、答えた。
コウさんは、嬉しそうな瞳を向けて、微笑んだ。
最近、笑顔が増えてきて、嬉しい!
少し、口角あがる、微笑みだけだけど。
コウさんの整った顔立ちには、その少しの笑みだけでも、かっこよさが増す!
何より、笑顔のコウさんを見るのが好き。
やっぱり、笑顔好きの私にとっては、好きな人の笑顔は大好物なのである。
「うわぁ・・・!きれい!」
さすが、絶景!
さっきとは違う、海!
たくさんの島々!緑!
青と緑が、入り組んだリアス海岸!
日本で、こういう景色って、あまり見れないよね。
きれい。
ここで、写真を、撮ってほしいなと思うのだが、あまり人がいない。
仕方なく、先に、景色だけ、写真に、納めようと、コンパクトカメラを出した。
今回、何度目かになる、写真タイムを、コウさんから貰い、満喫していた。
そんな姿を、おもしろくコウさんは、眺め、最近覚えた?私をこっそり撮ることをしていた。
今回は、少し離れていたので、シャッター音は聞こえず、一切、私は気づかなかったのである。
数分すると、50代くらいの夫婦が来たので、写真をお願いした。
ツーショット、たくさん増えていくことに、嬉しさを覚えた。
絶景をバックに、ツーショットって、嬉しいよね!
宝物!
ああ!
来て、良かった!
本当に、最高!
るんるん気分で、いくつかある展望台をまわって、ツーショットを、何度か撮って貰った。
コウさんも、私の嬉しい顔を見てるからか、文句も言わず、付き合ってくれる。
ああ!
本当に、幸せである。
「ゆうちゃん、本当に、写真好きだね。」
すべて、展望台をまわって、駐車場に向かっている最中に言われた。
「あきれてます?」
ちょっと心配になった。
「いや。楽しいよ。」
「本当!良かった!」
私は、勢いよく、つないでいる手を、振った。
うん!
幸せ。
今のところは、仲良くデートを楽しんでいた。
いつまで続くかわからない、この幸せを・・・。
読んで下さって、ありがとうございます。
秋が、深まってきましたね。良い週末を☆




