第28話 お泊りデート⑦
今回も、長めです。
どれくらい時間がたっただろう。
ぎゅっと、コウさんに、抱き着いている。
コウさんは、優しく、私の頭を撫でてくれている。
幸せで、離れたくない私は、しっかりだきついている。
いつのまにか困らせていたらしく、頭の上から声がして、ゆっくり離された。
「お茶でも、飲もうか?。」
やだやだと、名残り惜しそうな瞳を向けると、コウさんは、耳元でささやいた。
そう!
車に乗り込んだ際、耳元でささやいたセリフとそんなに変わらない内容だった。
私は、みるみる真っ赤になていく頬に、手をあてた。
でも、文句は言えない!
この密室。近くには、ベットが置いてある。
恥ずかしい!
大人の時間を想像して、ますます頬が赤くなる。
そんな私を背にして、一度、外にでて、もう一つの棟に、コウさんは、歩いて行った。
深呼吸して、少しあとに、私も、コウさんのもとに向かった。
もう一つの棟は、壁は、レンガ調。キッチンになっている。湖側は、大きな窓になっていて、開け閉めできるが、今は閉まっている。白い布が、カーテンの様に閉めれるようになっているが、今は、両方に留めてある。ガーデン様の机と、椅子が2脚置いてある。
ウエルカム用に、アールグレイの紅茶と、クッキーが、数枚用意されている。
コウさんが、カップに、ポットからお湯を注いで、ティーパックを入れているところだった。
アールグレイの、濃い香りがする。
正体は、ベルガモットの香りだ。
ほのかに柑橘系の香りも混じっている。
うーん。
癒される。
この茶葉は、高級そうだ。
コウさんのサプライズで、幸せだったけど、この紅茶で、更に幸せになる。
本当に、人生のすべての幸せが、いっぺんに、来ているのではないかと思うくらい、幸せだ。
実際、すべてきたら、困るけどね。
そろそろ茶葉がでたころかなと、思っていると、コウさんが、カップの上の蓋を取って、私に、紅茶の入ったカップを置いてくれた。
慣れている。
やっぱり、バリスタだけあって、他のお茶の淹れ方も研究しているのかしら?
お礼を言って、受け取った。
香りが、広がる。
さっきのベルガモットの香りが、すぐそばで、広がる。
この香りに、本当に癒されるなと、思い、お茶を、一口飲んだ。
「おいしい!」
なんて、おいしいのかしら?
茶葉は、高級なのは、もちろんだけど、淹れ方が、絶妙なんだろうなと、思った。
コウさんが、嬉しそうな瞳で、こっちを見ていた。
自身も、紅茶を飲んでいる。
「さっきのバラ、お風呂に入れる用だからね。」
はい?
突然、コウさんが、言葉を発した。
バラ?
え?
さっきのかごに入ったバラは、バラ風呂用?
想像して、知っているのは、花びらだけ入ったバラ風呂ですが・・・。
花が、浮かんでいる?
しかも、バラ!
ますます、お姫様ではないですか?!
私は、すっかり、夢の世界に入ってうっとりしていた。
コウさんが、笑いを堪えていたことは、知らない。
「終わったあと、乾燥させれば、ドライフラワーになるみたいだから、良かったら、持ち帰ったら?」
と、提案というより、「持ち帰って、大切にしてくれるよね?」と、いう言葉が含まれている感じではあったが、うっとりとお姫様気分の私は、うなずくばかりであった。
「コウさんが来たかっただけあって、本当に素敵ですね。」
「あぁ。友人が経営してる施設だからね。アウトドアとリゾート地を融合したところだからね。ちょっと興味があったんだよね。」
「ご友人?!お若いんですか?」
「うん。僕より、1個下。カップルにも家族にも人気だから、って、言ってたの思い出してね。」
凄い!
交友関係も、すごすぎる!
しかも、若くして、企業家?!
すごいなー。
苦労もあるのだろうけど、素敵すぎる。
今まで、なかなかご縁のない環境だなと思った。
「バラ風呂や食材配達してくれたり、こんなおいしい紅茶とクッキー用意してくれたり、サービスも凄いですね。」
「いや。それは、僕のお願いを、聞いて貰っただけかな。普段はやってないよ。」
え?
友人特権?
お金持ち特権?
ますます凄すぎる。
「そうそう。この湖からみる月夜と朝日が、凄くきれいみたいだよ。」
「え?本当に?!月夜は今日見れるけど、明日起きれるかな・・・。コウさん、寝てたら、起こしてくださいね。」
と、とびっきりの笑顔でお願いした。
仕方なくうなずいてくれるコウさん。
素敵な写真が、いっぱい撮れると思うと嬉しくなってきた。
クッキーを、口の中に頬張り、幸せ気分を満喫している。
「ゆうちゃん、そろそろ、敬語止めない?」
え?
そういえば、実際年齢は、コウさんと同い年の33歳。
優子とは、6つ違い。
コウさんのオーラもあって、敬語も自然と定着してきた。
恋人同士なら、敬語なしの方が、自然?
でも、6つ違いは・・・。
「でも、私の方が下だから・・・。」
「すぐにじゃなくても、いいから。少しづつ・・・。」
「その方が、いいの?」
言ってみた。敬語なし。
コウさんを、覗き込んで聞いたみた。
コウさんの口角がゆるんで、静かに、うなずいた。
紅茶も飲み干して、湖を見る。
キラキラと光っていて、海とはまた違った美しさだった。
黒鳥だろうか?
赤いくちばしに、黒い体の水鳥が何匹か、遠くに見える。
「カヌー、乗ってみる?」
まだ、次のデートスポットに行くまでには、時間がある為、コウさんが誘ってくれた。
「うん。初めてだけど・・・。」
大丈夫かなと、不安げにコウさんを見た。
しかし、「乗るんだよ。」と、目は、訴えている。
とりあえず、飲んだカップは、流しに、水を入れて、置いて、コウさんの言う通りにした。
ライフジャケットを、着て、赤いカヌーに、乗り込んだ。
コウさんから、レクチャーを受けて、私もこいでみる。
なかなか難しい。
以前、カヌーを乗ったことがあるコウさんは、器用にこぐ。
なかなかうまくいかない私は、途中で諦め、写真撮影に、夢中になった。
もちろん、コウさんのカヌーをこぐ勇姿も、撮った。
動画もおりまぜ、近くにきた水鳥も、しっかり撮った。
コウさんと、一緒に、自撮りもしてみた。
湖。まわりは、自然。木、林。森。山々も見える自然地帯。その中にあるこのリゾート地。
本当に、癒される。
大好きなコウさんと、一緒。
本当に、嬉しい。
こんな幸せはない。
今まで、こんな素敵なデートを、したことがない。
コウさん、素敵すぎ!
どうしよう?
どこまでも、コウさんに、惚れてしまう。
人を好きになるのは、上限は、ないのかしら?
いつも、上限いっぱい好きだと思うのに、すぐに、それ以上、好きだと思ってしまう。
不思議。
こんなにも、人を好きになれるなんて。
久しぶりの彼氏。
こんなに好きになるなんて、あとにも、先にも、もうない。
離れたくない。
「約束、絶対守るよ。」
と、小さくつぶやいた。コウさんには、聴こえない小さな声だった。
読んで下さって、ありがとうございます。
なんとか、このデートが、終わるまでは、早めに更新したいのですが・・・。
頑張ります。




