第18話 突然のお誘い②
「美味しい!」
何回目だろうか。
彼の前で、この言葉を伝えたのは。
あの後、二人ともお昼を食べていないといことで、スープ専門店に来たのである。
雑誌で見たことがある、健康なスープがそろったお店である。
私は、野菜がたくさん入ったコンソメスープと三種類のパンが入っていて、デザートのフルーツがのったセットを選んだ。今は、そのスープを飲んでいる。
コウさんは、緑色のほうれん草がメインのスープを頼んでいるが、他は同じである。
楽しそうな瞳を向けたコウさんは、この後の予定を確認してきた。
「アクション映画で大丈夫?」
そう。
この後、映画に行くことになっている。見たい映画を聞かれたが、何が上演しているかわからないので、ホラー以外の映画をチョイスしてもらう様に、頼んだのである。
コウさんは、一人で映画館に行くことも多いらしく、よく行く映画館に連れて行ってくれるらしい。
夜勤明けに行くのかな?
コウさんの趣味を一つ知って、嬉しくなった。
「うん。大丈夫です。」
向かい合わせに座っているコウさんに、返事をした。
スマートフォンで、予約をしてくれている。
「ちょうど良い時間が取れたから、ごはん食べたら、向かうとちょうど良いかな。」
と、報告してきた。
うなずきながら、パンを口の中に頬張った。
このパンも、とてもおいしい。
かぼちゃを練りこんだパンらしい。
幸せそうに食べる私を、更に楽しそうな瞳で見ていたコウさんが居た。
ただ、私は、ランチに夢中で、一切、気づいていなかった。
私は、物凄く、緊張していた。
すでに、映画が始まっている。
ここは、彼の行きつけの映画館。
普通の映画館なのだが、私たちは、カップルシートに座っている。
中央の良い位置や後ろや前に、いくつか、様様なカップルシートがある。
平日でも、それなりに人が入って居た。
このカップルシートは、二人掛けのソファーなっていて、足も伸ばせるようになった台が置いてある。
サイドに壁があって、反対側の人たちとは顔を合わせないようになった半個室になっている。
そんな初めてのカップルシートは、豪華で、驚いてしまった。
最初は、お姫様になった気分で嬉しかった!
わーい!て、勢いよく腰を下して、弾力のあるしっかりとした高級な黒いソファに、虜になっていた。
横に、コウさんが腰かけて、私の腰に手をまわして、彼の頭を、私の肩に預けてきた。
止めてもらおうと、コウさんを見ると、「ダメなの?」と聞いてくるが、『イイよね!』と、強い瞳が向けられたので、断れなかった。
時折、ベストポジションを探して、体制を変えるコウさん。
最初は、お揃いの腕時計を、撫でていた。
これは、なんだかかわいくて、嬉しかった。
しかし・・・。
さりげなく、腰に置いた手が、私の肩に置こうとして、私のふくよかな部分に何度か当たるのは気のせいだろうか。少し大きめの胸が、彼の温かい手に反応してしまう。
腰に手を戻そうとして、今度も、ふくよかな部分に当たるのは気のせいだろうか。体形には気をつけている為、さほど大きくないが、殿方を魅了できる程のひきしまったふくよかなヒップも、彼の温かい手に反応してしまう。
やっぱり、わざとかしら?
私の肩に乗った彼を覗き込むと、そのまま、肩を抱かれて彼の肩に、頭を預ける体勢にされた。
コウさんは、私の髪を撫でた。
体勢を交代してほしいと思ったのかしら?
彼の行動を封じる為、私は、私の頭を撫でている左手を、彼の腰の位置に戻して、腕組みをした。
触られるのが、気になって、映画に集中できないのが、もどかしい為の行動だった。
コウさんは、戸惑った様子だったが、無視して、映画に集中し始めた。
彼の左腕を、しっかり拘束するため、きつめに、腕組みした私。
彼の上腕部に、しっかり胸が当てっていたことに、一切きづかなかった。
コウさんは、「手をつなごう!」と、声をかけてきた。
うなずいて、彼の左手に、指を絡めた。
私は、そのまま映画に集中した。
真剣に見ていた私は、いろんな表情に変わる私を、おもしろそうに見られていたのは知らなかった。
読んでくださって、ありがとうございます。
少しでも、お楽しみ頂けたなら、嬉しいです。




