第1話 プロローグ
やめればよかった!
本当に・・・本当に・・・あの時に・・・
断ってさえいれば、こんな嘘をつくことは、なかったのに・・・。
私、佐藤ゆう子、33歳。
かつては、舞台女優目指していたが、夢やぶれ、ただいま、ネイリストとして、世の女性の美のお手伝いをさせてもらっています。
女性だから、嘘や駆け引きが、得意な生き物だから、嘆くことないって思ってるそこのあなた!
私は、なぜかそれができない。
一応、やってみたことはあるけれど、もの凄く、自己嫌悪におちてしまい、
『嘘はつかないべし!自分の思うまま自由に生きるべし!』
と、勝手に、自分に、誓いをたててしまい、あれから十年くらい守っているのである。
別に誰かに強制されたわけでもないのに・・・。
自分に、「柔軟になりなさい!」と、アドバイスしてくれる人の言葉に耳を傾けできないほどの頑固者である。
ま、自分では、そのことを、気づいてないのだけどね。
そんな私が、冒頭で、嘆いているのは、その誓いをやぶって、嘘をついかたから。
その嘘をつくのを、「以前、舞台女優目指していたゆうちゃんだったら、立派に演じきれるわ!」と、友人に丸め込まれてしまったのある。
私は、その友人のお願いには、なぜか弱いのである。
彼女の名前は、林優子、27歳。
下の名前が、字は違うけど、同じ名前。
以前、自動車メーカーで、派遣で働いていた際、仲良くなったのである。
彼女、優子は、セミロングで、ゆるいパーマをかけた茶髪の美女。
恋多き女で、不器用な面が多く、誤解されがちだか、実は芯がつよく真面目。
そんな彼女をみて、仕事でも、プライベートでもサポートしてたら、仲良しになっていた。
物事をはっきりいってしまって失敗する私に、「ストレートに言ってくれる人は、今までいなかったから、嬉しい!」と、抱き着いてくる優子が、本当にかわいくて、いつもお願いをきいてしまう。
優子は、実は、全国に店舗がある衣料メーカーの娘。つまり、お嬢様である。
そのこともあって、はれもの扱いされてきたこともあって、私みたいな、こびを売らない女はめずらしかったらしい。
その優子から、頼まれたのは、『林優子になって、病院の息子纐纈雄海と、お見合いして、振られてくる!』と、いうことだった!
つまり、私が、偽お嬢様になって、お金持ちの病院の息子と見合いして振られてこいとのことだった。
見合いだけではなく、話がすすまないように、振られるのも重要らしい。
何故なら、彼女は、好きな人がいるからである。
恋多き優子だが、今回は本気らしい。優子が通うジムのトレーナー。私は、会ったことはないが、三か月前から、異動してきた彼に、夢中らしい。まだまだデートにもこぎつけてないらしいが・・・。
そんなこんなで、私は、優子の為に、優子になって、この見合い場所にきたのである。
とあるホテルの最上階のレストラン。
夜景が、とてもきれいで、デートスポットには、人気のあるお店である。
指定された席は、窓際の席で、テーブルが窓側に横にのびていて、後ろに椅子が二つ並んでいる。
カウンター席の横並びと似ているが、二人用に、分かれる仕切りが両方にある。隣の席は見えない半個室というべきなのか。
対面席だと思ってたのに、密着率の高い席で、緊張する。
待ち合わせは、夜の7時。
思ったより早く着いた私は、化粧室で、身なりを再度整えて、向かったが、15分前にきてしまった。
私の格好は、お嬢様ということあって、今働いているセレブ御用達の『ローズ』で、整えた。
髪型は、長い黒髪を、後ろにゆるくお団子をして、サイドは、編み込みして、星の形のついたバックカチューシャをつけている。服は、白を基調としたボタニカルワンピース。膝より少し上の丈で、裾は、フレアになっている。足元は、愛用の花のクリップをつけた、ベージュのサンダル。エアコンで、少し寒いの肩のとこがレース編みになているカーディガンで、羽織っている。首には、一粒ダイヤ、手には、優子から借りたブランドの黒いバックを持ってきた。
私は、一呼吸して、椅子に座り、お見合い相手を待った。
7時5分ほど前になって、人の気配を感じた。
店員さんが、お見合い相手を案内する声が聞こえて、振り返り、椅子から立ち上がった。
そう、私の優子のはじまりだった。
読んでくださって、ありがとうございます。
とにかく書きたい!一心で書いています。
初心者です。
変なところもあるかもしれませんが、大目に見てくださると嬉しいです。