幸運で魔王討伐に向かわされた話
僕の名前はユーザ、人類共同防衛圏の中でも130番目に大きい都市に暮らしている普通の人。今は母と二人で暮らしている。
そんな普通の僕にある朝衝撃的な事が起こった。なんと遠くに置いてあるゴミ箱
にゴミを投げ入れることができたのだ。それも3回。
いやいや、そんな事で大袈裟に言うなよと思うかもしれないが、驚くべき事に真反対に投げても真下に投げても必ずゴミ箱に入るのだ。
それからのこと何故か自分が思ったことが叶うようになった。いや、正確に言うにはその時は失敗したと思っても、そのすぐ後にその失敗だと思った事によって、
自分が望んだ結果になるのだ。
それから数日後、街へ出かけた時のことだ。ちょうど魔王討伐の任務を受けた勇者が帰ってきていた。しかし、なにか様子が変だった。
近くに行って見ると、顔面蒼白で膝から崩れ落ちた勇者の顔がそこにあった。
そこにいた街の皆はその様子に驚きながらも、「すぐに別の勇者が必要だ」とか
話し合っていた。
実はこの勇者の名前はゴイといって、確かに腕のたつ勇者なのだが少し傲慢でその上短期であるのであまり好かれてはいなかった。しかし、歴代トップ3の実力を持つと言われた彼のこんな姿は誰が予想できたのだろうか。
「あんな化け物は見た事がない、すべての動きを読んでいた。いや、相手の望む動きへと知らずのうちに誘導されていた」と呟いたのが聞こえた。
確かに今回の魔王は何かが違うと言われていたが、勇者が負けることは無いと思っていたので少し驚きだ。
そんな事を考えているとゴイが立ち上がった。そして突然暴れ始めてしまった。もちろん止められる人はその場にはいなかったのだが、何故か僕が皆から止めるようにと言われた。不運にも今日は母の誕生日で新品の包丁を買って帰るところだった。
それが剣だと思われたらしく、勇者と勘違いされた。
それもそうで、この街のルールには勇者以外剣を持ち歩いてはいけない、
というのがあり、その中で包丁をましてや高級品で綺麗にさやにしまっていたのが原因だ。
そんな事を考えていると、勇者のゴイも僕と勝負する気になったのか先ほどとは違い血色がよくなっていた。私は勇者では無いので戦ったら負けるのが容易に想像できるが、それは違った。
「ほう貴様がこの俺を止めるという勇者か。まあ無理だと思うが少しは楽しませてみろ」とゴイが言って、ついに戦闘が始まってしまった。
ゴイは僕に舐めてかかったのか、相手の様子を伺わずに殴りかかってきた。流石にやばいと思った僕は避けようと思ったが、相手は勇者、スピードが桁違いに速い。
これは終わったと思ったのと同時に僕が後ろによろけた反動でさっき買ったオレンジがゴイの前に飛び出し、ゴイの拳と当たって砕け散っていた。ゴイはそのオレンジの汁が目に入ったのかとても痛そうにしていた。
その隙をついて僕も少し腹が立っていたので殴ろうとしたら、なんと包丁の鞘についていた紐が外れて、それに引っかかって地面に倒れてしまった。
絶好の好機を逃すとともに逆にピンチになってしまった僕は、今度こそ終わりを覚悟した。
「所詮ただの勇者この俺に勝てるわけがない。この鬱憤を晴らすのに丁度いい」と言って、笑いながら必殺と思われる蹴りをしてきた。
僕はこんなところで僕の人生は終わってしまうのかと思いながら、その蹴りの痛みを覚悟していた。
しかし、その痛みが来ることは無かった。どうやら僕が転んだおかげで当たらなくて済んだようだ。
助かったと思ったのも束の間次の攻撃が来ると思ったが、なんとゴイが気絶して倒れていた。
後に話を聞くと、ゴイの蹴りはスピードモーメントと言って一撃必殺の技で、その威力と速さは申し分ないが、相手の体に当ててその反動で自分への負担を軽減するというものらしい。
つまりその攻撃をかわしたことでゴイ自身に全て返ってきてしまったということだ。
それに目に汁が入って痛がっていたのは相手の油断を誘う罠だったそうだ。もしそのまま転ばずに殴りかかっていれば間違いなく攻撃に当たっていただろう。
そんな感じで僕の幸運で何とか窮地を切り抜けた僕は、やはり魔王討伐へと向かうことになっていた。
街の皆には何回も勇者じゃないと説明したが、聞く耳を持たず。逆に立派な勇者だと思われてしまった。
まあ、ゴイという男がこれまで勇者だったのだからそう思われても仕方ないかと思いつつ早速魔王討伐へと向かうのだった。
完
読んでくれた人はわざわざありがとうございます。あまり文章を書くのは得意ではないので、拙いところは多めに見てください。




