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14/21

必然的に赤い髪の人は正義感が強い。

休憩室の隅。


狭いスペースに追い込まれるように、

俺は金髪美女に壁際へ押し付けられた。


「こんなに早く会えるなんてね」


至近距離で微笑む彼女。


いや、なに? え、なに?


「なっ、なんなんだ?」


戸惑っていると、彼女は俺の口元に指を当てた。


「しっ、静かに!」


そのまま彼女が、スッとスマホを取り出す。


「これ、君だよね?」


画面を覗き込むと、そこには──体育館の中にいる俺と直井の姿。


「……これ、まさか……!あいつ(音無)が盗撮したのか?」


俺が言うと、彼女は真剣な目つきで俺を見つめる。


「神谷くん。あなたのことは兄から聞いてる」


「……」


「私は音無渚。音無蒼真は私の兄よ」


やっぱりか。


「私たちの能力を見破れるって、本当なの?」


「私たちの……能力?」


「透明になれる能力のこと」


彼女が俺の耳元で囁いた。


近い、近いって……!


それよりも、兄妹そろって透明になれるってことか?


──ってことは、音無渚も身体だけなら透明に…。


その姿を想像した瞬間、渚の表情が険しくなった。


彼女がバッと俺の胸ぐらを掴む。


「なに想像してんのよ、この変態!!!!」


「ちょ、待て! 俺は別に見たくて見たわけじゃない!

あんたの兄が裸で体育館にいたから、あんたもそうなんじゃないかって、そう思っただけだ」


渚は頭を抱え、しゃがみ込んだ。


「裸で体育館に?……あの変態兄貴……なんてこと……」


それから、ふぅっと息を吐き、俺を見上げる。


「不快なものを見せてしまってごめんなさい。兄の代わりに謝るわ」


「別にもう気にしてない」


そう言う俺に、渚はじとっとした目を向けた。


「……本当に?」


「本当に」


そう返すと、渚は小さくため息をついた。



「音無さん、休憩時間、もう終わって……」


突如として休憩室の扉が開き、赤井が顔を出した。


「わっ!」


「きゃっ!」


驚いた俺は、とっさに後ずさり、バランスを崩した。

その瞬間、目の前にいた渚とぶつかり、

俺の体重がもろに彼女にのしかかる形になった。


「うっ……!」


柔らかい感触と、ほんのりシャンプーの香りが鼻をかすめる。

気づけば、俺は渚を休憩室の隅に押し倒す格好になっていた。


ヤバい。これはかなり誤解を招く体勢だ。


渚の顔が至近距離にあり、大きな瞳が俺を睨みつける。

唇が小さく開き、何かを言おうとして──


「てめぇ、何やってんだ!」


ドスのきいた赤井の声が響くと同時に、俺の襟元がぐいっと引っ張られた。


「てめぇ不審者か!? 今すぐ警察に通報して──」


赤井が休憩室の電話の受話器に手を伸ばした、そのときだった。


「違うんです! 赤井さん!」


渚が赤井の腕をつかみ、慌てた様子で言葉をつむぐ。


「彼は……その……」


「彼氏です」


俺はとっさにそう口走った。


「なっ!?」


渚が目を見開き、顔を真っ赤に染める。


いや、待て、こう言っておけば丸く収まる……はずだ!


「まあ、あれです。今さっき、別れ話をしてて、それであんなことに……

本当、すみません」


渚が一瞬だけ俺をギロリと睨んだが、次の瞬間、すぐに頷く。


「そ、そうなんです……ご心配おかけして、すみません……」


赤井は深いため息をつき


「個人的ないざこざなら、家でやってくれよ……」


と完全に呆れている様子で言った。


「……あっ! もう休憩終わりですよね! 私、戻ります!」


渚は強引に話を切り上げると、そそくさと店内へと戻っていった。


「お前、どうすんだ?」


赤井が俺をジロリと見る。


「……じゃあ、俺もこれで……お騒がせして本当、すみませんでした」


俺は軽く頭を下げ、そそくさと出口へ向かう。


赤井の視線を背中に感じながら、俺はコンビニを後にした。



まだ続きます。

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