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体術の秘密 決着②

 派手女子と男連中を見ていると、彼らに無理矢理連れてこられた様子の人物が一人いることに気付く。


「奏!?」


 名前を呼ぶと、奏は投げるようにこっちに突き飛ばされてきた。


「ちょっと、殴られたの?」


 よく見ると左頬が赤い。


「受け身は取った。口の中も切れてないし大丈夫だよ」


 そうは言うけれど、痛く無いわけじゃ無いだろうに。

 アザにならないと良いけれど……。


「遅かったじゃない」

「こいつも色々嗅ぎ回ってたからさ。まとめて仕置きしたほうが良いんじゃ無いかと思って連れてきたのよ」


 宮根先輩の不満そうな言葉に派手女子が不敵な笑みを浮かべて返した。


「で? どうするつもりなのかしら?……まあ、その人達を連れてきてる時点で予想はつくけれど」


 そう言った宮根先輩は少し嫌悪感を(にじ)ませて男達の方を見る。


「そんな顔しないでよ。思い知らせるにはこれ以上の適任はいないでしょ?」


 そして派手女子は楽しげに(わら)う。


 どういった経緯かは分からないけど、二人はグルらしい。

 意思疎通までは出来てないみたいだから、もしかしたら昨日から今日のうちに急遽(きゅうきょ)手を組んだのかもしれない。


「さ、じゃあ早速思い知ってもらおうかな? 久保が私よりもこの地味女が良いって言うくらいだから、あんた達も楽しめるでしょ?」


 派手女子は男達に意味深な流し目を送る。

 男達は揃って下卑(げび)た笑みを浮かべていた。


 はぁ……。

 こういうのってどこにでもいるんだね……。


 ウンザリとため息をつくと、奏も顔をしかめてため息をついた。


「どこにでもいるんだな、こういうやつって」


 まんま私と思った事が一緒で、やっぱり双子だなぁって思っちゃう。


「男の方はサンドバッグでいいか?」

「良いんじゃ無い? あ、でも妹が犯されてるの見せるのも面白いかも」


 男達と派手女子が楽しそうに話す様子に嫌悪感がゾワゾワと湧いてきた。


「最低」


 思わず呟く。

 男達は当然として、同じ女なのに平気でそういう事を口にする人にはさらに反吐が出る。


「ちょっと、そこまでやるの?」


 流石に宮根先輩もやりすぎだと思ったのか止めに入ってくれた。

 宮根先輩は常識や倫理観はまともなようで少し安心する。


 でも、それらが崩壊しているらしい派手女子は――。


「当たり前じゃない。やるなら徹底的に、よ?」


 楽しそうにクスクスと笑っていた。


「なっ!?」


 流石に引いた宮根先輩だけれど、一応は協力者だからだろうか。

 それとも、派手女子や男達の様子に怯んだのか。

 それ以上は止めに入らなかった。


「さぁて、どれだけ良いカラダしてんのか見せてくれよ?」


 そう言って男達の中から一人が進み出てきて私の手首を掴む。

 私はその手首を返して男の手を外し、ためらうことなくそいつの急所を蹴り飛ばした。


「ぐひゅっ!?」


 これだけ最低な奴らが相手なら気兼ねなく殴れそうだ。


「……そうだよね。やるなら徹底的に、ね」


 自分でも驚くくらい低く冷たい声が出た。

 そしてそれに応えるのは同じく冷たい声の奏。


「だな。これだけ最低な奴らなら、気兼ねなく殴れそうだ」


 やっぱり同じことを考えている奏に、くすっと少し笑ってしまう。


「な、によ……あんた達、この人数相手にケンカするつもり?」


 歯向かわれるとは思わなかったんだろう。

 派手女子が少し焦りを滲ませる。


「ケンカ、か……。やっぱりこれってケンカになっちゃうかな?」

「いーや? これは正当防衛だろ?」

「あ、そっか」


 奏の冷静な言葉に納得する。

 自力で何とかしないと襲われてしまうって状況だ。

 それに対処するんだから確かに正当防衛だよね。


 納得した私は奏と背中を合わせるように立って構える。

 さぁて、徹底的にやりますか。


「さあ、かかってきなさいよ。あんた達の性根ごと、ぶっ潰してあげるわ!」


 カッコよく言いきった私に、奏はボソリと言った。



「美来、その言い方だとケンカっぽい」


 その言葉は、聞かなかったことにした……。

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