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声の秘密③

「……何でここで食べるの?」


 当然の様に一緒に来た明人くんと勇人くんは、これまた当然の様に私達と同じ長テーブルの席に座っていた。

 しかもやっぱり私の両隣を陣取ってる。


「いーじゃん。クラスが別で一緒にいられねぇんだから今くらい一緒でも」

「そうそう、昼休みくらい俺らと遊ぼうぜ?」


 勇人くんがニコニコ笑顔で言い、明人くんがニッと笑う。

 可愛い顔立ちの二人にねだるように言われてうっと言葉に詰まった。

 でも騙されないよ。

 気に入られてるのはそれはそうなんだろうけど、遊ぶ道具としての好きでしょ? それって。

 二人の目に宿るのはあくまで面白そうといったもので、純粋な“好き”という感情は見えないから。

 そんな状態の二人でも、周りから見たら私が無邪気に慕われているという構図に見えてしまうようだった。

 さっきからずっと視線が痛いし。

 これ、絶対に女子からの反感買ってるよ。


 うあーん、私の安らぎのひと時がぁ……。


 何て思っていたけれど、それも今日のランチであるかつ丼を口に入れるまでだった。


「うーん、美味しいー」


 お肉が柔らかくて幸せ。

 寮の食事も美味しいし、ここの食堂も美味しい。

 この学校に転校してきて一番良かったと思える部分だ。

 そうして幸せに浸っていたけれど、すぐに邪魔が入る。


「すっげぇ幸せそうに食べるんだな?」


 左隣の明人くんにちょっと驚いたように言われた。


「良い顔するよなー。じゃあこれも食ってみる?」


 そう言って右隣の勇人くんが一口大に切ったステーキをフォークに刺した状態で私に差し出す。


 いや、人のものを食べるのは……。

 でもステーキ……気になってたんだよね……。


 なんて思ってしまった。

 そして思ってしまったら食の誘惑に弱い私はつい深く考えもせずパクリ、とそのまま食べてしまう。


 お、美味しい~!


 ステーキって硬くなりがちだけど、これは冷めても柔らかい。

 本当にここって学校の食堂? 高級レストランとかじゃないの⁉


 そう思ってしまうほどここの料理は美味しかった。


「はは、本当に食った。じゃあ俺のポテトサラダも食ってみるか?」


 そして今度は明人くんがフォークでポテトサラダをすくって差し出してくる。

 勇人くんのステーキを食べてしまった後ということもあって、これは良くないんじゃ……なんて思うこともしなかった。


 パクッ


 あ、ポテトサラダもホクホク感残ってて美味しい。

 もう、メインじゃなくても美味しいってすごいなぁ。

 そうしてごくんと飲み込むと、二人に笑顔で「ごちそうさま」「ありがとう」と声をかける。


「っ!」

「あ、ああ……」


 するとなぜか二人とも口元に手を当てて私から目を逸らしてしまった。

 どうしたんだろう?

 にしてもそんな仕草もそっくりなんだね。

 なんて思いながら正面を見ると、向かい側に座っているしのぶと奏が見えた。

 しのぶは目をこれでもかというほどに開いて驚きを表している。

 奏は目を閉じてしわの寄った眉間をもみほぐしていた。


「……!」


 二人の反応に、私は今の行為が周囲にどう見えるかを理解する。


 やってしまったーーー!!


 前の学校では良く友達が「美来、これあげるよ。ほら、あーん」とかやってくれてたからつい!

 周囲に意識を向けると案の定敵意をバシバシ感じる。

 これは、本当に警戒しておいた方がいいかもしれない。


 にしても私何しちゃってるのよ本当に!

 うっかり過ぎるでしょう!


 そう反省していると、しのぶがぽつりと呟いたのだった。


「……美来って、天然人たらし?」


 って。

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