ルナの前に新種のメスオーク現れる!
次のお休みの日に美味しいカフェへ行く約束をノワール公爵様とし、帰宅した。
「ただいまぁ!」
ニコニコした私を見て一言。
「デートの約束でもしたのか?」
「このニコニコ顔を見れば分かるぜ。ギルマスは……発狂するだろうな」
「娘が初めての恋を知ったのよ?
応援してあげるのが親の勤めよ!」
そう話していると。
「うふふふふっ、やっと……やっと見つけたわぁぁ! ルルナァァァァァ!!」
背筋が凍りそうになるこの声、もう聞きたくないのに。そう思い、振り向くと、やっぱりいた!
1番会いたくない人物、その名も【ブリアン】だ。
私を睨みつけ、鼻息をフンフン鳴らし、私目掛けて突進してきた。避けるタイミングを逃してしまい、ブリアンは爪をくいこまし、私の首を絞めてきた。
「なんで、魔物に殺されてないのよっ!!
オマエは生きる価値なんてないんだ!
死ねぇぇぇ!!」
「ぐっ……あぐっ……!!」
ブリアンの指の爪が首にくい込み息ができない。涙で視界がぼやけたが直ぐに苦しみから解放され肺に酸素が入りむせた。前方を見ると、ドルバルがブリアンの両の腕を持ち、レイブンが私を抱えスオウとマロン、ママの元へ移動した。
「大丈夫か?」
「げほげほっ……はぁはぁ…ごほっ…。
な、なんでここにいる…こほっ……の?」
「ルナっ!!」
優しく抱きしめ背中をさすってくれるママに、ギュッと抱きつき「怖かった」と一言呟いた。
「オマエか、ルナに酷いことをしてきたクソガキは!」
「私の可愛い娘によくも……。
殺すぞクソガキがっ!!」
ママ? えっと、それは素だよね?
パパより怖い素が出てますよ?
後ろから殺気が……「ひぃっ!!」そこにはスオウとマロンが殺気のオーラを出しまくっていた。
『ビピュウッ! ビビィッッ!!』
『よくもワレの主に! 噛み殺してやるっっ!!』
わわわわっ、スオウとマロンが激昂している。殺すのだけは禁止にしないと。
「スオウ、マロン。
殺すのだけは駄目だよ? その子は殺す価値もないから!」
「なっ!」
ブリアンは私の言葉に反応し、再びこちらへ来るのかと思いきや、スオウとマロンがブリアンを空へと打ち上げ「うぎゃっ」と、ヘンテコな声を出したブリアン。
打ち上がったブリアンを大きな、とても大きくて美しい空色の鳥へと姿を変えたマロンが、服を嘴で咥えては放し、地面へと衝突する前に嘴で咥え、空へと放り投げた。
そこからはスオウへとバトンタッチし、スオウが咥え空中でブンブンと振り回しながら高速移動するが、ブリアンには恐怖の感情がないかのように私だけを睨みつけ暴言を吐いていた。
「オマエは幸せになってはいけない!
お父様とお母様がいつも言ってた!
神獣と女神の眷属は私のモノだ!!」
「スオウとマロンはモノじゃない!
わたくしは、私は……ここで幸せに……」
「うるさいっ! 黙れ!!
侯爵の私に口答えするなっ!
オマエのようなブスはこの世からいなくなればいいんだっっ!!」
手で顔を覆い、泣いている私を見たスオウとマロンは激怒し、マロンが下までブリアンを下ろしたかと思ったのもつかの間、マロンの嘴がブリアンの肩を刺し貫通していた。
そのままブリアンを投げ飛ばし、地面を転がったブリアンは痛みで喚いた。
「ぎゃああああっっ!!
痛い! 痛いっっ!!」
その直後『ズシャッ!』何が起きたの?
猛毒の尻尾でお腹を刺されたブリアンは涙と鼻水、ヨダレまで垂らし汚い顔を歪ませた。痛みに耐えられず気絶していた。
早く解毒しなくてはブリアンが死んでしまう。私はスオウの元まで走り。
「毒と傷を治して!」と、空間ボックスに入れ、ブリアンを出した。
間に合った? 息は……してる。良かった。服も綺麗に直して……と、これで大丈夫かな。スオウとマロンの方へ歩み寄り注意をした。
「マロン、スオウ。私は殺すのは駄目って言ったでしょ?」
『ビピュウッ、ピピッ、ピュゥ』
『殺してはおらぬよ。
マロンも言っておるが、急所は外している。毒も注入していないしな』
スオウとマロンを小さい両手でギュッと抱きしめ撫でながらお礼を言った。
「マロン、スオウ。私の為に怒ってくれてありがとう。
ちょっとした「ざまぁ」が出来てスッキリした。
ブリアンを国境まで運んでほしい」
『ワレが運ぼう。
ルナはマロンの背に乗り、後ろから見てるがいい』
「うん、ありがとう」
ブリアンの服についた血を「クリーン」綺麗にした。
「ママ、国境まで行って来るね」
「待て待て、俺も着いて行くから。
スオウ、俺も一緒に行っていいか?」
『ワレの背に乗れ、ルナの代わりにローバルの馬鹿共に伝えてくれ。
何度来ようともマロンとワレとで制裁を下すとな』
「ああ、分かった!」
ドルバルは「行ってくる」と一言伝え、私達は国境へ向かった。
ローバル国とスリチア国との国境ではルドルフ殿下が何やら叫んでいる。だが、獣人の門番は微動だにせず知らん顔。何だか笑えるのだけど。
『ルナ、ここで見学』
んっ? この声はマロン!?
「マロンお話出来るの?」
『出来る、出来るようになった』
「そうなんだね。マロンとお話出来て嬉しい!」
マロンと話し終わると、スオウがルドルフ殿下の目前でブリアンをドサッと下ろし、ドルバルが口を開いた。
「ローバル殿下、こちらへの不法侵入。不法入国はなさらないで下さい。
ローバル国は神獣様の怒りを買ってしまわれました為、加護は消えました。
魔獣を倒す策や手段の話し合いをする方がよろしいかと存じます」
『ローバルの者よ、ドルバルが放った言葉はワレの言葉と受け止めよ!
スリチア国へは入れぬ!
この臭いメスガキを連れて去れっ!!』
ルドルフ殿下は奥歯を噛み締め、ドルバルを睨んでいたが、ドルバルの強面の顔が怖かったのか、その場にヘタり込んでいた。
護衛の方々がルドルフ殿下とブリアンを馬車に乗せ帰って行くのを見ていた。
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