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1 家族との別れと悪夢の始まり

私はルルナ・エメルロ。ローバル国、エメルロ侯爵家の娘だ。


両親は凄腕の治癒・光魔法使いのお父様とSS級薬師のお母様で王宮(国王陛下)から家宝の神獣の主の古記を無事に取り返し、ライアンのアイテムボックスに入れた。


やっと隣国へ帰国すると明日の朝一で隣国へ出発と同時に辺境伯に知らせようとして、1日が終わりを迎えるはずだった。


なのに。


王宮からの帰り道。


ガタガタと鳴る馬車の中、お父様とお母様はウトウトと眠っているのを見たお兄様と私は、顔を見合わせて「クスリ」と微笑んだ。


「おとうたまとおかあたま、ねてるね」


「そうだね。今日の仕事も忙しそうだったから……。


(この胸騒ぎはなんだろう。気のせいなら良いが、一応ディオに知らせておくか)


ルナも眠って良いからね」


私はお兄様の腕に抱きつき、肩にソッと頭を置き、ウトウトしていた。



が…………。



私が眠っている間、お父様とお母様、大好きなお兄様も亡くなっていた。




あの大事故で生き残ったのは『私』だけ。




痛いよ、お父様。



身体中が苦しいよ、お母様。



心が寂しくて辛いよ、お兄様。









涙は枯れることなく流れ。


大きな心の傷は、癒えないまま時間だけが過ぎ。




数日が経過した。




怪我は騎士にポーションを飲ませてもらい癒えたのだが、心までは癒すことが出来なかった。身も心もズタボロな私を馬車に乗せてどうするのだろう。


そして、私はどこへ連れて行かれるの?


舗装をされていない不安定な道を何時間進んだのだろうか?


ガタガタと揺れ、硬い座席だからお尻が痛い。


そんな馬車の小窓から外を見ると、小さな建物が見えてきた。



あれは、小さいけれどお屋敷だわ。


ってか、ここは何処なの?


ボロボロのお屋敷の周り全体は暗く、外壁は汚れ、所々壊れている部分もあった。


庭は雑草だらけで管理が行き届いてないし、人が住める場所なのかも怪しい。


敷地内全体がこんなだと、幽霊が住んでてもおかしくない雰囲気が漂っていた。


そんなボロくて汚いお屋敷の前で馬車が止まり、見知らぬ男性に腕を掴まれたあと、引きずられるように馬車から下ろされ、早歩きでグイグイと引っ張られながら移動した。


(痛い!)


「ここはダメア男爵家のお屋敷だ。


エメロイ侯爵の家財類は男爵が預かってくださっている。


おら、さっさと歩け!」


(預かってる?


本当に預かってくれてるの?)


悲鳴を出す間もなく、建物内に入った私には荷物などは無く、侯爵家だった家族のお金・家財道具など、お金になる物全てお母様の兄であるダメア男爵の叔父夫婦に盗られてしまうのだと悟った。


その一人娘であるブリアンには、私が使用していた物を全て盗られてしまうことも、小さな私でも分かった。


なぜなら、私の前に現れた人物がそれを自慢げに見せつけてきたからだ!


ドレスは破れそうなくらい、ピッチピチに伸びきり、今にもはち切れそうな姿に目を背けたくなった。


だが、3歳の私には何も出来ない。


親の形見であるエメロイ家に代々伝わってきた家紋と神獣の模様が描かれた【ロケット】と花模様のシンプルな【リング】そして、お兄様の【アイテムボックス】だけは隠し持っていた。


このロケットの中には家族の写真が入っている『ギュッ』と握りしめ、この3つだけは絶対に渡さない!



大切なロケットとリングをアイテムボックスに入れ内ポケットに隠し入れたあと、お屋敷の奥へ入った。


まだお昼だというのに周りは薄暗く、上を見上げれば一応掃除はされているが、床は所々に塵が積もり、軽く走ると埃が舞い上がってしまいそうで不衛生だわ。


ここが貴族のお屋敷なの?


メイドさんは数人だけど愛想悪く、こちらを睨んでいる。


ここのメイドさんは掃除が下手なのかな?


そういえば、お父様とお母様が前に話していたのを思い出したわ。


『ダメア男爵家はもう駄目だろうな。


何度も資金を援助したが、散財を辞めないのが原因だ。


またメイドを辞めさせたらしい、もうこれ以上援助は出来ないな』


『わたくしは妹として情けないわ。


ラック、今日までお兄様に資金援助をしていただきありがとうございました。そして……ご迷惑をおかけして申し訳ありません』


『謝らなくて良いんだよ。


ほら、泣き止んでほしいな、俺の可愛いデイジー』


お父様と寄り添って話していたお母様の目から涙が流れていたわ。


私とお兄様は見守ることしか出来なかった。


そう考えていると、階段の前で待ち構えていた叔父家族は、私に信じられない言葉を発した。


「何をしている!


さっさとこっちへ来い!


オマエはココで寝起きしろ。窓もベットもあるんだ、少しでも文句を言ってみろムチ打ちだからな。


食事だが、残りのスープと一欠片のパンだ。分かったなっ!!」


「……えっ……?」


私の頭は数秒間フリーズし、正常な考えになるまで静止してしまっていた。


メイドが少ないから私の食事も無いに等しい量なの?


そんな私の態度に腹を立てたのか、叔母に頬を打たれ、白くて絹のような肌がジワジワと赤く染まり、ジンジンと痛みが襲ってきた。


打たれた頬を震える手でそっと触れた。


(何もしてないのに頬を打たれた……)


「屋敷のアチコチを見回るんじゃないよっ!」


「ふんっ……ブッサイクなおんな!」



ブリアンを見ると、赤茶色の髪は縦ロールにソバカスが目立つ顔は下の下だ。


不細工なのはどっち? と言いたくなったが、喉の奥に言葉を引っ込め、叔母を見た。


赤茶色の髪を後ろで束ねられ、母様のドレスを身につけ、腕組みをしてこちらを見ていた叔母は、ツカツカとこちらへ歩み寄り、私の胸ぐらを掴んだ。


そして、私が寝る部屋の前で押された私は尻もちをつき、足早に去って行く叔母を呆然と見ていた。


「……らんぼうで、くちがわるいひとたちだなぁ」


お尻をさすりながら立ち、部屋の確認をした。


汚いけど、ベッドには布団がきちんと揃っているのね。


3歳児を押し倒すなんて有り得ない!


まあ、何も出来ない箱入り娘ではないから大丈夫なのだけど、広いお屋敷でないことだけは分かるわ。


お母様が家事や生活に困らないように、いろんなことを教えてくれてたおかげで苦労無し!


と、言いたいけど、問題は食事。大丈夫なのかな。


用意されていた食事は、叔父が言っていた通りスープと一欠片のパンだった。


私の両親の財産を使ってるのに、何で私の食事がこれだけなの?


「……あの、わたしのしょくじは、コレですか……」


虫けらを見るような目で睨まれ。


「食事?


そうよ、見て分からない?


お前のはそれで十分でしょっ!


もっと食べたければ残飯を漁りなっ!


 ようがないのならさっさと物置部屋へ戻な!!」


「……っ……」


「何だい、その生意気な目は?


教育……いいえ、躾が必要だねっ!!」


パアァァーーンッ!!


叔母に頬を叩かれ、自慢の色白で綺麗な肌は真っ赤に腫れ。


ジンジンとした痛みで、顔が歪むのを見るのが楽しいのか、暴力(鞭打ち)で快感を得た叔母の顔は悪鬼のようだった。


お兄様やお父様のように魔法が使えたら、叔母達からの暴力や嫌がらせをかわせることが出来たのにな。


無いものねだりしてても現状は変わらない。


でも、こんな人達の前では絶対に泣かないんだから!



厨房で水と食材を漁り、果物と硬いパンを部屋でゆっくりと食べた。


口の中が切れているから、ゆっくり食べないと痛いの。


今日は何とか余りの食事が確保出来たけど、毎日あのスープと一欠片のパンだけでは餓死してしまうよ。それに、明日はどうなるかも分からない。


食材を見つけたら部屋へ隠す。


この繰り返しの毎日を過ごし、食べることだけは出来ている。


そして、嫌な毎日が続くのは……『暴力』だ。


叔父は言葉と物を投げる暴力。


叔母とブリアンは叩いたり、物や鞭で身体中を打たれ、痣だらけ。


痣は服で隠せるけど、身体中が痩せ細り、皮と骨しかない不健康で髪もボサボサ な状態になっているのは隠せなかった。

数多の中から読んでいただきありがとうございます。


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