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第9話 彼氏疑惑!?

「そういえば、御影(みかげ)さんから体調のこと聞いた…。気付かなくてごめん。これからは何か体調の変化があれば言って欲しい」

そう言って心配そうな顔で(あらた)瑠衣(るい)の方を見た。

さらさらとした短く眉の上で切り揃えられた黒髪の下、切れ長のつり上がった狐のような目がまっすぐに見つめてくる。

瑠衣(るい)は、この人は優しい人だなと思った。

(そういえば御影(みかげ)さん、新くんのこと真面目で良い子だけど口下手で融通が効かないとか言っていたな。無口なところや、切れ長の涼しげな目元の印象で勝手に無愛想なイメージだったけど、本質的には素直で優しい人なんだろうな…)

認識を改める瑠衣(るい)だった。


「今日の体調はどうなんだ?」

「あ、えっと、わりと元気、かな?御影(みかげ)さんがくれた水晶のペンダントのおかげかも」

さっそく敬語ではなく、いつも通りの口調で話す。

確かにこの方が楽かもしれない。

「水晶の効果もあるし、御影(みかげ)さんが力を込めた物だからな」

「力を込める??」

「浄化の力が込めてあると思う。うちの家系は昔からそういった不思議な力を使用したり、感知したりすることが出来るんだ。

御影さんはその力を利用して魔女を取り締まる仕事をしている。家系的にそういった職業に就いてる人が多いんだ。

俺も一応、魔女の力を感知することが出来る。だからもし君の中で魔女の力が強くなってきたら俺が分かるから安心して欲しい」

瑠衣(るい)は以前、(あらた)が監視兼ボディーガード、と言っていた意味をやっと理解した。

(見守るってそういうことなのね)

「じゃあ私に憑依してる魔女の力が強くなってきたら…」

「近くにいればすぐに分かると思う」

「なるほど、それで常に近くにいるために送迎してくれてるのね…」

うんうん、と頷きながら2人は駅までの道を歩く。

昨日と違い、今日の(あらた)は並んで歩いてくれる。


「ああ、あと、買い物に出掛けたことも聞いたんだけど、荷物持ちでも何でもやるから、ついていくよ」

「それはさすがに…。うちの家のことなので」

さすがに夕飯の買い出しに付き合わせるのは気が引ける。

「…俺、御影(みかげ)さんにこの護衛を担当することでお小遣いを貰ってて。だから君になにかあったら俺への御影(みかげ)さんの信頼感も下がるし、賃金も減らされるかもしれないし。とにかく、出来るだけ君の近くにいさせてほしいんだ」

その言葉にドキリとした。

護衛の為というのは分かるが、さすがに年の近い男子に、近くにいたい、と言われるとどぎまぎする。

「…じゃあ、(あらた)くんは私の護衛はアルバイト代が出るから進んでやりたがってるって解釈でいい?」

「うん、それでお願いします」

その関係性が可笑しくて、ふふっとお互い顔を合わせて笑った。



それから二人は電車に乗り、学校へ向かった。

(あらた)とは下駄箱で別れて、それぞれのクラスへ向かった。


廊下を歩いているとクラスメイトの女子に後ろから声をかけられた。

「佐久間さん、今日一緒にいた男の子、彼氏?」

「…えっ?」

一瞬誰のことか考えてしまう。

「昨日の帰りもクラスまで迎えに来てたし、今も一緒に登校してたじゃん。先輩なの?クールなそうなイケメンでいいねえ~!」

「えっ、え!?いやいやちが…」

「もしよかったら今度その先輩のお友達とか紹介して貰えたら嬉しいなあ!私今フリーだから!」

「あ、あははははー?」

食いぎみに言われて対応に困り、思わず愛想笑いでその場から逃げる。

一体いつから見られていたのか。男子と登下校を一緒にするとこんなことになるのか、と瑠衣(るい)は思った。

(焦ったー!…もしかして、(あらた)くんも今頃からかわれてたりして?)

今更顔が火照ってきた。

ちなみに瑠衣(るい)は色恋沙汰はさっぱりだ。今まで恋人がいたこともないし、いい感じになったこともない。むしろ男子と仲良くなったことも小学生以来ない。

なのでこの状況が想定外すぎて、どぎまぎしてしまう。


(またクラスメイトに勘違いされるのは困るから、帰りは校門で待ち合わせようかな…?このままじゃ新くんと顔合わせるのが恥ずかしくなっちゃうよ)



つづく




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